感想/月ノ美兎は箱の中

月の兎はヴァーチュアルの夢を見るの途中で涙が出てきた。どういう感情なのかは自分でも分からない。
あの映像を経て運ばれてきた"実際"の箱の緊張感。映像の流れていたモニターとステージ上の箱の高さのずれ。浮かぶ想像と、そんなはずがないという困惑。続く様に流れるイントロ。光る地図。箱からの煙幕。開いて、そこに月ノ美兎が居る。
「月ノ美兎が居る」と思った。月ノ美兎1stワンマンライブなのだから当然月ノ美兎は居る。それでも「月ノ美兎が居る」と思った。今まで何度もバーチャルな人々のライブを見てきたけれど、いつまでも「居る」ということに思考の一瞬を奪われる。
そこもモニターであったことを、月ノ美兎が居るのを、演出が映るのを見た時初めて気づいた。


光る地図って泣いてしまう曲だよなと思った。月ノ美兎さんのウィスパーな高音は涙腺を刺す。イントロの強さから1番目に持ってくるに相応しい曲だと言っていて、実際いきなりこれから始まるパンチ力ってえげつないなと思うのだけど、光る地図をクライマックスに持ってくるライブがあるとしたらそれはもう本当に凄まじいと思う。
月ノ美兎さんの高音が好きで、こんなんライブ会場の音響や空間で聴いてしまったら凄いことだよ…と思っていたので、いきなり刺された。
よく考えたら自分のイヤホン以外の音響で月ノ美兎さんの歌声を聴いたの初めてだ。


待機の音が乱れてライブの始まりを察知して、流れ出す月の兎はヴァーチュアルの夢を見るのOP映像、箱が開いて光る地図、ウラノミト、衣装転換、あまりにも怒涛。
ウラノミト、本当に好きなのでイントロが流れた瞬間 これです……と思った。他にももっと聴きたい曲は沢山あったんだけど、これです……と思った。
演者が手を横に振ると客席のペンライトが同じ様に揺れるの、妥当な動きだとは思っているけどいつ見ても 少し面白いな…になってしまう。なんか従順で…。


月ノ美兎さんの動きを見るのが好きだな…と思っていたから、ダンスが沢山見られたのが本当に嬉しかった。魅惑の巴里サーカス急行!の電車みたい手をくるくるするところが頭に残ってる。月ノ美兎さん、ずっと可愛かった。
今回のライブで初めて知った曲だったので今初めて原曲を聴いているのだけど、これを月ノ美兎さんが歌ってるのを聴けたの、嬉しい……になっている。原曲を後から知ってこれを歌ってるのを聴けたのが嬉しすぎる…になること、よくある。


カバー曲は初めて聴く曲が多かったのだけど、どの曲も本当に盛り上がる曲調でライブで見れたのが嬉しい曲ばかりで良かった。こんがらがった!もそうだったのだけど、手拍子があることに気づいて曲が進むにつれて合わせられるようになったのが嬉しかった。
あと本当に、知ってる知らないに限らず楽しめる(知っているからこその思い入れや感動は別の話として)様な映像演出があるのが嬉しい。


ウェルカムトゥザ現世のことがどう考えても好きなので、ライブで聴く事が出来たのが本当に嬉しい。このご時世じゃなかったら頭を振ってしまう所だったので危なかった。その代わりに謎ノ美兎が暴れ回っていたので良かった。謎ノ美兎を実際に見るという実績を解除することって有り得るんだ。


ありふれた毎日の歌良かった。どこかミュージカルっぽいのがライブという場に合ってて楽しかったし、最後の照明が籠になる演出が本当に良かった。そこから部屋とジャングルのリビングに繋がっていって、月ノ美兎さんが寝起きのように軽く伸びをしたのが世界観の切り替わりを感じて好き。全然そんなことしてなかったらどうしよう。ライブ中の仕草の記憶に全く自信が無い。なんとなく「あ、夢から覚めて日常になるんだ」と思った感覚がある。
部屋とジャングルの映像演出が、まさに曲を聴いて思い浮かべていたようなそれだったので、これだ…と思いながら見ていた。


みとらじギャラクティカ楽しかった。みとらじギャラクティカ……みとらじギャラクティカ楽しかったな。みとらじギャラクティカ、アルバムで聴いた時からもうずっとみとらじギャラクティカ楽しいな…の気持ちだったので、なんというかもう、みとらじギャラクティカ、楽しかったな………。
前日キャスで作曲者さんが圧 倒 的 存 在 感と同じ人だったことを知り、全てに納得してしまった。私の夢のひとつが圧倒的存在感を現地で浴びることでした。それは今も変わらず。
みとらじギャラクティカ、\ギャラクティカ!/のコール(手拍子)の楽しさは勿論だけど、ペンラの振りも相当楽しかった。コール箇所で声が出せない分大きめに手を振ったり伸ばしたりするのが好きだから、3倍アイスクリーム!の所とかでそれをするのが楽しかった。


恋?で愛?で暴君です!、俺はそういう歌が大好きだ…になってしまい、最高だった。ウィスパーなそれが好きなのと同じくらい強く張り上げるタイプの月ノ美兎さんの高音がすごく好きで、この歌のどこかで「それ!!!!」になったのをすごく覚えてる。どこだったかは覚えてない。
原曲を聴くと思っていたよりもかなりキュートな印象でびっくりした。多分暗い会場、赤いペンライト、映像演出も相まってのそれだと思うけど、月ノ美兎カバーではもう少し強めで盲目的な印象を受けていた。どちらの良さももちろんある前提で、その盲目的な所が個人的にすごく刺さった。


