見出し画像

キレッキレストライカー

ちょっともう、「怒ったモン勝ち」の様相を呈する世の中じゃないですか。

まあ、そんなのは別に今に始まった事ではないとは思いますけど、僕なんかはですね、それこそ幼少の頃から、かなりぼんやりした子どもでしたし、何か事件が起きて、とうにタイミングを逸してから、「あれ?アレって、俺、怒ってよかった所じゃねえ?なんだよもぅ!」なんて感じに 一人で地団駄を踏む経験が多かったですから。
自分だけに通じる「怒り逃し(おこりのがし)」等という単語を作って「また今日も怒り逃しだよ……トホホ」みたいな人生を歩んできたわけです。

誰彼構わずブチ切れまくって、
店頭で店員さんに怒鳴り散らして、
街中で気に喰わない人を見つけてはがなり立てて、
最終的に「ヤバヤバ大迷惑怒りおじさん」として、お縄になるのが理想……

では勿論ないのですが、世に数多おられる「導火線の短い人」「怒りチャンスを確実にモノにする、ストライカー気質の人」には、ある種の憧れ、と言うか羨ましさを感じることさえありました。
「あんな風に、己の怒りを瞬間的に表現出来る人は、(本人は)人生楽しいでしょーね!!」と、地団駄を踏みまくって土踏まずの消えた足の裏を見ながら思うのです。

きっと、こんな人は世の中に結構いるんじゃないかな、と思います。怒りを露わに出来ないこと、あるいは、安直に怒りを露わにしている人を目の当たりにすることにストレスを感じる人は、実際多いのではないかと思うのです。

そこで、「怒り逃し」への対策として、僕は「自分保険」という単語を新たに創造しました。
基本的に後出しじゃんけんなのですが、「怒り逃し」が起きた際、「ヤバい、怒り逃した!許さん、次は許さんぞ!!次に相手がこう来たら(あるいはこの事象が発生したら)、即怒る!間髪入れずに怒る!脊髄反射で怒る!怒ることを自分に課して、かつ己のその行動を許す!!怒る保険を自分に掛けとく!」と予め決めておくものです。
これによって、「怒れない自分からの脱却」を図ろうという試みです。

あまりにも後ろ向きだと思いますか?

しかし、世の中の怒らない(怒れない)人は、こうでもしないと中々怒りを表現出来ないのです。
「怒る」とは、得てして非常に「感情的な感情」だと思うのですが、それでもやはり、「理屈」や「理由」の条件付けが無いとそこに至れない、という人もいるのです。

根拠+感情=100%に達した時に人が初めて怒れるのだとしたら、僕は根拠の割合が95%くらいないと怒れないのです。
逆に、世の中には根拠0%でもイケちゃう人もいます。
ある種羨ましく思います。
決して身近に居て欲しくはないですが。

人に対しては滅多に怒ってない(つもり)ですが、例えば、ペットボトルのラベルがなかなか剥がれない時なんかは、「ウギャギャギャギャーーッ!!!!」っつって頭が一瞬で沸騰します。
なので「アングリーストライカー」の素質は十分に持っていると言えるのです。いずれ、日本が誇る「ヤバヤバ大迷惑怒りおじさん」として世界に羽ばたく日が来るかも知れません。

余談ですが。
実際に「自分保険」が発動される確率は、体感5%にも達しません。保険を掛けた時点で、ほぼ満足して結局次回も怒り逃すからです。
実質、掛け捨てと考えて良いでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?