いまさらわかる新世紀エヴァンゲリオン㉑第拾九話『男の戰い』

 ちょっと見ない間に、世の中が大変なことになっていました。何より、新劇の公開が伸びてしまったのが大ニュース。今更数カ月一年延びたところでなんてことはないですが、この連載は一応「シン」公開までの完結を目指しています。読者の方もやや増えたようで、嬉しい反面ちょっとビクビクです。
 そんなこんなで第拾九話、「男の戰い」。「戦い」が旧字。山場の回ということもあり、メチャクチャ色々なものが詰め込まれています。字数もエグめ。

 さて。前回のバルディエル戦ですが、後から振り返れば、経緯を含めて極めて課題の多い戦闘だったと言えるでしょう。
 まず、ミサトさんの情報共有の怠慢によるコミュニケーション不全。指揮系統が属人化しているため、ミサトさん以外の戦闘指揮官の不在によるエヴァ連携の機能不全。結果として、各個撃破され大損害。
 ダミーシステムの使用により辛くも勝利を収めたものの、ネルフの組織としての病理が浮き彫りになったと言えるでしょう。

 そんなわけで、しわ寄せを食らい、数少ない友達を手にかける羽目になったシンジくんは当然キレます。初号機を占拠し、ネルフ本部を破壊すると恫喝。
 「司令の判断がなければみんな死んでいたかもしれない」とマヤ達は言いますが、シンジくんが言っているのは「結果」ではなく判断の「過程」の問題なので噛み合いません。ここでもディスコミュニケーション。
 ただ、ここまでやっておいてシンジくんの要求は不透明。唯一要求らしきものは、「友達を手にかけさせようとした事にについて、父親(責任者)に何か言って欲しい」。当然の要求だと思います。
 しかし、ゲンドウはシンジを強制排除します。前回、シンジがピンチに陥っていた時は、不器用ながらに向き合おうとしていたというのに。それほどまでに息子と向き合うのが怖いの? という辺り、覚えておきましょう。

 LCLは普段、パイロットの肺に入って酸素を供給しているわけですが、その圧縮濃度を限界まで上げるとどうなるの? 多分、酸素の過剰供給によって酸素中毒になり昏倒したのか、純粋な圧力差で肺が潰れるかしたんじゃないですかね。やることがエグいし、その気になればエヴァのパイロットを外から殺すこともできる、とも取れます。
 シンジくんは「チクショウ……」と呻きながらダウン。恐らく、自分ではなく友達(トウジ)のために怒っていることもあり、かなりしぶとい。

 ミサトさん、腕に包帯巻いたまま復帰。頑丈です。状況的に結構時間が経っている気もしますが、レイとアスカは、ずっとプラグスーツのままでシンジの病室の前で待ってるんですかね……レイはプラグスーツの下にも包帯を巻いているようで、見かけ以上に重症っぽいですが。アスカの顔の絆創膏は何? 虫刺され?
 レイはどうも夢を見たことがないらしい。夢というのは、過去の記憶をシャッフルしたものと言われています。シンジもアスカも夢は見るけどだいたい幼少期のトラウマなので、見ない方が幸せな気もしますが。これは恐らく、レイの出自に関係しています。後々触れますが、「子供時代の記憶」がそもそもあんまり無いので夢を見ない、と考えるのが自然ではないでしょうか。

 曖昧な意識で、レイとシンジの対話空間を垣間見るトウジ。あの謎空間って他人入れたんですね……。
 余談ですが、トウジはもともと死ぬ予定だったのがプロデューサーの方針(大人の事情)で生存した、というのは有名な話。漫画版では死亡、テレビ版でもこのままフェードアウトします。
 そもそもですが、トウジは人の心がわかるヤツで、シンジくんの友達。ここに、同じエヴァのパイロットという属性が加われば、大変心強い仲間になることでしょう。多分、生きてるとエヴァのジャンルが熱血ロボットアニメになってしまうことは想像に難くない。執拗なシンジくんいじめが行われるエヴァンゲリオンには相応しくなかったのです……多分。

