副読本

学校で、副読本ってあるじゃないですか。発展学習のための題材と言うべきなんだけれど、どちらかというと、教科書からはみ出した内容ってことになるのかな。例えば、家庭科の副読本。生活の知恵といった趣であろうか、商品の上げ底の解説などをしている。こっちの商品は箱がこんなに立派だけれど、実は上げ底。簡素な包装の他社商品と比て中身がこんなにショボいです、みたいな話ね。私企業の商品宣伝にならないように、パッケージの商品名のあたりを黒い帯で修正してあるわけ。なんか不気味。あれって、悪いことした人の顔が世間に出るときの目隠しって印象だったしな。なんか清涼飲料水に入ってる成分のはなしもあった気がする。食品添加物とか糖分とか。あんまり甘いもの飲むと血中の糖分が急増急減して良くないらしいよね。昔は保健の先生が実験やっててさ、骨だか歯だかをコーラに漬け込んだら溶けますって。まじでコーラの中に漬け込まれた何かがボロボロになってたよ。不気味。
https://j.cocacola.co.jp/info/faq/detail.htm?faq=18005
https://www.suntory.co.jp/customer/faq/001908.html
最近、コーラ飲んでないなあ。白い缶のライト、また飲みたい。

副読本の話で思い出すのはさ、6年のときの小話集というか、何だろうねあれ。国語の副読本だったのかもしれないが、ひょっとしたら人権教育とか道徳とかそっち系だったのかもしれない。どっちだったんだろう。薄っぺらい冊子で、全部で30ページぐらいかなあ。短い話が3つか4つ。
一つは、子ども7人が出征したお母さんの話。一番上の子が戦争に行って、お母さんは無事を願って庭に木を植えるの。息子を励ますつもりでその木に語りかけたりして過ごすんだけど、息子のお骨が届くわけ。残った子もどんどん出征して、しまいにお母さんは七本の木の植わったお家で一人になるの。最後は7人のうち1人だけ生きて帰ってくるんだけど、そのときお母さんは木によっかかって死んでた。そんな話。他には、家で飼ってる馬が出産するんだけど、産まれた子馬の脚のうち3本が白い色で、これは縁起が悪いっていうことで捨てちゃう話。一番印象に残ってるのは、短い独楽の緒の話。昔って、独楽とかをぶつけ合って遊ぶから紐がいるじゃない。お母さんが子どもにせがまれて独楽の緒を買いに行くんだけど、あんまお金使いたくないわけ。それで店にある独楽の緒コーナーを見てたら、なんか一本だけ他より短い紐があってね。どうして短かいのかっていうと、長い紐から決められた長さの独楽の緒を順々の取った余りってわけ。それでお母さん、安いのになびいちゃうの。子どもはまだ小さくてさ、一緒に遊ぶ年上の子に独楽で勝負しても全然勝てない。子どもなりにナンデダローナンデダローって考えてるうちに、緒が短いってことに気付いてね。自宅の牛小屋の柱に緒を引っ掛けて、必死になって引っ張ってんの。村にお相撲さんの巡業が来て、村の子はみんな見に行くってんで、お母さんも行けって言ったんだけど、ずっと引っ張ってんの。こうすれば伸びるんだ、って。その日の夕方に、牛小屋の中でその子は死んでた。手がすべった拍子に後ろにひっくり返って、そこで牛に頭を踏み潰された。お母さん、何年経ってもちゃんとした緒を買ってやれば良かった、相撲を見に行かせれば良かったって泣いてた。そんな話。

授業でその副読本を読んで、そのとき担任の先生が解説してたのね。これは、お母さんが悪いのでしょうか。そうじゃないと思います。貧乏が悪いんです。って。それはさておき、あれから30年近く経った今でも定期的にこの副読本のことを思い出す。

ノート

7人の子の母の話は大川悦生による『おかあさんの木』で、1969年の発表。このノートを書くのに調べ物してさっき知ったんだけど、つい数年前に映画になったらしい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8B%E3%81%82%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E6%9C%A8
お母さん役は鈴木京香。我慢できない嫁の人だな。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%91%E6%85%A2%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84!

さかのぼって、1986年にもアニメ化されたらしい。http://www.optical.jp/images/dvd/peace/imgs/033.pdf
22分。DVD-Rがあって、定価56,000(税抜)。

独楽の緒の話は黒島伝治による『二錢銅貨』。
https://www.aozora.gr.jp/cards/000037/card646.html
青空文庫は有能。

馬の話はあまり印象に残っておらず、調べてもいない。おかあさんの木と二錢銅貨が強烈過ぎたか。でなくても、小学校で習った馬の話というと馬頭琴が出てくるかなあ。副読本は全4話収録だった気もする。もしそうであれば、残りの一つは何の話だったのだろうか。思い出せない。

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