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S.Q.S Ep10『月野奇譚 太極伝奇 -干戈騒乱-』

2次元…というよりは3次元、どちらかと言えば俳優さん特化型オタクの防備録、ネタバレありです。感情がまとまらず、9000字。(長い)

前回、座組が変わってしまって気持ちを作れないまま観劇し、そのまま沼落ちした新体制のスケアステージ。今回はこのメンバーに会えるのを楽しみに、楽しみにしてのEp10。ド平日に有休とって、この際だからとマチソワ参戦。

いやぁ…すごかった…。
マチネが最前通路席だったので、もうね、アトラクション状態です。だって隣にキャラクターが降ってくるんだよ!?武器振り回しながら走り抜けていくんだよ!?シンプルに、怖い!!(楽しい)
先端恐怖症だったら耐えられないレベルの近さで殺陣を拝めて、圧巻でした…(近すぎて何が起きているのかわからないことも多々あるレベル笑。ソワレで全景観られて良かったです。)
そして殺陣がすごいだけではないのが今作。ストーリーも重厚で、更にメッセージ性もあって。観劇後は兎にも角にも胃のあたりがざわついて、作品の内側のこと、外側のこと、ありとあらゆる色々なことを想像してしまって、もう、駄目でした。体調おかしくなるレベルの激重感情を2週間引き摺った…。上手い言葉が見つからないけれど、それだけの衝撃を与えてしまう作品って、やっぱり「良作」だと思います。以下、各キャラクターごとの覚え書き。(俳優さんに焦点が当たりがち。そして一部バカ長い。)

・柊羽さん
前回、観劇前と観劇後で180度印象が変わった2代目柊羽さん。上山さんの演じる柊羽さんを通して、今までノーマークだった「柊羽」という人物が大好きになりました。キャラクターとして、更には人としての奥行や幅に惚れました。
とにかく表情が狡いんですよ…。彼の見せる全ての表情が大好きです。すごく穏やかなのに、どこか楽しそう。まるで悪戯を思いついた時のような、ほんの少しの無邪気さと無垢さが滲む笑顔をたたえる柊羽さん、本当に解釈が一致している。
今作は陽の気溢れる第四皇子を演じてくださいましたが、高貴で聡明なのに、僅かに幼さとあどけなさが残るの、大変に良かったです…!!志季さんと出会った時の、彼に声をかけるまでの一瞬の間。酒に酔って楽しげな様子。志季さんを「関係のない客人だ」と言えるだけの礼儀正しさ…。絶対に苦しい立場なのに、卑屈にならない強さと傲慢にならない謙虚さがある…。人として完成されていて、強い。上品でゆとりがあって、そして遊び心まである柊羽さん。最高すぎます。
そしてね、彼の殺陣がまた良いんですよ…!!キレがあるのは勿論なんですが、基本に忠実な感じ。まっすぐで、「正しく習ってきた剣術」という印象です。皇子の柊羽さんとして、あまりにも解釈が一致すぎる…。物語終盤で英知を守りながら闘っていたのも良かった。マジで最高だった…!(語彙力)
ダンスライブは…もう言わずもがなですよ。ここでも柊羽さんの表情に釘付けです。物憂げだったり楽しげだったり。柊羽さんは表情がコロコロ変わるタイプのキャラではありませんが、限られた変化の中で機微が見えるの、すごい。そしてダンスもすごく正統派。丁寧で狂いがなく、どこか浮世離れしているのにちゃんと人間らしい。キレッキレなのにふわふわ。上山柊羽さんの持つ二律背反な魅力、虜になります。また絶対に会いたい。

・英知くん
英知くん…!!!今作はなかなかに辛い立場でした。そして藍沢英知さん、しんどい役がしんどすぎる(誉め言葉)。
英知くんは大きな笑顔が印象的なキャラクターだから、今回のような役回りは観ているこっちの心臓も痛くなる…。大好きな柊羽さんや壱星、壱流がいる手前、独りで抱え込むのは本当に辛かっただろうなぁと思います。腕っぷしも決して強くはなかったし。(彼だって強いはずですが、如何せん周りが強すぎる。)心身ともに疲弊して、自分の命を相手に掌握されながら生きるの、そして大好きな人たちを売らなくてはいけないの、冷静に考えたら尋常でなく辛い。
そんな中で決定的な情報を流さずにやり過ごしていたのは、彼なりの抵抗だったのかな…と思いました。害意のあるものを弾く志季さんが、英知さんを炎に通したのも納得です。英知さんも誠心誠意、全力で生きていましたね。
ダンスライブの英知くんはあまりにも可愛かったです。もう、どこを切り取っても可愛かった。スタイルが抜群で手足が長いから、動くだけで絵になるんですよね。QUELLのふわふわした動きが彼の持つ雰囲気に本当によく合っているし、EP9を経てご本人の中でイメージが掴めたのか、さらに表情が柔らかくなりました。そうか、新生QUELLの天使担当は英知だったか…。もっともっと彼の英知さんに会いたくなりました。また会えるといいな。

