いまさらわかる新世紀エヴァンゲリオン⑭第拾弐話『奇跡の価値は』

 第拾弐話、「奇跡の価値は」。楽しかったエヴァンゲリオンも、今回で概ね終了。徐々に世界の真相が牙を剥きます。英語タイトルは「She said, "Don't make others suffer for your personal hatred."」長い。翻訳すると「『あんたの個人的な憎しみに他人を巻き込むんじゃないよ』と彼女は言った」みたいな意味でしょうか。本編中のミサトさんに向けて言われた台詞が恐らくもとになっています。要は、今回、ミサトさん回です。

 さて、本編。セカンドインパクトの光景から始まります。セカンドインパクトとは、西暦2000年に起きた大災厄。南極を起点とした爆発によって氷が融解、海面が上昇して世界中の主要都市が水没し、世界は混沌の渦中へと叩き落されます。
 爆心地の南極ですが、この時「アダム」と呼ばれる謎の生命体(後の第一使徒)が発見され、調査が行われていました。後に詳しい話が出てきますが、その調査隊……葛城調査隊のトップがミサトさんの父親、葛城博士だったわけです。
 そして、葛城博士。何を思ったか、南極への調査行に娘を同伴。まだ中学生やぞ!! 「よりもい」じゃないんだからさ……。結果、ミサトさんはセカンドインパクトに特等席で巻き込まれることになります。後に出てくる赤木ナオコ博士やシンジくんの母親もそうですが、エヴァ世界の科学者、子供を現場に連れ回しすぎ

 本編。重傷を負いながら、ミサトをエントリープラグのような形状の救命ポッドに詰め込み、力尽きる葛城博士。この時点でミサトさんはクロスペンダントをしていますが、父親の形見らしいです。
 なお、この時の現場は覚醒し翼が生えたアダムが地上に出るかどうかという、正に人類が滅びるか否かの瀬戸際。そんな時、葛城博士は持ち場を放棄、調査隊隊長の責務も、学者としての好奇心も何もかもを投げ捨て、娘を救うために奔走していたであろうことが伺えます。
 尚、この行動が後々までミサトさんを苦しめることになりますが、詳しくは後ほど。

 そして、地上に出現し天高く翼を広げるアダム。後に、劇場版で初号機も似たような状態になります。翼を遠くから見つめるミサトさん。余談ですが、セカンドインパクト爆心地に耐えるあたり、あの救命ポッドめちゃくちゃ頑丈そうですね……。どことなくエントリープラグにも似てますし、何か関係があるのかもしれません。

 と、これがミサトさんの過去。そして、セカンドインパクトであった出来事です。前々回に出てきたミサトさんの胸の傷も、その時のもの。
 つまり、ここまで素直に見ると、「ミサトさんは父親の仇である使徒を滅ぼすために戦っている」という話になるんですが……そう単純じゃないのがエヴァンゲリオンです。原因は、ミサトさんと父親の関係にあり。個人的な動機というのは変わりませんが。

 舞台は現代。シンジたち三馬鹿トリオは雨宿り中。セカンドインパクトの影響で日本は常夏状態だそうなので、シンジくんたちも常時半袖なんですよね。背景ではしょっちゅう蝉が鳴いてます。
 着替えを覗くんじゃないわよ、とのアスカ。シンジ達同様、通り雨に降られたんでしょう。まぁ、シンジくんには一度覗かれてますからね(第八話)。
 ケンスケとトウジはアスカには興味なし。アスカの加持さんへの興味と多分対なす要素。

 ミサトさんの昇進に気付くケンスケ。本人の趣味もありますが、こういう気遣いができるあたりも大人。
 ネルフの階級は自衛隊式のようですね。一尉から三佐はだいたい大尉→少佐に相当。年齢を考えると結構早い。オペレーター陣は二尉(中尉)らしい。ただ、ゲンドウや冬月、リツコには階級についての描写なし。
 
 シンジくんとアスカは気にしてない様子。前回襟章が映ってる場面が多分ないので、具体的な昇進時期はわかりません。
ケンスケ「あの若さで中学生二人を預かるなんて大変なことだぞ」
 それはそうなんですが……家事にシンジくんをこき使ってるイメージが強い。勿論、見えないところで苦労は沢山あるのでしょうが。
 外と内で共同生活の見え方が違っている、という話。
 ケンスケとトウジ、いい奴なんですが、いい奴すぎるので後に脱落します。

