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大阪見聞録

大阪に行った際に、あることを想った
西成で「ワイは浪速の男や」と絶叫しながら5人の警官にパトカーに引き込まれる方を目の当たりにしたときに「私は山形の男でよかった」と想った
そしてもう一つ想ったことがある

大阪の淡路に所在する自転車屋【タラウマラ】を友人に紹介してもらい、入店した
タラウマラでは、修理した中古自転車のほかにレコードや書籍なども販売している
本のセレクトが完全に私の求めていたものの数々であり、大量に購入した
購入したその中でもタラウマラで発行しているzine【FACE TIME】のHankyovainさんの文章に私は完全に持っていかれ「あざっす」と空に向かって感謝した
タラウマラで世間話をした
店員のマリオさんは道行く自転車乗りの空気詰め人に「毎度」と挨拶し、淡路住民とも世間話をしている
「こんなに自転車に空気って入れるもんだっけ」と思いながら、マリオさんと友人と共に話をしていたその際に、山形の詩人である【斎藤茂吉】の話になった
私は、【斎藤茂吉】のことをほぼ知らない
自身の生まれた土地の偉人のことを他県の方に話せないことの情けなさに「これではいけねえ」と思い、【斎藤茂吉】の学習を始めた
山形の【斎藤茂吉】の故郷である上山の【斎藤茂吉記念館】に足を運び、詩集を購入し拝読、高齢の方に茂吉のことを聞いたりした
【斎藤茂吉】は鰻好きであること、精神科医であったこと、後年はさらに山の方の大石田で暮らしていたことなどを知った
そんな情報収集の中で詩集を購入する際に、古本屋【紅花書房】の店主と茂吉話をするとその他の情報も入ってきた
山形の農民詩人【真壁仁】は元々は裕福な農民で服部天皇の下で金の尻を追っかけていた事を知り、裏切られたような気持になった
その代替えのように【木村迪夫】を紹介して頂いた
木村氏は、極貧な農村の詩人で【収集車「人民服務号」農民の見る消費と環境破壊】という書籍を発行している
木村氏の詩の一節に
 
【雪が降ると
部落は燃え尽きた炎のように
散っていく】
 
というものがある
これには私は一発でファンにならざるを得なかった
時代が違えど私と同じベクトルを指し示しながら残っているものは、言わずもがな私に襲いかかってくる

我が生まれ故郷の山形で、自身の考えと過去に残された書物を重ねて自分なりに発見した心を煌々とさせることの行き先を考えながら、今度は私がどんなかたちであれ誰かに残せるようにモノにしていきたいと思うのである

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