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「死刑制度」① 死刑ってそもそも何? 前半

どうもアコニチンです。

さてさて、これから死刑制度についてディベートをしていきますが、その前に死刑制度って何なのか、前提として必要な知識の確認からしていきたいと思います。ぽちぽち書いてたら4000字超えちゃったので、前半と後半に分けました。こちらは3000字の前半パートになります。ディベートの話には入らないので、悪しからず。

後半パートはこちら↓

以下、前半パートとなります。

ざっくり簡単なことを言ってしまうと、死刑は「殺人などの罪を犯した凶悪犯が受ける刑罰」です。主に日本の死刑制度について取り上げて、説明していきます。


1、どんなことをすると死刑になるの?

死刑になる罪は全部で18個あります。結構ありますね。主に殺人が関係しているものが多いです。生存権は憲法で定められた大切な権利ですから、他者の生存権を侵害するのは、皆さんも知っての通り、重罪なのです。

内乱罪(ないらんざい)
外患誘致罪(がいかんゆうちざい)
外患援助罪(がいかんえんじょざい)
現住建造物等放火罪(げんじゅうけんぞうぶつとうほうかざい)
激発物破裂罪(げきはつぶつはれつざい)
現住建造物等浸害罪(げんじゅうけんぞうぶつとうしんがいざい)
汽車転覆等致死罪(きしゃてんぷくとうちしざい)
水道毒物等混入致死罪(すいどうどくぶつとうこんにゅうちしざい)
殺人罪(さつじんざい)
決闘殺人罪(けっとうさつじんざい)
組織的な殺人罪
強盗致死罪(ごうとうちしざい)
強盗強制性交等致死罪(ごうとうきょうせいせいこうとうちしざい)
爆発物使用罪(ばくはつぶつしようざい)
航空機強取等致死罪(こうくうききょうしゅとうちしざい)
航空機墜落等致死罪(こうくうきついらくとうちしざい)
海賊行為致死罪(かいぞくこういちしざい)
人質殺害罪(ひとじちさつがいざい)

これからのディベートでは話を簡単にするために、「複数人を殺害をすると死刑になる」という前提にのっとります。18個の罪それぞれについて述べると正確な議論ができるのですが、割愛!

詳しくはこのサイトでそれぞれの罪についての説明をお読みください。

2、どうやって死刑になるの?

死刑については、刑法で詳しく定められています。例えば、絞首にて死刑を執行するとか、法務大臣の命令によって執行するとかですね。日本は行刑密行主義(ぎょうけいみっこうしゅぎ)といって、死刑の全貌を隠したがるので詳しいことは分かりません。

死刑について、菊田幸一「死刑廃止を考える」から抜粋します。

(3)死刑の執行はどのようにおこなわれるか 死刑の執行方法は世界的には電気殺、ガス殺、絞首刑、薬物注射などがありますが、日本では死刑は監獄内で絞首して執行することになっています。現在執行の行われているのは、大阪、名古屋、宮城、福岡、広島、東京、札幌の7か所の拘置所です。じつは処刑が実際にどのようにして行われるかについては、われわれ国民の多くには必ずしも十分に明らかではありません。……それでも死刑執行に立ち会った人などの話から、処刑の酷さについては多くのことがわかっています。たとえば仏式の場合は、教誨師の読経のあと、仏前で焼香し保安課長の手で目隠しと手錠がかけられます。下着などは脱がされ、大人用のおむつが当てがわれます。それは首吊りによる失禁用のものだと思われます。また目隠しをするのは、首を吊った瞬間、頸動脈が切断され、口からも血が吹き出るのを防ぐためであり、また首吊りと同時に眼球が飛び出るので、その恐ろしい形相を見たくないためだともいわれています。さて目隠しをされてカーテンが開けられると、二三歩進んだところが刑壇場です。刑壇場の真ん中に1メートル四方の板があり、これがはずされて宙づりになるのです。そのため天井からは太さ2センチ、長さ7.5メートルのマニラ麻ロープがぶら下がっていて喉にかけられます。そして合図とともに足場の板が落とされるのです。地階は死体搬出部屋になっていて、刑務官と死を確認する医務官が待機しています。……死刑囚の遺体は、……火葬の後で遺骨だけが渡されるのです。

