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ただただ自由に書きたいだけのひと

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最近の記事

ガンダーラ

学生時代、ゼミの研究でガンダーラ地方を訪れたことがある。 現在のパキスタン北西部、ハイバル・パクトゥンクワ州。 ガンダーラと聞けば、ある程度上の世代の方は、ドラマ西遊記の主題歌を思い浮かべるだろう。 ペシャワール会の故中村哲医師・スワート出身のマララ=ユスフザイさんの名を想起する方もいるかもしれない。 私が行ったのは、9.11から5年後の2006年の夏。 特段高邁な想いも熱意もなく、物珍しさだけで教授と先輩についていった。 ラホールからイスラマバード、スワート、タ

    • 小さい頃②

      小さい頃、本が好きだった。 幼稚園で一番覚えている部屋は図書室だ。 保育室とは別棟にあった。 色とりどりのタイルが施された円柱状の塔。螺旋階段を登った先に、大量の絵本が内壁を埋め尽くしていた。 小学校に上がると、自転車で図書館に通い詰めた。 父が買い揃えてくれた岩波世界児童文学集は、青と赤の布張りの装丁にうっとりしながら毎日手に取って読み耽った。 一番好きだったのは、「やかまし村の子どもたち」 スウェーデンの片田舎の何気ない日常生活が、子どもの目線で瑞々しく描かれて

      • こころの領域

        善意と慈悲、矜恃と信念から来る言葉が人のこころを深く傷つける現場に遭遇した。 誰も悪くはなかった。 ほんの少しの慢心とほんの少しの卑屈が、会話の歯車を大きく狂わせてガリガリと相手の心抉り取った。 私は片付けのサポートの仕事をしている。 モノはこころの写し鏡だ。 お客様のひとりが今、モノの片付けを通してこころの片付けの段階に来た。 弱さ、辛さ、迷い、不安 全部出して、ひとつずつ片を付ける時が来た。 彼女に何を言うか 何と声をかけるか いつも怖くてたまらない。

        • 子育て

          7歳と4歳の男の子を育てている。 正直、自分はつくづく子育てに向かない性分だと思う。(かと言って仕事がバリバリ出来るタイプでもない) ひとりで、静かに、長い長い時間、思考の海に身を沈めることが、私にとって必要不可欠なのだ。 彼らの発する音が辛い。 時間を細切れにされるのが辛い。 外はいい天気。 桜はもう見頃を終える。 陽当たりの良い部屋で、親子で賑やかに過ごす昼下がり。 孤独だ。 #子育て#孤独#ひとりになりたい

        ガンダーラ

          小さい頃

          小さい頃は、よく目の前に手をかざしてじっと見つめていた。 自分の身体とその背景の世界 何がこのふたつを隔てているのかずっと考えていた。 考えてるうちに何だか体内と外界が一緒くたになって、ぐにゃぐにゃと形を成さないものになっていくような感覚に襲われた。 それは恐怖というより、ちょっとスリルのある遊具で遊んでいるような、どちらかというと楽しく興味深い体験だった。 自分の髪の毛を引き抜いて畳の上に散らし、何時間もそれを眺める事もあった。 先ほどまで自分の一部であったもの

          小さい頃