椿 (短歌)
椿の朱ひときわ鮮やかな窓辺 死亡者数を入力しており
システムが、システムを、管理するbug、bug、bug、命を削る
入管にならぶ人の眼うつろな眼なめらかな壁にそって入滅
帰り道、月光を皮膚にゆきわたらせる(どうぞ、殺菌されますように)
マゼンタの椿散らばるワンピースがお向かいの庭に溶け込んでいる
ききわけのよい子どもから順番に出生届に記載されくる
自死病死溺死不明死各々が半角数字で行きつく涅槃
冷え切った/指先/繊い陽/ココア缶/受話器越しふるえる呼び出し音
大災害あれば真っさきに崩れるビルの屋上で食べるツナマヨ
夥しい死んだ人らの表層でわれら出会って死んでゆくのに
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?