絶対に聴いたことがあるイントロだ、自分が好きな曲のイントロだ、絶対知ってるはずなのに思い出せない、なんだっけ、絶対に知ってるはずなのに!となって、タイトルが表示されてようやくそれがラブカ?だったことを思い出した。赤色のペンライトに照らされる空間が曲に合っていて美しく、どこか恐ろしかった。
好きな歌声で好きな曲が歌われていて、興奮、感動。愛らしさのある高音はそれでいてキンキンとしていなくて、月ノ美兎さんの歌声が…好き。歌ってくれてありがとう…。
歌詞中の文脈と噛み合うのかと言われたらそういう話ではない(少なくともそういう意図の引用ではない)けど、ライブ会場の印象としてかなり後ろの席にも関わらずあまりにも「近い」と感じていて、ずっとその感覚にどこか緊張していたから「届く距離」というワードが歌われて少しどきっとした。ライブ中、月ノ美兎を見ていたし、月ノ美兎に見られていた気がする。オタクの思い上がりとかではなく、事実として月ノ美兎に届く距離だったと思う、あの空間の全てが。


NOWを、曲の緩急に合わせて客席のペンライトの様子が変わっていた印象。語りのようなAメロで落ち着き気味だった会場の赤がBメロからサビにかけて曲が上がるのに合わせてガッと沸き立つのが良かった。そんな中で「さっきまで腕振ってたファンはそれぞれ勝手に談笑」の所で、既に着ぐるみノ美兎が現れていたから近くに居た人達が彼女に対して手を振ったりしていて、それが「まさに」という感じでよかった。
それにしてもコール箇所に合わせてペンライトを振るの、タイミングがめちゃくちゃ難しかった。拍が分からない。
今セトリ聴き返してラブカ?からNOWをにかけて「鯨の体内」で繋がるのに気づいた。凄すぎる…。


浮遊感UFO好き。
曲を聴いた時のイメージとしては、淡くて、それでいてどこかもったりとしたスカイブルーで、それこそ誕生日ライブの時の放課後の教室とかはそれに近くて。ありふれた日常の中の少しの不思議と秘かな恋心を感じる曲だと思っていた。だから実際にライブで与えられた視覚情報がビカビカにきらめく蛍光色のライトアップだったのが大きな衝撃だったし、それでいて今…聴き返して、光景を思い返して、「分かるな…」と思った。
ライブでの照明や歌詞演出は、曲だけのイメージの時よりもずっと強く歌の中の視点主自身の不思議さや異質さを見せていた印象がある。言ってしまえば電波っぽさ。周りを不思議がる彼女の一人称で歌われる曲からだけじゃ見えにくい彼女自身の不思議さが、ライブの光景という第三者の視覚を通して情報を与えていく演出の場の中で強く描かれていた気がする。
それはそうとして蛍光色のライトブルーとピンクのドットで描かれるうさぎや宇宙人だったり、反転で表示される歌詞や細枠だけのフォント(なんて言うんだ…)だったり、純粋に演出の全部が本当に良くて、映像として好きすぎる。浮遊感UFOのMVとして動画にして欲しい。
元々アルバムの中で一番好きな曲で、今回のライブでも一番好きな曲だったな…と思う。


それゆけ!学級委員長の「どーーん!!」で無数のペンライトがまっすぐステージ上の委員長を刺していて良かった。あとしゃららんしゃららんしゃらららんのところでコール代わりに振るのも楽しかった。
月ノ美兎さんのライブパフォーマンスが好きすぎる…を実感したのがにじFesのレーベルステージだったのだけど、それゆけ!学級委員長の語りの所でめいっぱいに叫んでくれるのが本当にすごく良くて、今回もそれが見られて嬉しかった。「待ってる!」良すぎる。


制服に着替えて歌う最終ブロック(仮)の曲が浮遊感UFO、それゆけ!学級委員長、Moon!!なの、納得が凄い。
Moon!!、楽しかったな……。ひたすらに……。


コール無しアンコールのやり方、どこに行っても未だに分からないままだ。今回かなりハイスピードなタイプで、途中で普通の拍手のスピードに達してしまって「?」ってなって仕切り直しになったのが少し面白かった。難しい。


Wonder NeverLand!のタイトルコールがされた時、そういうこともあるのか…と思った。それが聴けることってあるんだ。良かった…。よく考えたらWNLが有観客リアルイベントで聴けたのって今回が初めてだ。WNL聴く度に良い曲すぎる……って染み入ることしか出来なくなる。


アンチグラビティガール、何回聴いても凄い曲だな…と思うし、それを歌う月ノ美兎さんも凄いな…と思う。いつまでも新鮮にどきどきする。


クライマックスになるにつれて、楽しいライブの高揚感や最高を浴び続けることの疲労感(体力の無さ…)で頭がまわらなくなっていくから実際にどう感じていたのかの記憶が薄れていく。ただあの空間は本当にどこまでも楽しくて魅力的で、月ノ美兎はどこまでも眩しかった。それだけが確かで全てです。