 シンクロテスト。この前の零号機などは「起動試験」だったので本体を使っていましたが、シンクロテストではエントリープラグだけあれば直接本体に繋がなくてもシンクロに纏わるテストができるようになった模様。次回は模擬体という新システムも登場しますが、エヴァのテクノロジーは日々進歩しているようです。
 さっきも言及されましたが、ハーモニクスってなーに? わからん。なんかシンクロ率とは別の値で、数字が上がるといいらしい。あと、「汚染区域」とか物騒な単語が出てきますが、精神汚染のことでしょう。エヴァで戦うのは危険と隣り合わせ。
 シンジくんの数値はガンガン上がっていきます。職員の人曰く、まさに、EVAに乗るために生まれてきたような子供。それに嫌味を言うアスカ。アスカはエヴァに乗って己の存在を示すことを生きがいとしていますが、そのため戦闘での活躍だけでなくスコアについても拘りがあります。
 しかし、シンジくんに嫌味は通じないので笑顔。自分を過度に卑下することなく、褒められることにやりがいを見出しています。で、その後の「バーカ」にビクっとなっている。はい、このへん大事です。

 シンジくんに嫌味が通じない、ということは、普段のアスカの罵倒(あんたバカァ? など)もだいたい文字通り受け取っている、ということなんですよね。で、シンジくんにとってのアスカって何なのさ? と考えた時、参考人になるのが4話の家出回(いわ新⑥)。ざっくり言うと、シンジくんは「叱ってくれるのが家族」という価値観。なので、うん、そういうことではないかと考えられます。

 シンジくんとミサトさんの会話。ミサトさんは昇進が嬉しくない。シンジくんも褒められて嬉しくない。あと、シンジくんはアスカの怒った理由はわかってない。
 ここで大事なのは、ミサトさんのシンジくんに自分を重ねる傾向。あと、エヴァでおなじみのセリフブーメラン。と考えると、
ミサト「そうして、人の顔色ばかり気にしてるからよ」
 というのは、完全にミサトさんの自傷行為に近いセリフということがわかります。そもそもアスカが怒ったのは多分シンジのスコアで自分のアイデンティティが軽んじられたように思えて、その上皮肉も通じなかったからなので、むしろシンジの無神経さに怒ってるのに近い。綾波にビンタ食らったのも似たような原理(絆を軽んじたから)でしたね。
 ミサトさんが「褒められても嬉しくない」理由は、使徒と戦う理由と直結していると思われるので、もう少しだけ待ってください。あと、後々わかりますがシンジくんも特に説教されたからって別に態度を変えたりはしないんですよね。エヴァの登場人物、だいたいみんな我が強いです。
 シンジくんがリツコさんから褒められて嬉しくない、と言ってるのは覚えておいてください。

 ミサトさんの昇進おめでとう会。ミサトさんの外面の良さが、先程の自傷行為説を補強しています。アスカとヒカリはなかよし。
 アスカ、一応レイも誘ったということで、この時点だとそこまで関係が悪くないことが伺われます。どんな誘い方したのかは、お察しですが……。

 シンジくんは人が多いのや大騒ぎが苦手。大騒ぎ、というか今回は怒鳴り合いですが……。
 ミサトさんがNERVに入った理由、「人に認められたいから」ではないということですが。父親に関する話なので、シンジくんには迂闊には話せない。

 加持さん到着。「これからはタメ口きけなくなったな」とのことなので、加持さんの階級は一尉なのでしょうか。冗談で言ってるだけな気もしますが。
 ミサトさんの昇進の舞台裏は、司令と副司令が揃って不在だから。いままでゲンドウは不在がちょくちょくありましたが、副司令も一緒に不在は珍しいです。