なかなか凄惨な内容でしたね。裁判を経て、死刑判決が下された死刑囚はこのようにして死刑執行されるのです。1948年に最高裁判所は、死刑(絞首刑)は憲法第36条が禁止する「残虐な刑罰」に値しない、つまり死刑は合憲だという判決を下しています。絞首刑では、ボタンが押されて床が開き、首が閉まってから数秒で死に至るらしいですが、死後の様子を見ると残虐な様子が伺えます。

憲法とその解釈について、「日本国憲法を対話で学ぼう」というサイトから引用しておきます。とても分かりやすいサイトなので、憲法について学びたいときにオススメです。サルでも読めます。

憲法第36条「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」「残虐な刑罰」とは、「不必要な精神的、肉体的苦痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰」と解釈しています。例えば、火あぶりやはりつけなどです。

3、死刑の歴史

死刑の歴史についてWikipediaから引用してきました。前近代の死刑に思いを馳せると、「受刑者の死亡」自体が刑の目的ではなく、受刑者が死なないこともあったので、死刑を「殺人などの罪を犯した凶悪犯が受ける刑罰」と定義した次第であります。

死刑は、身体刑と並び、前近代(おおむね18世紀以前)には一般的な刑罰であった。また、「死刑」という刑罰があったわけではなく、多くの「死に至る(ことが多い)刑罰」が並行して用いられていた。たとえば壁に埋め込めたりして餓死させる方法もあった。 
犯罪行為に対するものにかぎらず社会規範を破った事に対する制裁として死刑が行われていた時代もあった。苦痛の多い「重罪用の死刑」や苦痛が少ない「軽犯罪用の死刑」、あるいは「名誉ある死刑」「不名誉な死刑」などが使い分けられており、処刑方法ごとに別種の刑罰と受け止められていた。 
「生き残った場合には『刑は執行済』として放免される」という現象が見られた。「受刑者の死亡」自体が刑の目的となり、現代的な意味での「死刑」という概念が確立されるのは、のちの時代になってからである。 
死刑が多様な犯罪への処罰として用いられてきたこと、また多様な死刑が存在していたことの理由としては、自由刑が普及するまでは「犯罪者を長期にわたって拘束・収容する」という発想・制度が存在しなかったことが挙げられる。結果として、再犯を防ぎ社会的な秩序を守るために死刑が適用されることが多かった。   近代に至って、西洋で人権という新しい概念が開発され、民主主義・資本主義への移行に伴い統治機構の整備・改革が行われるにつれ、死刑の扱いは変更された。まず、啓蒙時代のカントやロックが、刑罰を「人権侵害に対する国家による報復である」と位置付け、死刑はあくまで生命権を侵害したもの、懲役は自由権を侵害したものに科せられるべきと論じた。 そのため死刑は「重大犯罪に対する特別な刑罰」と位置づけられるようになり、祭事性が否定され、非公開とされる傾向が強まった。 さらに、身体刑の要素が削減されて刑罰内容が「生命を奪う」ことに純化され、方法は「強い苦痛を与える方法」を避けて「ギロチン」「絞首刑」「電気椅子」「毒物注射」「銃殺刑」などの比較的短時間にあまり苦痛を伴わずに死ぬようなものに変わっていった。

まとめ

死刑は「殺人などの罪を犯した凶悪犯が受ける刑罰」で、複数人を殺害をすると死刑になることが多い。絞首刑で首を吊った死体はグロテスクなものだが、最高裁判所によると絞首刑は残虐ではなく合憲である。

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