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UEFA C - 指導案の作り方マニュアル(後編)

間が空いてしまいましたが気を取り直して後編を書いていこうと思います。

前編はこちらから。

Explanation

Planning/Organizingのフェーズの次に準備するのがExplanationのパートです。これは「説明」と言う意味の通り、選手に今からやろうとしているトレーニングをどの様に説明するかを事前にプランニングしておかなければいけません。

ちなみにこのCライセンスの指導実践で、私はいつもの様に選手を集めてました。そして戦術ボードを使って立ち位置やトレーニングの意図を説明し、ピッチに入っても立ち位置やトレーニングの意図を選手達に再確認してもらうようにしてから練習を開始しました。

指摘を受けたのは、「戦術ボードでの説明時間が長すぎる」と言うことでした。ざっと5分は話していたと思います。指摘内容はそれを1分未満に縮めることができるんじゃないかと。理由は、選手は座ってコーチの話を聞きに来ているのではなく、ピッチにとにかく早く入りたいんだと言うことでした。戦術ボードの説明は立ち位置や内容を最小限に留めてすぐにピッチに入る。それから意図やルールをボールを使いながら説明すれば良いと。

実際これ以降はなるべく短くして、細かい設定があればピッチ上で説明するようにしています。

何を事前に説明するかをシンプルにプランニングする事で効率化をかなり図れるようになります。

Orientation

練習の説明時に忘れてはいけないのがOrientationのフェーズです。オリエンテーションとは選手、またはチームにとっての基準となる指標のようなもので、それによって個人/チームがどのように動き、チームとしてポジションを取るかが決まります。

主に基準となるのが、ボール、相手、味方、そしてスペースの位置です。練習内容によって、これらの基準点を明確にしておくと、選手達の理解度も深まると思います。

Learning

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続いてLearningフェイズです。

練習内容の説明をプランニング出来たら、次はその練習で起こりうる状況を想定しながら、コーチングの内容を設計します。その練習から最後はどういう結果を生み出したいのかを考え逆算していきます。

1. 誰をまず見て、コーチングするのか?
2. 練習のキーとなる目的は何なのか?そこに辿り着くための道筋は?
3. 観察とキーファクターの整理。
4. コーチングポイントの発動(とそのタイミング)。
5. 選手によるコーチング後の実践。
6. チーム全体→ユニット→個人の順にコーチングポイントを見ていく。

私が個人的に言われたのは、まず最初の2分は選手を自由にプレーさせてみること。そこからテーマに外れていけば止めて引き戻す。この時、自分の頭の中でどう言うシナリオに導いていきたいのかを描いておかないといけません。

言葉だけでなく、ピッチの幅や最初に設定した条件がおかしい場合もあります。これは実際にやってみないと見えない部分なので、練習の振り返りは必ずした方が良いと思います。

Implementation

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プランニングが全て完了したら、実践編です。

1. まずは数分間、選手達に自由を与えて観察する。
2. 両チームの立ち位置(ポジショニング)を最初にチェックする。ここが崩れていると導きたいシナリオまでどうやっても辿り着けなくなります。おかしければ、まずここを修正する。
3. 次にこのトレーニングの目標をしっかりと観察する。
4. どのようなコーチング方法を使って修正していくかを選択する。
5. 選手達と練習の振り返りを行う。
6. Why, What, When, Where, Whoの5Wを使って誘導するような問いかけを行い、選手の理解度を高める。


De-Brief

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練習が終われば振り返りを行います。そこで行う質問は以下のようなものがあります。

●今日の練習での君達の役割は何だった?
●最初のポジションは良いプレーに繋がっていた?
●誰がビルドアップを助けられた?その理由は?
●相手が引いてきた時、君達にはどんな影響があった?そこからどう変化をつけられた?


Self Reflection

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最後は練習後に自分自身で内容を振り返ります。

その内容は...

1. チームの原則に関係性のある今日の練習の目的は何だった?
2. どのフットボールアクションを練習したのか?
3. どんな選択肢を選手は持ってプレーしていたか?
4. 練習の結果はどうだったか?
5. 選手達の理解度は上がったのか?そしてパフォーマンスは上がったのか?

※「2」にあるフットボールアクションとは3つのことを指しています。フットボールという競技では、ボールを受ける前から離すまでを3つのアクションで表現することができます。

コミュニケーション→認知→実行(詳しくは以下の記事を参考にして下さい。)

要するにこの質問では、今日の練習ではどのアクションを重点的に意識する必要があったかを選手達に問いかけています。


まとめ

最後に前編・後編となったこの記事のまとめになります。

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●チームにある明白な問題をわかりやすく説明すること(チームとしての働き&タスク設定)。
●明白な目的をわかりやすく説明すること。
●練習内容を準備し、しっかりと設計すること。
●条件を設定すること(Orientationフェイズを参照)
●練習中のフリーズのプランニング(どのくらいの頻度?正しいタイミングはいつ?フリーズにどれくらい時間をかける?フリーズ時のコーチングポイントは?)
●明確で正しい例をわかりやすく提示すること(ボール保持者とボールに関わる選手達に向けて)。
●選手達自身に問題解決能力をつけさせる手助けをすること(質問を重ねて導いていく)
●論理的な実践式トレーニングを行うこと(チーム→ユニット→個人)
●練習の振り返りを行い、自分自身を評価して修正する時間を作ること。

まとめの文章にもよく入っているように、明白でわかりやすいコーチングは必須だと思います。ましてや指導しているグループが子どもであればなおさらです。その為には、事前の準備をして頭の中を整理しておかないと、選手の頭の中に「?」が浮かんでしまいます。

「一回、一回の練習を無駄にするな」とはよく指導者が言うものの、無駄にさせない準備は私達にかかっていると言っても過言ではありません。

私自身も、今回のUEFA C級を再度振り返ってみて、さらに理解度が深まりました。これを読んでいる方も同じように、得られるものが少しでもあれば幸いです。

またコーチングに関して学んだことを少しずつアップデートしていきますので「いいね」、「フォロー」して頂けたら嬉しいです。

ありがとうございました。

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