 レイとシンジに会話は相変わらず「父親に裏切られた」「父親が自分の気持ちをわかってくれない」というシンジに、「碇君はお父さんの気持ちをわかろうとしたの?」「何故わかろうとしないの?」と何度も問い掛けるレイ。シンジも「分かろうとした」とヤケクソ気味に答え、耳を塞ぎます。
 さて、この遣り取りの真意。この連載を読んできた方は察しがついていると思いますが、レリエル回(16話)での内なる自分との対話と同じです。同じことを今回はレイにも言われているので世話はない。
 シンジくんはそもそも、「自分は父親から必要されない」「エヴァに乗るから必要とされている」ということから目を背けている、というお話ですが。
 ここで、前話~今話のゲンドウの言動(※駄洒落ではない)を思い出してみましょう。ゲンドウはシンジが使徒に倒される直前になってようやく向かい、そして、今話では再び向き合うことを拒みました。なるべくならシンジと向き合うことを避けている、と考えられるわけですね。なので、ここはより精確には、「父さんが自分と向き合いたくないこと」をわかろうとしなかった、というお話です。
 なので、ざっくり言うと父親を追いかけている間は父親のことを解ろうとしていない、という矛盾になる。態度を見る限り、シンジくんももう気付いているのでしょう。レイという他者に言われている以上は、もう自分を誤魔化すのも限界です。
 お互い向き合うことが、むしろ傷つけあうことになる。そう、これがエヴァンゲリオン名物「ヤマアラシのジレンマ」なんですが……この言葉も誤解されがちなので、ショーペンハウアーの「Parerga and Paralipomena」原文日本語訳をWikipediaから引きます。

 "(前略)社会における必要に駆り立てられ、人間というヤマアラシを集まらせるが、多くのトゲや互いに性格の不一致によって不快を感じさせられる。結局、交流において許容できるような最適の距離感を発見し、それがいわゆる礼儀作法やマナーである。それを逸脱する者は、英語では「to keep their distance」(距離を保て)と乱暴に言われる。この取り決めによって、初めて互いに暖を取る必要が適度に満たされ、互いの針で刺されることも無くなる。とは言え、自らの内に暖かみを持つ人間は、人々の輪の外に居ることを好むであろう。そうすれば互いに針で突いたり突かれたりすることも無いのだから。"(Wikipedia 『ヤマアラシ』の項目より)

 という感じで、寧ろ、人間に適応した場合、「人間、合う人と合わない人が居る」、「それでも社会的交流があるので、合わない人とは許容できる距離を取るべき」といのが、ヤマアラシのジレンマの本来の意味と言えるでしょう。なので多分、シンジとゲンドウも、今までそうしてきたように距離を取る、というのが自然な在り方なのでしょう。
 さて、そうなると。シンジくんにとって、「父親を追いかける」行為の代名詞、そして二人の絆でもあるエヴァンゲリオンとは一体何なのだろう? というのが、今回の、そしてこれからのお話。

 本編に戻りまして、トウジのお見舞いに来る委員長。シンジは退院。多分、二人が顔を合わせたのはこの病院が最後だったのでは。
 トウジが委員長に頼むのは、妹のこと。本来のトウジならシンジにも何か言い残しそうなもので、彼も彼で今は余裕がないのでしょう。
 トウジが物語を退場した後もヒカリはしばらく第三新東京市に残っているので、二人の別れも近いのかもしれません。