・壱星くん
強かったね、獄族の壱星くん。瀬川壱星さんはかなりシャープな印象の方で、今回も「知性の人」のイメージがありました。獄族壱星さん、これで動けるのだから向かう所敵無しです。強い。
また、獄族に血縁はないけれど、壱流との絆が見えるシーンがいくつもあり良かったです。人族のことをよく理解できない壱流をたしなめるのも、兄らしくて良かった。ヒトではないのに人の優しさがあり、とてもバランスの取れたキャラクターだな…という印象。彼の安定感が今作の脇をしっかりと締めていたように感じます。お当番ではなかったから、柊羽さんや英知くんのようにスポットライトが当たっていたわけではなかったのに、そのなかでこれだけ魅せることができるのだからすごいな…と素直に感心しました。彼のお当番回に期待してしまう。
ダンスもとても素敵でした。前回、「2代目壱星くんは氷属性の貴公子だ…!」と思ったわけですが、その印象はそのままに、さらに力強さが加わっていました。美しくて凛としていて、格好良かったです。…まさしく「花」ですね。まだまだ掘り下げたら沢山の魅力が詰まっていそうな壱星くん、次にお会いできるのも楽しみです。

・壱流くん
可愛かった…!獄族だから人族の理を知らず、一つ一ひとつの言葉が着飾らなくて、その率直さにひやひやしてしまう笑。無邪気な残酷さを孕んでいるけれど、決して嫌な奴ではなくて、人族との触れ合いを重ねるうちにどんどん彼の世界が広がっていくようでした。お兄ちゃん以上にヒトならざるモノ感が強く、と同時に人間の温かみが同居している壱流くん。好感度高いです。恐らく皆大好きな契約のシーン。「インドア…アウトドア!」のところ、可愛すぎて観劇中マスクの下で唸ってました。反則でしょ…。で、この北出壱流くん、めちゃくちゃダンスがお上手なんですよ…(と気付いてしまったのは『人間ライブラリ』の時でしたが。)関節どうなってんの!?という動きができるんです。となると、予想していた通り…殺陣もすごかった!!小柄だけどキレがあって迫力がある。なんというか、ちっちゃいトルネードって感じ。見ていて気持ちの良い殺陣でした。
ダンスライブは…正真正銘のアイドルらしいパフォーマンスです。繰り出されるファンサの数々が高火力。EP9で役者様が舞台経験は浅いと仰っていましたが、EP9から1年足らずで随分大きく成長されていました…大物感のある北出壱流くん、これからがますます楽しみです。

・大さん
EP9を経て気が付いてしまったんですけど、私、2代目大さんのビジュに弱いです。わけわかんないくらい好き。村瀬大の夢女になるかと思いました。阿部里津花ちゃんの気持ちがよくわかる。(余談ですが、前回あんなに大さんに骨抜きにされていたのに、今回2作目にして早くも「大ちゃんマウント」をとる側に回ってしまった里津花さんはあまりにも好き。)
そんなビジュアル大優勝の大さんですが、今作もめちゃくちゃ格好良かった…!! 太極世界の大さんは、獄族志季さんに出会った時に死んだフリをしたり、志季さんの年齢に驚いて急に敬語使ってみたり、お茶目な部分があってとても穏やかな好青年でした。そして、翼たちに対しての関わり方がとても優しくて素敵でした…!!志季さんに色々言われて落ち込んでいる翼に対して「野良猫みたいなものだろ」と声をかけるシーンもそうだけど、慰めるわけでもなく、励ますわけでもなく…大さんなりの言葉で相手の苦しみを軽くしてあげて、本当にさりげなく、前を向かせてくれる。すごく人格者だなぁと感じました。
殺陣もすごく格好良かった…!!高身長でスタイルいいから、居るだけで迫力あるのに、その彼がキレッキレに動いているのはもう、ねぇ…。(言葉にならない)長槍を足で払うところ、めちゃくちゃ好きです。配信に映っていたから、円盤に入れて欲しい…。
ダンスもあまりにもセクシーすぎるし、微かに浮かべる笑顔が尊いし、大ちゃんさん、可能性がありすぎてしんどい。そろそろ大推しになりそうです。でも、そうなるともはや箱推しか…。

