10年越しの「シカマン」最終回。

2020年5月24日深夜に放送された『JUNKアンタッチャブルのシカゴマンゴ 最終回スペシャル』を聞きました。


シカゴマンゴは2005年4月の初回放送から聞き続けていた番組だった。
いつか本当の最終回をやりたいと言った2010年3月の最終回もリアルタイムで聞いていたから、去年11月にアンタッチャブルの漫才が復活したときは飛び上がるほど嬉しかったし、その時からずっとシカマンの復活も願ってやまなかった。

あちこちオードリーで伊集院さんが直接柴田さんに進言したときも超嬉しかった。

そうやって待ち望んでいた本当の最終回は、ただただ面白かった!いい意味で湿っぽさは全くなく、フリートークもネタコーナーも当時そのままの空気で、布団の中で笑い声を押し殺しながら聞いていた15年近く前の木曜深夜にタイムスリップしたような気分だった。ネタにミルクボーイとかあいみょんが出てきて、今はいつだかわからなくなるくらいだった。

会話のキャッチボールというけれど、アンタッチャブル2人の漫才やトークはバドミントンのようだと思う。剛速球のぶつけ合いでありながら一方的には感じなくて、超高速のラリーが成立している。ザキヤマの些細で唐突なボケも全部柴田が拾うから、話が途切れるどころかテンポが緩む瞬間すらなくて、ずっと耳が離せない。2人きりでのトークを聞けるのは本当に10年ぶりだったけれど、スピード感が完全にそのままだったから、余計に当時のことを思い出した。


私が深夜ラジオから勝手に教わったことのひとつに、「みんなちがって、みんなダメ、でもみんな生きてる」ということがある。

シカゴマンゴがレギュラー放送していた2000年代後半、自分は学生時代で、人付き合いや部活のことで人一倍劣等感や自己嫌悪を抱えていた。学校に居場所がなくて、他人の目が気になって仕方なくて、生きている意味も価値もないなあと感じることが多かった。
そんな毎日のなかでラジオを聞いている時間だけは、イヤホンの向こうの声にだけ没頭して無心で笑っていられて、気持ちが楽だった。深夜3時までリアルタイムで聞いていられる日は少なかったけど、MDに録音して学校の行き帰りにも繰り返し聞いていた。

深夜ラジオでのパーソナリティは、自分の弱い部分や失敗談をさらけ出してくれていた。悲しさや怒りを感じさせることもあったけど、それもひっくるめて笑い話になっていた。華やかなテレビの世界で活躍している芸人が日々のちょっとしたことで落ち込んでいたり、ヒット曲を歌うアーティストも何十年も前の失敗を未だに引きずっていたりすることをそこで知った。
それはリスナーからのネタ投稿でも同じで、日常での失敗や居たたまれない苦い思いが笑いを誘う文字になって番組に送られて、それを読むパーソナリティの口調や声色も相まって、お腹がねじれるほどの爆笑になっていた。

シカゴマンゴのコーナー「モテない才能」は、まさしく自分のダメな部分を笑いに変えるネタコーナーだった。一人で抱えていては暗くなりそうな事象がネタになって、それでアンタッチャブルの2人が大爆笑していた。短文ネタの切れ味の良さも、モテない替え歌の力の入り方も面白すぎた。「2回こく」とかの鉄板フレーズは何度使いまわされても笑えた。

今回の最終回スペシャルで復活版を聞いた時、このコーナーに自分のメンタルを救ってもらっていたことを思い出した。自分にはダメなところしかないと思っていたけれど、誰しもモテない、ダメな部分を持っている、でも捉え方によってはそれは才能で、笑いの種になることを知った。ダメな部分を笑って分かちあいながらみんな生きているから、自分だけがダメだと思う必要はないし、自分もモテないところを笑って話せるようになりたい、と少しだけ前向きになれた。番組側はこのコーナーにそんな意図を持たせていなかったと思うけど。

今回の復活によって、自覚していた以上にシカマンは自分にとって思い入れのあるラジオ番組だったと気付いた。最終回を聞き遂げられて本当に良かった。また何らかの形でアンタッチャブルの2人の剛速球のようなフリートークが定期的に聞ける場ができてほしいな。


改めて、アンタッチャブルのシカゴマンゴの5年間+1日の放送、あざーす!おーでーべーす!


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