 謎独房に閉じ込められたシンジくん。手錠をつけてゲンドウの前に引き摺り出されます。
ゲンドウ「命令違反、エヴァの私的占有、稚拙な恫喝、これらは全て犯罪行為だ」
 はい、ここ、ブーメランです。後々触れますが、ゲンドウもゼーレに対して全く同じことやってます。なんという似た者親子……
 流石に息子が拘束されたとあって、「何か言いたいことはあるか?」と尋ねるゲンドウ。シンジは「エヴァにはもう乗りたくない、ここにもいたくない」と答えるわけですが。
ゲンドウ「また逃げ出すのか」
ゲンドウ「お前には失望した、もう会うこともあるまい」
 シンジくんも「はい、そのつもりです」と売り言葉に買い言葉で退出。
 ……ここでのゲンドウの台詞が、誤解のもと。ミサトさんが一話で言った「逃げちゃダメ」と、ここで言うゲンドウの「逃げ出す」は、多分、意味が違うのです。またミサトさんのせいで誤解が生まれてる……
 だって、ゲンドウとしてはシンジと向き合いたくないから、シンジが近くにいない方がいいんですから。
 では、ゲンドウはここで何を「逃げ出す」と言ったのか。「失望した」と口にしたゲンドウは、何をシンジに期待していたのか?
 ゲンドウの心情としては、新劇場版が実はわかりやすいと思います。新劇では、ゲンドウはこの後、「自分の願望はあらゆる犠牲を払い、自分の力で実現させるものだ。他人から与えられるものではない。大人になれ」と続けます。父親っぽい説教なんですが、シチュエーションを考えるとやや奇妙。しかし、ここにヒントがあります。
 ゲンドウの野望は、ユイと再会すること。そのために、全てを利用し、あらゆる犠牲を払っています。そして、やっていることは先程書いた通り、実はシンジと似たようなもの。なので、シンジを糾弾する資格が自分にないのはゲンドウ自身も恐らくわかっている。 
 つまり。初号機を占有してネルフ本部を足蹴にしたことだけに怒っているわけでは、多分ないのです。寧ろ、「自分の願望のためにあらゆる犠牲を払う」、己と同じことを試みた息子を、同志、は言い過ぎにしろ、同類だと感じたはずです。
 しかし、シンジはそれを投げ出してしまった。己の目指したものから逃げ出したことを、ゲンドウは「逃げ出した」、「失望した」と評した、と考えることもできるわけです。

 ……この親父の好感度わかりづらすぎるよ!!

(7/24追記)
 ゲンドウの「『また』逃げ出すのか」についてですが、15話の墓参りにおける墓参り回の「僕は、あの時逃げ出して、その後は来てない」に掛かっていると考えることもできます。
 この場合、シンジくんが「何から逃げ出したのか」がより明確になります。向き合うべきは父親ではなく母親だった、というお話。
(追記おわり)

 さて、紆余曲折ありながらも、「エヴァから降りる」、「父親から距離をとる」という、本来の『ヤマアラシのジレンマ』的にも正しい対処をしたシンジくん。
 ここまでで分かる通り、重要なのは、この後の「乗せてください!」というより、むしろその前の「エヴァから降りることを決断する」方なんです。

 ケンスケからの電話。友達がエヴァパイロットになり、シンジは出て行く。ということで、今まで大人な振る舞いをしていたケンスケもそろそろ限界の様子。シンジくんへの憧れ、というよりも嫉妬を吐露します。
 機密情報を漏らした電話が盗聴を理由に切れるあたり、ネルフの怖さ。ちなみに、トウジとセットでケンスケもこの辺で退場。ネルフに消されたんじゃないとは思いますが……。

 そんなこんなで友人たちとも、アスカ達とも釈然としない別れを迎えましたが、父親との関係に踏ん切りをつけられた上で、ブラック企業から逃げるシンジくん。
 勝手に自分を重ねてくるミサトさんに対しても、ちゃんと「ミサトさんと僕の生き方は違う」と言えるようになりました。やさぐれているように見えても、2話や3話の頃より成長してます。黙って逃げるのではなく、自分から別れを切り出せる、自分の意志を言葉と行動で表せるのも、成長の一つの形でしょう。
 トウジたちクラスメイト全員がエヴァのパイロット候補というネタばらし。ケンスケにもチャンスはあったんですよね……多分。
 そして、「ネルフのみんなは、貴方に未来を託すしかなかった」「それだけは覚えておいてね」というミサトさん渾身の呪いも不発に終わります。アスカもいるんですよ!!
 シンジくんは慰留もむなしく「エヴァにはもう乗りません」と断言。ミサトさんも「積極的に話をしている。初めてね、こんなの」と驚いています。でも、それを「何故」とは考えないのですよね……

 しかし、このアニメはシンジくんの思うとおりに行かないエヴァンゲリオン。電車待ちのタイミングで使徒、襲来。決意に満ちたシンジくんの表情も、あまりにもタイミングの悪い使徒襲来に「は?」となります。

