2020/09/22 秋分・ホームページ「DECHEN」公開!https://www.dechen.jp

十年以上前に、大変偉い方に数冊の論書を訳したら良いとご教示を頂いた。
当時その方は、多くの日本人研究者に同じことをおっしゃっておられたので、同じミッションを持つ人々も多くいる。

その時筆者は、聴講ながら学校に通っており、論書を訳すなど大それたことを考えていなかったのだが、オーダーされた人は沢山いたことを知っていたので、研究発表としていつか訳そうと思っていたものだった。

下級生の友人たちはどんどん素晴らしい通訳としてデビューし、通訳の大変な仕事を務める傍ら、学校の進級試験も立派にこなし、バリバリ働いていた。
こちらは恥ずかしく思いながらも、授業についていくだけで精一杯だったので、有難く勉強だけをさせてもらった。

全過程を聴講生として過ごしたが、僅かに言い訳をさせてもらえば、
「試験を受けさせて下さい。」と学校の事務所にお願いに行った時、
「聴講生が試験を受けるとなると、職員全員で会議をして決めなければならぬ。」と担当の先生にいわれ、最終科目まで受講したいと思っていた筆者は
『関係性を壊して、将来恙なく受講できなくなったら困る』という理由で申請を取り消した。
結局、本生徒より随分自由に受講させて頂けたので、これで良かったのかなと思っている。

さて、「訳すと良い」と示唆された論書は、仏護という方が著された『ブッダパーリタ(仏護註)』と、月称という方が著された『顕句論』という論書である。
両方サンスクリット文献が残っているそうなので、サンスクリット語から訳された方々もいる。
筆者の場合、日本にいた時は仏教の勉強をしておらず、インドに来ていきなりチベット語から始めてしまったので、日本語の仏教書は難解で読むことが殆ど無い。
でも素晴らしい訳をなさっておられるのだろうと想像する。

そのようなことを話題にしている時(正直に書けば、「何時訳すんだ?」と何度も複数の人にきかれたが、それどころではなかった)、韓国の研究者の方から、
「解説を訳すんだったら、絶対もとのテキストも訳してくれ。」
と念を押して言われた。
彼自身が、翻訳をする時に困難を感じていたのだろう。
解説に根本テキストが出てくる時には、テキスト通りに記さなければ関係性が分からない。その時に解説で説かれる言葉と食い違いがあると、訳者はひどく悩むことになる。

そのような訳で、『根本中論』という根本テキストも訳すことになった。
「『ブッダパーリタ』と『顕句論』の中に根本テキストが織り込まれているから、特別に訳す必要はない」と、ある先生にいわれて『じゃあ大丈夫』と軽く考えていたのだが、
ここに大きな落とし穴があった。

チベット語の『ブッダパーリタ』は旧訳、『顕句論』は新訳である。
・・・時々言葉が違うのである。
更に引用されている『根本中論』のテキストと、『根本中論』のみのテキストで表記が違う場合がある。版元が違い、文字が違うのか、それ以外の理由かは知るべくもないが、解説論書からそのままコピペすれば良いだろうと思っていた筆者の思惑は、見事に外れた。

更にある先生(素晴らしい先生である)は、「『ブッダパーリタ』も『顕句論』も、難しいから、それだけでは何を言っているか分からない。どちらにしても理解する為には『正理の海(ツォンカパ著)』を読まなきゃいけないんだから、『正理の海』も一緒に訳したら?」とおっしゃった。
当時真面目な生徒だった筆者は、「はい。分かりました。」と答えた。

結局、根本テキストの『根本中論』はじめ四論書を訳すことになった。

仏教テキストなので、先ず口伝を受けなければならないと思い、当時複数の先生のお世話になって、全ての論書の口伝を受けることができた。
これは筆者一人ではお願いしきれないことであった。
口伝を授けて下さった高僧の方々と、先生方に感謝している。

在学中に一章だけ訳したものはあったが、実際に訳を始めたのは科目履修が全て終わってからである。地味で地道に生きる習慣のおかげで、毎日休みなく訳し続けた。
どんなに少なくても、夜行列車の旅でコンピューターを開けることができなくとも、論書は毎日読み続けた。
雨にも負けず、風にも負けず、日曜祭日にも途絶えず、もう五年以上休まず関わり続けた翻訳が、もうすぐ終わる。

明日9月22日秋分の日に、ホームページ「DECHEN」を公開する。
「中観」ページの中で、『正理の海』[序論]から始める。
インド論書を読む準備段階の説明が、数ページある。

他に、「地震除け」のお守りや、
「ダラムサラの仲間」で、ダラムサラの友人達の紹介、
You Tubeチャンネルに動画は殆ど無いけれど、再生リストにヒーリングミュージックや、チベットについての動画がいくつかコレクションされている。

アナログな人間なので、上手く作れたと言えないかもしれないが、箱は作った(心優しい友人は、「手伝うことがあったら言ってね」と言葉を送ってくれた)。

もしご興味があれば、明日から、
https://www.dechen.jp
をのぞいてみて下さい。

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1999年初渡印。2003~2015年インド・ダラムサラ仏教論理大学聴講。現在も殆どヒマラヤの麓、ダラムサラで暮らす。 100円投げ銭サポート募集中!インド自炊で一食分・・・二食分?(^人^)ゞ