如来蔵
如来蔵(にょらいぞう)とは、『広辞苑』で、
「一切衆生に内在する仏となりうる可能性。煩悩に覆われた状態の真如。仏性と同義で、インドの中期大乗において発展した思想。」
とある。
チベット語ではde bzhin gshegs pa’i snying po といい、「如来の精髄」という意味である。
「誰でも仏陀になれる可能性」であるが、
それは何かといえば、「我々の心の空性」である。
これを「仏性」とも言うらしい。
心の空性とは何かといえば、
我々が感じている心の実体が欠如することで、
環境、状況に影響されて変化し、認識されるからこそ「心」として存在している縁起生であり、
変化し、関係性で成り立つからこそ、
「このように有る」と捉えられている確実な実在が欠如する、空である。
平たく言うと、「心に特定の本質(そのもの)は無い」ということで、
どうにでも変化する、ということである。
良くも悪くも変化するものであるが、良い方向に(仏陀になる原因を積む方向に)勤しめば、その結果として仏陀になることができる。
しかるべき原因を積めば、しかるべき結果を得ることができるので、
「仏陀の精髄」「仏性」と言うのである。
「特定の変化しない本質は無い」という空性は存在するもの全てにあるが、
「仏性」は知覚が有るもののみに有るという。
木や石に知覚が有るとは、今まで筆者が見てきた仏教テキストには書かれていなかったので、
「仏性」は全ての生きものや、意識のあるものには有るが、
木や石には無いとなる。
見方を変えれば、苦しみから解放する為の信仰であるなら、
苦しんでいる者こそに、苦しみから離れる解放が有るということになる。
木や石が苦しんでいると、
仏陀は感じなかったのかもしれない。
如来蔵、仏性は勿論わたしにもあるから、
それで修行しようというモチベーションに繋がるものである。
自分に如来像があるように、他の生きものにも如来蔵がある。
他の生きものの心も縁起生であり、空性であるからだ。
それを考えると、「この生きものは、仏陀になり得る心の空性を持っている」ということで、生きもの全てが有り難くなり、
ある先生は「目の前の犬にでも礼拝できる。」とおっしゃっていた。
心の空性は、太古の太古の昔から、未来永劫まで、変化することはない。
実在するのではないけれど、心がある限り心の空性もある。
なので今現在、今感じている心にもある。
それはどんな生きものでも同じなので、如来蔵を考えると、
全ての生きものが
幸せと、幸せの原因を具え、
苦しみと苦しみの原因から離れ、
苦しみの無い幸せと離れず、
親近と厭離、好き嫌いと離れた平等に留まっていることになる。
心の本来の状態は、これほどに平穏であるのに、
その状態に気付いていないので、苦しみの中にあると感じている。
心の本来の状態に気付く為には、
先ず、自分で「こうだ!」と思っている思い込みを外さなければならない。
思い込みが多ければ多いほど、強ければ強いほど、心の目は塞がれる。
正しい意味であっても、その思い込みが強ければ、心を硬く重くしてトラブルを生む。
宗教戦争の如くである。
思い込み(概念作用)を和らげるには、
五感を使うか、心地良い意識を感じて、自分をゆっくりと穏やかにしてあげると早い。
人間幸せな時は、考えに固執しないものだからだ。
自分の心にどんな思考が起こってもそれを許して、心が移り変わっていくことを感じることができれば、心に決められた様相が無いことが分かる。
心に決められた様相が無いことが分かれば、幸せになる原因を心に作ってあげれば良い。
信仰と関係が有ろうと無かろうと、ものごとの働き方は同じである。
良くしたら、良いものが返ってくる。
逆もまたしかり。
幸せになろうと思ったら、他者の幸せを作ろう。
そして自分が自然に幸せな結果を受け取れるように、思い込みも外そう。
そうすれば、心の空性の中で、ものごとは巡り巡って形を成してくる。
仏陀になる可能性の如来蔵も、
今ここで幸せになる可能性にも繋がっているのである。
そしてそれは、心あるもの全てに備わっている祝福でもある。
Merry Christmas!
DECHEN
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