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「ドッグフード」に気をつけて ー 私はこんなふうに考えた(2022/5/15)

本投稿は日経新聞に記載された記事を読んで、私が感じたこと、考えたことについて記載しています。
記事の長さはおよそ1,200〜1,500文字ですので、2〜3分程度で読めます。

みなさんの考えるヒントになれば嬉しいです。
よろしければ、お付き合いください。

「マガジン」にも保存しています。

「学びをよろこびに、人生にリーダシップを」
ディアログ 小川



【ヒットのクスリ】
カーナビなのに画面なし
視覚優位の常識に挑む

2022/5/13(金)日経新聞朝刊


記事のポイント

  • 「見た目が同じパテとドッグフードを食べて区別できるか」。こんな実験を米国で実施したところ、誰一人当てることができなかった。

  • ソムリエに赤ワインと白ワインを渡してみた。白ワインは食紅を混ぜた「にせもの」だったが、ソムリエは両方とも赤ワインを飲んだような感想を述べたという。

  • これは脳科学とマーケティングを融合したビジネス書「『欲しい!』はこうしてつくられる」(白楊社)で紹介しているエピソード。大脳での情報処理上、視覚が味覚や聴覚より優先されるためで、プロでも惑わされてしまう。

  • 広告、デザインなどマーケティングの基本は、言うまでもなくいかに視覚にインパクトを与えるかにかかっている。

  • そんな視覚優位の世界で、画面を使わないカーナビゲーションが誕生した。パイオニアが3月に発売した「NP1」。音声ガイドが目的地まで誘導してくれる。

  • この商品の開発は、長年業績が低迷していたパイオニアの反省から始まっている。作り手本位のビジネスではなく、顧客が潜在的に求めている価値を探求。生え抜きと中途入社組を加えたイノベーションチームを結成し、たどり着いたアイデア。

  • 視覚より音声で勝負に出たパイオニア。敵はライバル社というよりも、世間のナビに対する固定観念だろう。

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視覚が味覚や聴覚より優先されるため、プロでも惑わされてしまうことが紹介されていましたが、
そもそもプロ(専門家)って、どんな人なんでしょうね?

私は、専門家とは特定の分野で「長い間働いて報酬を得ている」人であって、必ずしも「正解を知っている人とは限らない」と思っています。

ペンシルバニア大学経営学・心理学者のフィリップ・テトロック教授の調査結果によると、「専門家の予測精度はチンパンジーのダーツ投げ並み」なのだそうです。

ある分野に長くいればいるほど専門知識が深まっていくことは確かですが、ひとつの道を極めれば極めるほど、その世界での「常識」や「固定概念」が染み付いていくのも避けられません。
紹介されているパイオニアもカーナビの専門家だったからこそ、自分達の「正解」にこだわって業績が低迷したわけですよ。

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行動経済学で「ヒューリスティック」と呼ばれるものがあります。

「困難な質問に対して、適切ではあるが往往にして不完全な答えを見つけるための単純な手続き」

『ファースト&スロー(上)』 ダニエル・カーネマン著


「日常の判断を行うときに私たちが使う心理的な思考の近道」

『影響力の武器[第3版]』ロバート•B•チャルディー二著


多くの不確実な状況で、脳は自然には正しい可能性を計算できないため、確率の法則の代わりに「経験則」を使っています。その際に人間はヒューリスティックの影響を受けてしまいます。

  • 代表性ヒューリスティック:代表的な例が全体を反映していると勘違いする。

  • 利用可能性ヒューリスティック:馴染みのあることはよく起こると判断する。

  • 固着性ヒューリスティック:自分の考えや直前に見聞きしたものに固執する。


最近、プロ・専門家(自称?)の方が、視覚的に「正解」を訴えかけてくることがくることが多くなっているように感じます。

気づいたらドッグフードを食べていた、なんてことにならないように「脳は視覚に騙されやすい」「専門家が正しいとは限らない」ことを意識しておきたいですね。


美味しいものを食べて、次回の投稿に向けて英気を養います(笑)。