「プログレラジオ」始めました

こんにちは。SmartHRのアクセシビリティエンジニア、辻勝利です。

2月から、僕が所属するプログレッシブデザイングループの取り組みにもっと興味を持っていただこうと、社内向けに「プログレラジオ」という配信を始めました。 コンテンツは毎週金曜日の12時からの1時間、Zoomを使ってお届けしています。

実はこれまでにも、SlackのHuddleを使って毎週アクセシビリティに関するご相談をなんでも受け付ける時間を作っていたのですが、「何でも相談してね」と漠然と言われても、いったい何から相談したらいいんだろうと思われてたんじゃないかと言うことに気がつきまして・・・。 そこで、まずはもっと皆さんが気軽に相談したり雑談したりできる環境を作ろうと思い、そのきっかけにするためにこの配信を始めました。

プログレラジオは、まず毎週テーマを決めて僕が仕事や日常で使用している様々な技術などの紹介をした後、その日のテーマや関連しそうな話題を口頭やSlackのスレッドなどで発言していただく形で進めています。 現在は僕が中心に視覚障害者に関連のある話をしていますが、プログレッシブデザイングループにはますぴーさんやハンさんもいらっしゃるので、将来はアクセシビリティや多言語化対応について幅広い話ができたらいいなと考えています。

2月は以下のようなテーマで3回の配信を行いましたので、簡単に各回を振り返ってみたいと思います。

  • 2月4日 「文字を読む技術」

  • 2月18日 「本を読む技術」

  • 2月25日 「余暇を過ごす技術」

すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、それぞれの回に「○○の技術」と書いているのは、SmartHR創業者の宮田さんの記事「鮨をスマホで撮る技術に影響を受けたからです。
「僕もかっこよく技術を紹介してみたい!」という思いを込めてみました。


「文字を読む技術」

第1回で紹介した「文字を読む技術」は、主に紙に書かれているような文字を、全盲の僕がどうやって読んでいるかをデモを交えて紹介しました。

Microsoftが提供しているiOS向けの画像認識アプリ「Seeing AI」を使って様々な画像情報を読む様子を紹介しました。

SeeingAIはiOSのカメラで読み取った文字情報やバーコード、通貨などを読み上げてくれるアプリで、僕が日常生活の様々な場所で使っているものです。 同じようなパスタソースのパッケージの文字を認識させて特定のソースを選んだり、カメラに写っている人物のおおよその年齢や特徴を教えてくれる機能を動かしたりしながら、このアプリの便利なところを紹介しました。

また、新聞の切り抜きなどの画像をGoogleドキュメントで開いて文字認識する様子も見ていただきました。 社内では時々、紙の情報をスキャンした画像が共有されることがあって、もちろんスクリーン・リーダーで読み上げられるテキスト情報が手に入るのが一番望ましいけど、画像に文字が書かれている場合、その概要くらいであればこの文字認識を使って確認できることをお伝えしました。

「本を読む技術」

第2回目では、本を読む技術について紹介しました。

まず、全盲の僕が本を読む方法として、古くはカセットテープに録音された図書や雑誌があったことや、点字図書や録音図書を作るにはかなり長い時間が必要で、僕たちが本を読めるようになるまでには本が出版されてからタイムラグがあったことをお話ししました。

カセットテープに変わり、現在はDigital Accessible Information System (DAISY)が読書に使用されていること、DAISYは視覚障害者以外にも文字を読むことが困難な人々にとってもアクセシブルな読書の手段であることをお伝えし、デモでDAISY図書を読んでいる様子を聞いていただきました。

最後に、Kindleで提供されている本もiOSの読み上げ機能であるVoiceOverを使って読むことができること、とはいえ全ての本が読めるわけではないのでまずはサンプルをダウンロードしてVoiceOverを使って読めるかどうかを確認してから購入している話しをしました。

デモとして、プロダクトデザイングループの皆さんが書かれたSmartHRが実例で解説!業務アプリケーションにおけるデザインアプローチの心得(CreatorZine Digital First)を買って読んでみる様子を紹介しました。

「余暇を過ごす技術」

余暇の過ごし方は様々あると思いますが、僕はゲームが好きなので、3回目の会では普段遊んでいるゲームを紹介しました。

主に音を使って進めることのできるゲームを紹介し、実際に遊んでいる様子を動画で見ていただきました。

まず、複数の音で遊べるゲームの入ったAudio Game Hubや、全盲の戦士が活躍するA Blind Legend、最近はまっているSonar Islandsのデモを紹介しました。 上記はいずれも音でキャラクターの位置情報や剣を振るうなどのアクションの情報が表現されていて、全盲の僕にとってとても楽しいゲームです。

また、STREET FIGHTER Vはキャラクターの位置情報が画面だけでなく音の動きでも表現されているので、僕も戦いを進めることができる話しをしました。

とくにこの会は、ゲームをテーマにしていたこともあってか、雑談がとても盛り上がりました。

まとめ

2月に開始した新たなアクセシビリティを題材としたコミュニケーション施策は、参加してくださっている皆さんのおかげで概ね順調です。

今後も、皆さんに興味を持ってもらえそうなテーマを考えながら、プログレッシブデザイングループが取り組んでいることが身近な課題であることを意識していただけるようにこの活動を続けていきたいと思います。

またのご参加、お待ちしております!

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