『オデッサ』

2024年観劇はじめ。
職場の先輩に誘われて出かけてきました。こちらの先輩と出掛けるようになってから大手のステージを観る機会が少し増えて、面白い経験をさせて貰っています。そして、自分が観ている規模のステージが恋しくなるところまでが様式美(笑)。

さて、今回も発券開始3分でチケットがソールドアウトするような作品。
かの有名な(色々疎い私ですら知っている)三谷幸喜のコメディ作品。
面白いに決まっています…!ということで、「文句なしに面白い」のを大前提とした感想になります。

今回は私を含め3人での観劇でした。全員、言語(日本語/英語)を扱う仕事をしています。バリバリの文系人間で、3人集まれば「語彙力の磨き方」だとか、「言語や語彙によるニュアンスの違い」だとか…そんな話題で盛り上がっております。
そんな3人が勝手に予測して期待したのが…「英語を日本語に(または日本語を英語に)変換する際の誤解で起きるアンジ○ッシュ状態!」でした。
本編においては一カ所、「china」の理解で誤解が生まれたエピソードがありましたが…。
予想と違って、英語⇔日本語の過程で通訳者が「意図的に」別のことを伝えていました。つまり、パントマイムのアテレコというわけです。…そうなればもう可能性は無限大なわけで、面白くなるのはわかりきっているんですよね。「笑い」って、予想の斜め上だったり、予想外のことが起きたときに湧いてくる物だと思うんです。その意味では少し、肩透かしを食らった感もありますね…。(事前に情報も調べずに勝手に予想して期待していたので、これについては何も言えませんけれどね。)

ですが、それはそれとして、突拍子もない方向に話を転がしていくのは楽しかったです。字幕が演出の一部になっていたのも流石でした。会場が沸くのもよくわかります。
そして何より、最後のどんでん返し!ここが一番楽しかった…!!
笑いやネタの数々が伏線になり、それがきっちり回収されていくのは観ていて非常に気持ちよかったです。(例の彼、ジャック・ザ・リッパーっぽくてとても危険な色気がありました…。好き。)

以上が簡易的なメモ書きです。
今回の作品は要所要所に「言語とアイデンティティ」が散りばめられていました。差別の問題や帰属意識の問題、「英語が話せるのは当たり前で、中身で勝負しなければならない」など、教員としてヒヤッとする台詞も…。風刺が効いてるシーンもあり、全体として「コメディ」とまとめてはいますが、深く考えることができそうな(そして実はちゃんと向き合わなければならない)テーマでもあります。
エンタメとして笑えるのは勿論、その点でもなかなか好感度の高い作品でした。一流の人たちだけで作り上げていく舞台、やっぱりすごい。

2024年、景気の良い観劇はじめでした。今年も沢山観られるといいな。

『オデッサ』
2024.01.09(火)
東京芸術劇場 プレイハウス

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?