 ゲンドウと冬月のいる南極。空母の飛行甲板に細長いものが括りつけられていますが、これは恐らくロンギヌスの槍です。この時点だとまだ二股じゃありません。
 ロンギヌスの槍ってなーに? というか、なんでお前だけネーミングが旧約聖書じゃなくて新約聖書ベースやねん。という謎のガジェットですが……その機能は、大雑把に言えば生命始原の存在であるアダム・リリスの制御装置です。刺しておくとアダム・リリスが活動停止する便利なものなのですが、勝手に月まで飛んだり戻って来たり、挙動がフリーダム。なんでかと言えば、ロンギヌスの槍自体も一個の生命体だから(エヴァンゲリオン2より)。詳しくは後々出てきますが、ゼーレ……というよりゲンドウの計画の重要なピースでもあります。
 ちなみにこの槍は、南極においてアダムと一緒に発見されたものですね。セカンドインパクトにも深く関わるアイテムです。

 さて、注目すべきはゲンドウと冬月の会話。この時点で既に、「セカンドインパクトが起きたのは人類が科学を過信したから」と言ってるんですよね。つまり、セカンドインパクトの原因が人類にあるということが伺えます。冬月先生の真相把握度には疑念が残る部分もありますが、ことセカンドインパクトに関しては確実と見ていいでしょう。
 そして、エヴァで意味深に出てくる「原罪」ってなーに? という話。
 前回、使徒との戦いがリリス由来生命とアダム由来生命の生存競争である旨を触れましたが、実はアダム由来の生命、使徒こそが本来地球で芽吹き、そしてそこで繁栄するはずの生命だったのです(エヴァンゲリオン2より)。リリスは後からやってきて、リリス由来の生命がその機会を奪ってしまった。
 ……というわけで、多分これが「原罪」と思われます。つまり、リリス由来の生命はみんな原罪を背負っている。そして、セカンドインパクト後の南極には生命(リリス由来の生命)が存在しないので、「生命の存在しない世界」=「浄化された世界」ということですね。
 ただ、其れとは別にゼーレの言う「原罪」には別の意味がある疑惑もあります。これについては……ゼーレが出てきた時に。

 使徒出現。第十使徒サハクィエル。軌道爆撃にATフィールドを組み合わせることで、地面ごとジオフロントを抉ろうという豪快な使徒です。単純な破壊力なら間違いなくトップクラス。いささか雑なきらいもありますが、シンプルゆえに強い。
 使徒は突然出現することが多いですが、原理は不明。サンダルフォンの例がある通り、突然無から湧いているわけではないとは思いますが。その答えの一端は、次回。
 なおサハクィエル、ATフィールドで衛星を押しつぶすという使い方をしていますが、後に劇場版で弐号機が似た使い方をしますね。初号機の侵食と違って、相手がただの機械なので押しつぶしているだけ。そして「ATフィールドを広域破壊に転用する」のは後に零号機が行うことになります。
 ジャミングもできるサハクィエル。後に出てきますが、高強度のATフィールドは電磁波や粒子を遮断する性質を持つため、その転用かもしれません。

 特別宣言D-17。半径50kmは静岡と横浜がギリギリ範囲に入るくらいのイメージでしょうか。松代にはネルフの支部とMAGI二号があります。後にエヴァ参号機の起動実験で出てきますね。

 ミサトとリツコの会話。
ミサト「(勝算は)ゼロではないわ」
 この発言、次回まで覚えておいてください。勝率がヤバい作戦のためにエヴァ三体を使い潰す覚悟のミサトさん、正気ではない。
リツコ「自分のためでしょ? あなたの使徒への復讐は」
 ということで、これが英語タイトルの意味と思われます。ちょうど直後にアイキャッチが出ますし。さて、実際のところはどうなの? という話は、もう少し待ってください。今回はミサトさんの掘り下げが滅茶苦茶進んでいます。

 ミサトさんの立てた作戦は、エヴァ三体のATフィールドで使徒を受け止めること。ついさっき使徒のやっていた、ATフィールドの斥力を利用した攻撃にヒントを得たものでしょう。応用力が高い。
 「辞退できる」と言いつつ、辞退したらあからさまに成功率が下がる作戦なあたりが意地が悪い。こういう言い訳を残しつつ滅茶苦茶やるのがミサトさんのミサトさんらしさだと思います。
 三人とも遺書は書かず。アスカは「生きて帰るから」、レイは「死んでも誰も気にしないから(あとリスポンするし)」でしょうか。