・里津花さん
はい。S.Q.Sの最推し、私をこの沼に落とした張本人、阿部さんが演じてくださる里津花さん。今作も最初から最後までドキドキしっぱなしでした…!
獄族の里津花さんは、動きが全体的に猫のようで、ふわふわしていて兎に角可愛い。さすが「ぱわーふぁいたー」と称されるだけのことはある。可愛いの擬人化です。(志季さんに「俺もいるよ、しーきぃ」って呼びかけシーンマジで反則級の可愛さでした。しんどい)殺陣も同様で、ふわふわした長い髪を揺らしながら体重が無さそうに舞うのに、一撃一撃にパワーを感じる。強い、強すぎる…。背中や腕から覗く筋肉のしなやかさに惚れました。
今回の里津花さんは自分の生き方に迷いがなくて、すごく安定感がありました。しかもギャップがすごい。彼が人族贔屓だと語るシーン、最前でおもいっきり目が合っていたのでマジで心臓が握りつぶされるかと思った…美しいし恐ろしいし格好いいし、本当に魔性の人。大ちゃん相手に契約を持ちかけるシーンも、大に一生を賭ける覚悟を決めた里津花さんの漢気と、ほんの少しの緊張感から見える少女のような可憐さに、こちらはもうタジタジです…。やっぱりアナタが推しだ…!
ダンスライブも、勿論格好良かった。原作を知らない私をS.Q.Sに突き落とした里津花さんのダンス、初めて現地で拝見した時に「もう思い残すことない…」って泣いたんですけど、オタクって強欲で駄目ですね…。まだまだ、何度でも阿部さんの演じてくれる里津花さんに会いたいと思ってしまう。彼は表情が本当に良くて、すごく雄臭い顔をしたり、急に綺麗なお姉さんになったり、言葉を選ばすに一言で言えば「狡い」んですよね…。ネクタイ咥えたあの曲は、風紀が乱れてもうどうしようもなかったし。優等生から悪いオトコまで、纏う空気がコロコロ変わる里津花さん。EP1から演じ続けてくださっているからこその安定感と余裕が、軽妙洒脱な里津花さんのオトナの色気に繋がっていて、はっきり言うとこれ以上の正解が見えないってくぐらい完璧な阿部里津花さん。またお会いできると信じて、その日を待っていようと思います。…信じてるから!(号泣)

・志季さん
塚本さんが演じてくださる志季さんも3回目。この志季さん、ビジュも表情もダンスも、何から何まで刺さるので大変です。塚本さんの殺陣は『新宿羅生門』でほんの少し拝見しただけなのですが、めちゃくちゃ格好良かったので今回浴びられて幸せでした…。獄族志季さんは動きが緩慢なシーンが多いから、動いたときのギャップで動体視力追いつきませんでした笑。ダンスも勿論キレッキレです。体躯が素晴らしすぎる。お顔小さいし腰の位置は高いし。あと、パフォーマンスに余裕があるのも、志季さんとしての解釈が一致過ぎる。
志季さん…というか、獄族の志季さん。色々と考えてしまうキャラでした。
個人的には、今回の太極世界に限らずスケアの中で一番共感してしまうのが篁志季というキャラクターです。たまに自分と似ていて同族嫌悪に…陥らないだろうところも含めて多分似ています。完全自分軸の自己完結型。
ということで、今回は自己分析をするように「獄族の」志季さんを観ていました。(SolidSリーダーの篁志季さんと獄族志季さんは別の人格であるという前提の解釈です)
執着や興味を持たない…って、実はすごく保守的です。私は何かが始まるとすぐにそのエンドを想像してしまう人間なんですが、その時の離別の痛みって、受け容れがたく辛い…自己を保てなくなる危険性すら孕んでいる。自分のコントロールできない存在(他人)に自分の気持ちをかき乱されるのも苦手で、怖い。だからあえて執着しないんです。完全自己完結型の世界を作り上げて、その内側に引きこもる生き方をしています。
でも、自分の内側に他者が住まう生き方に対しての憧れもある。終わらない友情とか、自分の命よりも大事なものに出会いたいとも思う。
…だから、獄族志季さんが柊羽さんに出会った時に「友よ」と言われて顔を上げたのも、炎から離れられたはずなのにそうしなかったのも(契約者ではなく「友達」の言葉が欲しかったのかな…と感じました)、契約のシーンで「一時の感情に流されるな」と背を向けてしまったのも、わかる気がします。…つまり、めちゃくちゃ臆病!
だから、契り酒のシーン…翼が彼の武器「強引さ」を発動して志季の気持ちに入り込んだとき、そして志季さんが恐る恐る変化を受け容れたとき…本当に救われた気持ちになりました。そして思いました。「遅いよ!」って…!翼、死んじゃったじゃん!!
もう少し、もう少し早く志季さんが勇気を出していれば…翼は死ななくて済んだかもしれない。志季さんも300年、離別の痛みに苦しむことはなかったかもしれない。自分と似ていると感じるからこそ、色々考えてしまいました。で、自戒。「機が熟すのを待つ」なんて言うけれど、逃してしまうことのないようにしなければ。
あ、余談ですが、英知くんに対して「言わない、自分で言え」って言うシーン、アイドル現在軸の志季さんが滲んでいて大好きです。他者と生きる強さを持っている純正志季さん(?)も、悩みながら成長していく太極志季さんも、どちらも大好きですね。

