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菩提心の称賛《宝珠の灯》第321偈

321)欲界の功徳である五様相の
味を味わうことに執着する者達は、
菩提心の最高の味をもとめて
祈ることすら難しい。


「欲界」とは、
五感の対象である
色形、音、香、味、触感の功徳(良質)を
快楽を与えてくれるものとして欲する世界。

目に見えるもの
耳に聞こえるもの
鼻で嗅ぐもの
舌で味わうもの
身体で感じるもので

好ましいものを
欲する世界である。


その経験を味わうことで
幸せを感じることから、

また幸せになりたくて、
また五感の対象を求める。


その時は幸せになるけれど、
その幸せはすぐ終わってしまい、

後で思い出した時には
素敵な部分を盛り上げて
更にそれを求める。

もっと欲しくなり、
なければならなくなり、
執着する。


目の前の快楽に目を奪われている者は、
根源的な幸せを感じることが難しい。

心の根っこで求めている幸せは
五感の網を抜けたところにある。

その幸せには、
自らの幸せもあるけれど、
自他全てひっくるめた全体の幸せもある。

実はみんな願っているけど、
空気のように澄みすぎて、
気を付けないと気づけない。

だから祈ることすら
難しいのだろう。

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