 第14使徒、ゼルエル。空気が読めない最強の使徒です。
 ようやく完成したはずの第三新東京市の防御と装甲版を、一瞬でカチ割ってジオフロントに到達。だ、第三新東京市ーー!
 そして、レイは初号機に拒絶されます。これは恐らく、エヴァ本体、コアであるユイの意志が目覚めてしまったから。以前のテストだと乗れてたので、タイミングとしてはレリエル戦あたりでしょうか? この辺の時期は地味によくわかりません。
 エヴァという体に宿る魂が目覚めてしまった以上、本来の持ち主であるレイ=リリスでも操ることはできない様子。これは同時に、リリスとレイがイコールではないこと、そして恐らく初号機からサルベージされたレイにとっては、元居た場所にはもう戻れないということも意味すると考えられます。
ゲンドウ「私を拒絶するつもりか」
 これは恐らく、ユイに話しかけている台詞。自意識過剰にも聞こえますが、「初号機(ユイ)とゲンドウの思惑は同じではない」という話でもあるのかなぁ、と。

レイ「私が死んでも代わりはいるもの」
 シンジが居なくなったことで、レイも昔に戻ったような様子。ご存知の通り、クローンボディで復活する彼女ですが、自分の死を悲しんでくれる人の有無は大事。
 そういえばシンジくん、旅立つときにアスカについては言及してたけど、レイについては何も言ってないんですよね……

 アスカVS使徒。使徒と戦うには近接戦闘が有効、が信条のミサトさんですが、今回は大量の火器と共に弐号機を配置。というか、エヴァの武器ってこんなに種類あったんですね……。アスカが日本デビュー戦で使っていたグレイブらしきものも映っています。
 しかしゼルエル、「ATフィールドを中和しても生半可な打撃では傷つかない」という恐るべきタフネス。
アスカ「もう二度と負けらんないのよ」
 二度と、と言っても、明確な敗北はバルディエル戦の瞬殺だけだと思うんですが。よほど屈辱だったのか、焦りが判断を狂わせます。ゼルエルの攻撃で機体破損。バルディエル戦でもバズーカ持ってる時にやられてましたけど、アスカと相性悪いんですかね……。

 この辺になると、ネルフ側も慣れてきたのか「機体が致命的なダメージを負う前にシンクロカットしてパイロットの負担を減らす」みたいな小技が使えるようになっていますね。

 シェルターに避難したシンジくん。第三新東京市のシェルターはどうもジオフロント内にあるっぽいんですが、今回はそのジオンフロント内が戦場。つまり、決して安全ではありません。弐号機の頭がシンジくんの前に直撃。そんな上手いことジャストミートすることある!?

 エヴァの中で「チキショウ……」と呟くアスカ。そういえば、今回の話の頭でシンジくんも似たようなことしてましたね……。シンジくんはエヴァを降りる選択をしましたが、アスカには「エヴァから降りる」という選択はナシ。

 初号機、ダミープラグを拒絶。大本のレイが駄目なんだから、そりゃ駄目です。
ゲンドウ「少し頼む」
  と、ここでゲンドウ動く。ここ、何かを察したようにも見えますが、実は単にダミープラグの現場を見に行っただけです。

 加持さん、使徒戦の足下でスイカに水やり中。そして、スイカに負けるミサトさん。一体何が彼をここまでスイカに駆り立てるんだ……。
 「使徒が地下のアダムと接触すると、サードインパクトが起こって人類が滅びる。使徒を倒せるのはエヴァンゲリオンだけ」ということで、「使徒とアダムの接触を阻止する」シンジくん達の勝利条件が明示されます。
 「サードインパクト」という単語は前に出てきましたが、割と最近まで、シンジくんの理解は「降りかかる火の粉は払わないといけない」「敵だから倒す」で止まってたっぽいんですよね……。
 しかも、ここに至っても「何故使徒を倒せるのがエヴァンゲリオンだけなのか」は伏せられているという……。

 レイ、自爆。ゲンドウが珍しく「レイ!」と声を荒げていますが、ゲンドウのレイへのスタンス、「計画の要」という部分以外はちょっと複雑。

 そして、加持さんはシンジくんに「君にはまだできることがあるはず」と発破をかけます。近くでN2爆雷が爆発したけど、二人とも元気で何より。「なすべきことを自分で考え、自分で決めろ」という言葉。シンジくんは既に、「エヴァから降りる」ということを自分で考えて決めました。なら、今、この状況で何をすべきかも自分で考えられる筈。
 加持さんの言葉、以前もそうでしたが、それによってシンジくんを気付かせる、というよりは「シンジくんの中にあるものを言語化して取り出している」という側面が強いように思えます。
 でも、冷静になると戦闘シーンでいきなりスイカ育ててるおじさんが出てくるの面白すぎるな……。

