見出し画像

E式 (短歌)

広大な白のシーツの中央に置かれていました 頭髪を濡らして

全方位 淡い品々に囲まれて(だれもいませんかだれかだれか)

途絶えつつ聞こえるリフの繰り返し あかるいほうにあのひとがいる

湯冷ましに浮かぶ二日月 腕が二本もあってまとまりません

はばたきの一瞬ごとに忘れ果て蝶々それはまったくの楽天家

「黄昏は鬱になるってともだちもそういってたし」放縦な嘆き

透明な甲殻類の吐く泡が成層圏でいくつもこわれる

きれぎれに星の生まれる昏い丘 野蛮なたましいを赦し給え

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?