 ミサトさんの「ステーキ奢るから」に喜んで見せる三人。「そうして、人の顔色ばかり気にしてるからよ」とミサトさんに言われても、他人の顔色を窺い、気を遣うところは特に変わらないシンジくん。ミサトさんがそれを見透かせているのかは、わかりません。
 あと、アスカがお店のリサーチしてるので、最後のラーメン屋はアスカのチョイスとわかります。レイは肉が嫌い。菜食主義とかではなく「肉が嫌い」というのがミソです。

 ブリーフィング。
 ミサトさんのクジは当たったことが無い、という話。正直、セカンドインパクトの爆心地から生還するだけで運は一生分使い果たしてそう。
 落下予想はいい加減に見えますが、破壊半径が数十キロ、しかもジャミングも出す、推測ですがATフィールドの斥力で軌道変更も恐らく可能、というシロモノ相手にしてはよくやってると思います。
 エヴァ配置も本当は想定コースを出したり裏で色々やってるんだとは思いますが、ウダウダ説明するより「勘」で押し通した方がいい、という判断なのでしょう。多分。メイビー。

 エレベーターの会話。アスカは自分の才能・存在を世の中に示すためにエヴァに乗っている。つまり、ただ「エヴァに乗る」だけではなく、「エヴァに乗って活躍する」ことを目的としている、ということです。
 ただ、この話だと「なんでエヴァでないといけないのか?」というところまでは説明されていません。自分の存在を示すだけなら、他の方法でも別にいいはず。詳細は後々になりますが、ここでも家族、母親が絡んできます。「自分の存在を示したい」≒「私を見て」、というのがキーワード。シンジくんはいい地雷(とこ)突いてます。

 レイは以前の話で「絆だから」、という答えでしたね。他に他人と関わる術が無いので乗る。シンジは……相変わらず「わからない」。「逃げちゃダメだ」で乗ってるだけだったので、まだわからないようです。
 そして、「あんたバカァ?」を肯定するシンジくんに不機嫌になるアスカ。「ほんとに馬鹿ね」は、今話でもう一度出てきます。

 司令室。作戦前。オペレーター陣がいい人であることがわかります。
 ミサトさんは「エヴァーの中が一番安全」、というけど、そもそもミサトさんはエヴァが何なのかよく知らないんですけどね!! と、一見、いつものミサトさん式方便とも思えますが……この発言は多分真実です。具体的にどれくらい安全かというと、大破した状態で人類補完計画に巻き込まれても中の人は大丈夫なくらい。覚醒した初号機に至っては、ほぼ永久不滅となります(中の人が大丈夫とは言っていない)。

 ミサトさんの過去について回想するシンジくん。ようやくミサトさんの口から、何故シンジくんを自分に重ねるのかが語られます。
 ミサトさんの父親は、決して良い父親ではなかった。研究に閉じこもり、夢を追って家族を蔑ろにした。
シンジ(父さんと同じだ……)
 自分を重ね返すシンジくん。ただ、ゲンドウの場合は、家族(妻)は愛してるんですよね。シンジくんがそこに含まれてないだけ。

 父親をdisるミサト。父親は家族から逃げた。だから、自分は逃げない……というのが、ミサトさんがシンジたちとの共同生活に拘る理由とも思われます。
ミサト「私には分からなくなったわ。父を憎んでいたのか好きだったのか」
 冒頭の過去回想のシーンについて。背景を考えると、ミサトさん曰くの「身代わりになって死んだ」というより、「ミサトだけを助けるために奔走した」の方が適切な気はしますが。
 いずれにせよ、ずっといい父親でいるより、一瞬だけ娘にいい顔する方が遥かに楽なわけですが、それが最期の瞬間だとなかなか困りものです。とはいえ、そもそも南極(職場)に娘連れて来たのが原因やんけ。
ミサト「父への復讐を果たしたいだけなのかもしれない。父の呪縛から逃れるために」
 セカンドインパクトは止めたいけれど、それ以上に使徒を倒すことで父親に復讐をしたい。ちょっとわかりづらい理屈ですが、要約すればミサトさんは「自分にとっての父親」がどんなものであったか、という答えを出すために使徒と戦っている、ということです。それが、父親の呪縛から逃れることに繋がると信じて。「復讐」という表現、ミサトさんらしいんですが、わかりづらい言葉です。
 そして、使徒との戦いは個人的な動機、自分と父親との関係に基づくものなので、他人から褒められてもうれしくない。シンジくんがリツコさんから褒められてもうれしくない理由も、実はこれと同じと思われます。
 でも、シンジくんにはミサトと違って「父親の良い思い出」がこの段階だとそもそもあんまり無いんですよね。そして、父から逃げた結果、使徒スレイヤーの道を歩むことになったミサトさんの話を聞き、「父と向き合わなければ」と思いを新たにした結果、「逃げちゃダメだ」の呪いが再発します。この時のシンジくんにとってはまだ、エヴァに乗ること=父親から逃げないこと、なんですね。
 余談ですが、ゲンドウは多分ミサトさんの父親の数倍ろくでもないです。