 頷き、駆けだすシンジくん。そして、「もう会うことはない」筈の父親と対峙し、「乗せてください!」と叫びます。
 以前、シンジくんにとっては「エヴァに乗ることが逃避」という解釈をしましたが、もはや父を知りたいと望みながらも父の有り様から目を背けエヴァに乗るのではなく、戦う意味を知り、己の道を決断し、ようやくここで、彼はロボットアニメの主人公としてのスタートラインに立った、とも言えるでしょう。
 それに対してゲンドウ。
ゲンドウ「何故ここに居る」
 お前もっと他に言うこと色々あるだろ!!! と思いますが、ゲンドウなので今更ですね。
シンジ「僕は、エヴァンゲリオン初号機のパイロット、碇シンジです!!」
 対するシンジの答えは、多分、父との決別でもあります。「父さんと会うために」、「ゲンドウの息子だから」『ここ』に来た1話との対比とも見ることができるでしょう。「俺は、ここに自分の役割を果たしに来ただけで、お前なんか関係ない」というのが、一連の流れから読み取れる答えではないかと思います。だから他人に言われる「乗れ」ではなく自分から「乗せてください」になる。

 遂に起動した初号機。ミサトさんは兎も角、初号機の血を浴びても微動だにせず、シンジを見続けるゲンドウが味です。
 この戦闘、とにかくアクションが最高にキマっています。ネルフ本部の構造を活かしたシチュエーション。今までに散々出てきたエレベーターというギミック。そして、エヴァの無慈悲な電源切れ。全部噛み合っている。

 電源の切れたエヴァンゲリオンをビームが直撃。ここで、エヴァにも使徒と同様の「コア」があることが明らかになります。エヴァと使徒に共通点がある、というお話。
 勘違いされがちですが、この「コア」はあくまで魂の座であって、S2機関とは別物です。

 じゃあ、何でシンジくんの願いに答えるようにエヴァが再起動したのか?
 といえば、「シンジくんじゃなくて中の人が動かしてるから」です。

 リツコの発言と合わせて考えると、そもそも、普段のエヴァンゲリオンはあくまで「人間が制御可能な状態のエヴァンゲリオン」なので、その辺の拘束を外せば五分過ぎても動くし、使徒の一部を己の肉体として取り込むし、シンクロ率は400%越え、みたいな状態になる、と考えた方が良さそうです。代わりに制御不能になる。ちなみに、「私たちには、もうEVAを止めることはできない」と言ってますけど、次回、あっさり停止しています。

 シンジくんはどうなったのか? ゲンドウの「すべてはこれからだ」等、伏線盛りだくさんですが、詳しくは次回以降に回して、一つだけ。
 初号機のS2機関吸収には、ゲンドウというより、碇ユイのの野望、或いは意志が関わっていると思われます。ユイの野望は、ざっくり言えば「不滅の存在となってエヴァと共に人類の生きた証を遺すこと」。なので、その目的のためには不滅の動力源であるS2機関が理論上どうしても必要になります。ゲンドウとユイの野望の詳細についても、詳しく語ると長くなるので次回以降。

 今回のまとめとしては、シンジくんが自分の意志でエヴァを降り。そして、父親とは無関係にエヴァに乗ることを決断しました。まぁ、最後にちょっと事故りましたけど。
 以前、レイ編が6話で完結している旨を書きましたが、それと同じ意味において、シンジくんの話、父と息子の話はこの話で完結している、とも言えるでしょう。
 戦う意味を見つけ、己で道を選び、ここからようやく、シンジくんの物語が始まる……とならないのが、エヴァンゲリオンなんですよね……。まぁ、あある意味、シンジくんの(心がボコボコにされる)物語が始まるんですけども。

 といわけで、次回。世界の真相が徐々に牙を剥きます。「心のかたち、人のかたち」へ続く。

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