・翼(呪いのように長いです)
彼に関しては、もう何をどう書けばいいかわからなくて、こうやって言葉にしようとしても何度も行き詰って、書いては消してを繰り返しています。色々と、本当に色々と言いたいことがあるのに、結局全てが一つの想いに帰結する気がする。その一方でどう言葉にしても、ちゃんとは伝えられないと思う。…後述しますが、今回、役者様の覚悟と気迫に当てられてしまって、瀬戸さんと翼の境界がわからなくなる時があり、そのたびに心臓の痛い思いをしておりました。
今作の翼は…炎の王子という役のせいもあるけれど、セリフ一つひとつの声色が、今までとは全然違う。勢いを武器に苦難を突破していく翼も勿論大好きなんですが、葛藤があって、守るものがあって、立場があって…その中でもがき苦しみ、最善を導き出そうとする翼は、前作までとは違う重さや深みがありました。そして表情が本当にいい。子供みたいに泣くから、こっちの胸も苦しくなる。
今まで「先に行ってしまう人」と言えば(私の中では)志季さんで、彼を力ずくでも引き留めて、現状突破していく…それが翼の役回りだと思っていました。そんな元気印、みんなのヒーロー翼にこの結末が訪れたのは、シンプルに衝撃が大きすぎる。ショックでした。
それでも、翼の生き様…真っ直ぐで格好良かった。王子という立場に就いたのは彼の意志ではなかったかもしれないけれど、「命を賭けても守りたいもの」があって、その先に暖かな未来が待っている…。正直少し羨ましいくらい。彼のように生きられたら、すごく幸せだろうなと思います。…そう生きられるように、彼はいつだって全力で、まっすぐな努力を重ねてきたのですね。…だから最後のセリフ、「全身全霊で生きたよ」がダメなんです。思い出してまた泣いてる。自由に、軽やかな鳥のように生きたこの世界線の翼に「頑張ったね」って伝えたいです。(大号泣)
で、この本編からのダンスライブで、canaria踊るって、マジで何事なの…!?この曲、歌詞もドキッとさせる内容だし、翼の表情もかなり険しいから、もともと心臓が痛い曲だったんです。それを、そのcanariaを、この本編見せた後に見せるって、スケステくん、どういうつもりなの…!?しかも衣装肩出しになってるし、相変わらず瀬戸翼は手足長くてスレンダーで顔ちっちゃくて腰の位置高くてビジュは勿論所作も爪の先から髪の毛一本一本まで何処をどう切り取っても完璧だし表情しんどいし、何から何までもう、もうどうしたらいいかわからないよ…!情緒が完全迷子。
とまぁ、言いたいことが沢山出てきちゃうんですけど、結局多分、一番伝えたいことは「瀬戸啓太さん、ありがとう」ということでした。
彼の演技を最初に観たのは別作品…最推しとの共演がきっかけでした。その後も共演回数が多いこともあり、多くの作品の中で「役者の瀬戸さん」に出会っていた様な気がします。気が付けば大好きな役者様の一人になって、私の生活の隙間にすっかり入り込んでいる方でした。
で、先日、ちょっとしたきっかけで「推しの引退」というものを考えてしまうことがありまして…。(勿論、ご本人様とは何の関係もない、根拠もない、個人の勝手な想像です。そんなことあってはならない…!)
推しの一人である瀬戸さんで考えてしまって、ちょっと自分でも訳わからんくらいダメージを負いました。で、自覚してしまった訳です。もう取り返しがつかないレベルで、この俳優さんが好きらしい…と。そんな中でこの舞台の観劇です。
瀬戸さんの演じる様々なキャラクターが好きだけれど、私にとっては「奥井翼」は、少し特別なキャラクター。初めて拝見した日のことをよく覚えています。何の気なしに(しかもサブスクで)見た「奥井翼」という人物が、私の知りうる限り唯一無二、正真正銘のアイドルで、開いた口がふさがらなかった。瀬戸さんの表現力に圧倒されました。華があってキラキラしていて、人の視線を集めるために生まれてきた人だな…と思ったし、瀬戸さんご本人のキャラクターの中からこの解釈の「奥井翼」が生まれてくるのが、少し意外でもあり…。今まで、この手のキラキラしたキャラクターに惹かれたこともなかったのに、瀬戸さんが演じてくれる奥井翼には為す術がありませんでした。「瀬戸啓太=奥井翼」という構図が成り立つわけではないし、翼以外を演じる瀬戸さんにも何度も落とされてきたけれど、「奥井翼=瀬戸啓太」はどういうわけか成り立ってしまうんです。断言できるけれど、もし瀬戸さん以外の方が翼を演じていたとしたら、きっと私はこんなに彼に惹かれていません。
話を太極本編に戻すけれど、翼が「生きること」を志季に説くシーン、「託して、託されて、誰かの中に自分を残すこと、それが生きる意味だと、俺は思う」という台詞、その時の表情が忘れられません。あの覚悟も気迫も、EP1からここまでずっと全力で翼を生きてくれた瀬戸さんだからこそ届けられたシーンだと思うんです。今の彼でなかったら、これだけの重さや深みは出せなかったのではないか。そんなことを強く強く、感じました。
今作、私を含め多くのオタクが、主に初代からの2人の「キャス変」に怯える結果になりましたよね。(それもどうなの、とは思いますが、考えすぎて勝手にダメージ食らうのはオタクの性ですから…)作品存続のためにキャスト変更が必要なこともあるかもしれません。でも、どうかお願いです。まだまだ、瀬戸さんの演じる翼に会いたいんです。「また会いたい」と、作品のストーリーと絡めて、心から祈っています。