 戦闘については省略
 使徒、殲滅。跡地は第三芦ノ湖になります。
 この辺あたりから、使徒は「敵」というより「舞台装置」に近い扱いのタイプが増えてきますね。

 戦闘後。
ゲンドウ「話は聞いた。よくやったな、シンジ」
 というわけで、「父親の良い思い出」がシンジくんに追加されます。結果、シンジくんは「父親に褒められること」をエヴァに乗る目的とするようになり、まだゲンドウに拘り続けることになります。イイハナシダナー。
 そもそも、なんでシンジへの好感度が地を這っているゲンドウが、いきなりシンジを褒めたのか? 計画の重要パーツであるロンギヌスの槍を確保して、浮かれていたのか。それとも、使徒の攻撃から初号機を守ったことに対してなのか。シンジに対してのゲンドウのスタンスはなかなか複雑です。
 しかし、本来、テストでいい点とったとか、いいことをしたとか、そのくらいのはずの「父親に褒められる」ことの対価が、命を危険に晒して敵を倒すことなんて、いい話なわけがあるか

 ミサトさんは約束は守る。昇進して給料が上がっても相変わらず金欠のようです。金欠の原因と思われる出来事は後に語られます。まぁ友人の結婚式なわけですが。
 そして、アスカはミサトさんの見栄を見透かしてラーメンに。ミサトさんがわざとハシャイで見せるところは既に見透かされてるわけですが、それをミサトさんに伝えることに意味がある。
 あと、レイは別にベジタリアンとかではなく単に「肉が嫌い」なだけの好き嫌いなので、とんこつラーメンは普通に食べます。
シンジ「さっき、父さんの言葉を聞いて、誉められることが嬉しいって、初めて分かったような気がする。それに、分かったんだ。僕は父さんのさっきの言葉を聞きたくて、エヴァに乗ってるのかもしれないって」
(中略)
アスカ「ほんとにバカね」
 シンジが褒められたかった相手はゲンドウだった。
 ということで、今回はミサトさんの掘り下げ回であると同時にシンジくんがエヴァに乗る理由を見つける、という一見いい話……なんですが、即座にそれが否定される仕組みになってます。アスカの「ほんとにバカね」もマジトーンです。傍から見るとヤバいです。
 とはいえ、アスカも「他人に見てもらう」が原動力なので、あんまり他人のことは言えない。違うのは、アスカ、そしてミサトさんは、関わるべき本来の相手がもう死んじゃってる組、ということでしょうか。
 ここのアスカの台詞、例によって自己言及でもあるし、同時にアスカがシンジにシンパシーを覚えるシーン、と取ることもできるでしょう。結果、何がどうというわけでもないですが。
 あと、シンジくんが今回見つけたエヴァに乗る理由も、あくまで「かもしれない」ということで、この先もまだ変わっていきます。

 次回、「使徒、侵入」。きれいな方のリツコさん回です。ミサトさんもリツコも、背景の掘り下げは進みますが、まだまだ大人の秘密を抱えたままです。

 ……今回の記事を見ればわかる通り、エヴァは後半の密度がちょっとヤバいので、これ以上長くなるようなら記事の分割を検討しようと思います。目安は一万字くらいの予定。

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