感じて、流す

星の動きか月の暦か、世間一般に縁起の良い日と悪い日があるように、
感情的にも、世間一般に上がり下がりがあるようである。

世の中に不幸なニュースが蔓延していれば、それに触れた人々はもちろん影響されるだろうし、
同じ時代、同じ場所に生きていても、不幸なニュースにアクセスしなければ、身の回りの出来事に注意を向けて、悪いことばかりではないと知る。
小さくても幸せを見つけて楽しめるようになるだろう。

報道されることや、政府の公示として発表されることと、
実際に経験している現実世界のギャップは、
今のところかなり大きく感じる。

インドに関していえば、先日読んで驚いたのは、
「日本への御帰国等の際には、出国前72時間以内の検査証明の御収得など、御留意いただくとともに、最新の情報を御確認ください。」(外務省海外安全ホームページ 最新情報 12月30日付)
現在時点で、インドは感染者の多い危険地域に認定されているらしい。

メディアの報道と、それぞれの地域の実情の違い。
インド国内の実情でも、都市部と田舎の違い。            個々人の経験の違い。
更に行き来することのできない国と国との違いで、
現実の生活と情報がかみ合わない場面に、多く出くわす。

ダラムサラという非常に狭い地域においても、3月末からロックダウンが継続している僧院内に暮らす人々が元にしている情報と、外で自由に行動できる人々が手に入れる情報には違いがある。

当たり前のことではあるが、外で自由に行動できる人々が得る情報は、実体験に基づいているものと、SNS等の伝達手段で得るもの。
外に出ることができない人々の得る情報は、伝達手段を使って得られるものだ。

何らかの情報を得たことによって、我々は一喜一憂するけれど、その時に喜びも悲しみも心が経験する。
喜びが多ければ良いけれど、
悲しみが多ければ、悲しみの意識経験が積み重なって、それが世界を見るフィルターになってしまう。

感染症死亡者より自殺者の方が増えているという文章を読んで、身体的な病より心の重圧の方が命にかかわることだと感じている。
不条理な、不思議な世の中だと思う。

悲しい感情の真っただ中にいる時には、自分を取り巻く世界から、全く逃れる術はないと思いがちだ。
世界はもう固まってしまって、これからの時間の流れの中であり得る、悪い可能性の方に注意が向いてしまう。

でも考えてみると、現在以降の未来を作るのは、今現在である。

今感じている悲しさ、辛さは、過去の結果である。
結果であるということは、これを経験してしまえば、今現在の悲しさや辛さは終わる。

悲しみを感じている時に、
周囲の状況や、これからやって来るかもしれない更に辛い状態(~になったらどうしよう)からいったん思いを外して、
悲しいと感じている自分自身に、意識を持ってくることができるだろうか。

現在時点での悲しい感情と、悲しいと感じている主体的な自分を認識して、
『この感情は過去の結果として起こっている感情だ。この感情を経験したことで、もう受け取り終わった。』と腑に落とすことができれば、
その場で気分が幾らか軽くなる。

最も効果的なことは、悲しいと思われる対象が、自分の思考で感じられるように有るのではない(自分の思い込みだ。本当は無いのだ。)と知ることであるが、
感情から離れて客観的に対象を見ることができなければ、少し難しいかもしれない。
考察を進めるならば、悲しい気持ちそのものや、悲しいと思うこと自体も同様に考えて、それらに対するフォーカスを外すのだが、これも同じ理由で、なかなか難しい。

比較的易しく、悲しい辛いを和らげる方法として、
感情を感じている時、『私が感じている』と、感じている主体側の自分を認識して、
『(この感情は過去の結果として現れている意識作用なので)
この感情を感じるだけで良いのだ。
(この感情を感じ終われば、この経験が終わる)』
と思い、その感情のエネルギーを受け入れて、自然に治まるのを待つ  (流す)。

慣性で起こりそうになる悲しみ等の感情がある時には、
『これは、私が感じたいと思っている心ではない。
今迄は、そのまま感じていたけれど、これからはそれを変える。
それを感じることを選ばない。』
と自分で意図すると、
直ぐに無くなるわけではないけれど、少しずつ弱くなっていく。

全ての人に効くかどうかは分からないけれど、これは筆者がやってみて効果があった方法である。

自分が身を置く世界の設定は、自分で変えられる。
誰もが幸せな自己設定の中で生きられるように、心から祈る。


DECHEN
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