はぁ…。これだけ書いたのにまだ書き足りません。どうしよう。
最後に、大千穐楽のエンドについて触れさせてください。
様々な解釈があるとは思いますが、私はあのラストが「正規ルート」だと思っています。「大千穐楽エンド」でも「特殊エンド」でも「大団円エンド」でもなく、あれが本来たどり着く、300年苦しんだ志季さんが迎える結末。一気に人間らしくなった志季さんの表情も、目を丸くした後に全てがわかった翼の表情も、思い出すだけで涙が出る。
大千穐楽のあのエンドを観るまで、我々が観ていた太極伝奇の物語は完結していなかったんだなぁ…と、素直に感動したし、やっと終われたことにほっとしました。志季さんの、そして置いて逝かれた者たちの喪失感や、約束が果たされた幸福感を追体験する仕組み、すごすぎる。(ここで方法の是非を問うつもりはありません。私は救われた側だしね。)たった10日の公演期間の中でちゃんと300年の時が経つの、やっぱり舞台って面白いんだよなぁ。

前回の大幅なキャスト変更があってから、このメンバーで挑む2つ目の今作。初代キャストのお二人が、時に見守り、時に軸となりながら作品を締め、2代目のキャストさんたちが繊細丁寧に、かつ大胆に新たな流れを作っていくこの座組。座組の皆様全体のバランス感覚に圧倒されました。個人個人の感性は尖っているのに、全体になると「輪」が生まれるの、本当にすごい。色々事情はあるかもしれません、でもやっぱり、このメンバーでのスケステをまだまだ観たいなぁ。
以上、長くなりすぎましたが、今回の作品の演出、演技、ダンス、そして座組何もかもが素晴らしすぎて、キャス変に怯えるオタクの覚え書きでした。

また会いたい。

「S.Q.S Episode 10」『月野奇譚 太極伝奇 -干戈騒乱-』
2024.1/24(水)昼夜
草月ホール
2024.1/28(日)昼夜 オンライン


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