いまさらわかる新世紀エヴァンゲリオン④第弐話『見知らぬ、天井』
さて第二話、「見知らぬ、天井」。今回も時系列順に解説していきます。
遂に使徒と対峙するエヴァ初号機。
リツコ「今は歩くことだけ考えて」
リツコ「歩いた!」
ご満悦。少なくともエヴァ初号機の初動作ということで、感慨深いものがあるのでしょう。でも、そういう場合ではないと思う。
ミサト「シンジくん、落ち着いて、貴方の腕じゃないのよ!」
それで落ち着けるのかよ!!
……いや、ミサトさんだと本当に落ち着けそうだな……というか、よしんば自分の腕だとしても気にしなさそうだから怖い……
フィールド無展開、ということなので、シンクロしてエヴァが動く=ATフィールドが出る、ではないことがわかります。じゃあATフィールドって何なのさ? という話はそのうち。
アイアンクローから頭に執拗にパイルを打ち込むサキエル。ここが後の、頭部パーツが外れる演出に繋がるのでなかなか考えられています。
そして、病院送りにされるシンジくん。エヴァはシンジくんいじめの作品、という話を以前しましたが、結果として序盤のシンジくんは結構なペースで病院送りにされます。お見舞いに来る人もナシ。
初号機の戦闘の跡。クレーターのど真ん中に仮設テントを張っているのが面白ポイント。あと、破壊された初号機頭部を搬送するシーン、アングルが話の最後と被っていたり、演出に気合が入っています。
そして、遂に出た人類補完委員会。ネルフの上部組織ですが、だいたい秘密結社ゼーレ(もしくはその意を汲む傀儡組織)と考えてよいでしょう。
内容はだいたい茶番。
「周知の事実となった使徒の処置」と言っているが、真相は隠蔽。
委員「聞けばあの玩具は君の息子に与えたそうではないか」
委員「親子そろって幾ら使えば気が済むのかね」
というわけで仕方なくシンジをエヴァに乗せたら、このイビられっぷりである。ゲンドウ的にはたまったものじゃないのでしょう。
あと、「人類補完計画」が出てきて「唯一の希望」などとヨイショされますが、提案者はゲンドウです。まぁ、人類に時間が無くなったのは誰のせいか、という話で……。
エヴァ零号機と初号機の修理代で国が傾く、という話が出てきますが、後に9体も量産していることを考えると嫌味の類と考えるべきでしょう。そもそもセカンドインパクト後に傾いてない国なんぞ多分無いわ。
やや前後して、現場から撤退するミサト達。
ミサト「まさか、精神汚染じゃ」
リツコ「その心配はないそうよ」
一見「よかったね」というシーンだが、使徒との戦いに精神汚染のリスクがあることがわかる。あと、多少メタな読みだが、「シンジくんは使徒との戦いでおかしくなったわけではなく、元からこういうヤツです」と読み筋を潰しているようにも見える。
そしてエレベーターで出くわすゲンドウとシンジ。シンジは顔を背けますが、ゲンドウは無反応。本当に関心がない。
正直、この時点でシンジの利用価値は尽きていると見られます。委員会に嫌味も言われたし。レイが復帰すればシンジをエヴァに乗せて置くメリット無し。
シンジ「いいんです、独りのほうが」
ゲンドウと暮らす選択肢はない。シンジも薄々、父親の本音に気付いているのかもしれない。しかし、ほんとに一人で生活できる能力があるのが、シンジくんの恐ろしいところである。
ミサト「シンジくんはあたしんとこで引き取ることにしたから」
ミサトの傲慢は、彼を救おうと決心させる(次回予告より)。
それはさておき、職場以外でも上司と一緒の地獄ライフである。後に学校も閉校になるので、シンジくんの逃げ場は徐々になくなることとなる。やっぱり、この同居が間違いだったんじゃないんですかね……別にシンジくんは一人でも生きていけるし。
代わりにミサトさんは健康診断とかに引っ掛かりそうだけど。
ミサト「心配しなくても、子供に手出したりしないわよ」
ジョークだったらよかったんですけどね……ホント。
ミサト「今日はぱーっとやらなきゃね」
と言いつつ、買っているのはコーンビーフ、カップ麺、レトルトカレー、できあいの弁当、あとビール、飲み物。ミサトの普段の食生活が偲ばれる。
レジ横に「愛の手を!」の募金箱。お遊びの類だろうが、ちょっと象徴的かもしれない。邪魔な小銭を入れてちょっといい気分になれるものですよね、募金箱。
そして、疎開の相談。この事件以後、第三新東京市に住んでいるのはほぼネルフ関係者とその親族のみになる。
ビルが生えてくる。
「貴方の街。そして、貴方が守った町」
そして臆病者の街。ゲンドウの箱庭でもある(詳しくは後々のはなしで)。
……さて。ここでシンジくん視点に立ってみよう。シンジくん的には初号機の初陣は、「敵に倒されたと思ったらエヴァが暴走して、気付いたら勝っていた。怖い思いもした」状態なわけである。そこに「貴方が守った町」と言われても、ピンと来る筈が無い。シンジくんはきょとんとした表情のままである。
「シンジくん、ここは貴方の家なのよ」
「たっ……ただいま」
という、ちょっといいシーンを見せてからの、ミサトの生活破綻っぷり。よく中学生引き取るって言えたな……! ただ、ビールがエビスなので伊達に国際公務員やってないですね……
ミサトさんとシンジの家事当番ジャンケン。
実質ミサトがあいこ連打でシンジくんに根負けさせる手法で勝っているため、後に出てくる「ミサトさんがくじに当たったことがない」という台詞と整合性は取れている模様。
なお、ミサトさんの食事当番の日はカップ麺やレトルトになるので、後に当番制は自然消滅したとみられる。
ペンペン登場。エヴァのマスコット的な存在ですが、シンジくん同様「自分で自分の面倒を見られるペット」と見るのがよいでしょう。そうじゃないとミサトと同居するのは多分無理……。
ミサト「風呂は命の洗濯よ」
シンジ「でも、風呂って嫌なこと思い出す方が多いよな」
この台詞、十話くらいまで覚えておいて欲しい。なお、シンジくんはカナヅチである。
リツコ「彼のメンテナンスも貴方の仕事でしょ?」
全くである。
早くもシンジを持て余し始めるミサト。彼女にとってシンジくんは復讐の道具でもある、というお話。
使徒は倒したい……けどシンジくん(やチルドレン)を道具扱いすることに抵抗はある……なお、この辺の悩みを吹っ切ると、Qのミサトみたいな生命体が生まれる。シンジくんはミサトの外付け良心回路でもあるのだ。
戦闘シーンの続き。暴走する初号機。
冬月「勝ったな」
このお爺ちゃん、どこまでわかって喋ってるのかちょっと怪しい。多分、「推しが復活した!」みたいな意味で言ってるのではないか。古風な言い方をするなら「これで勝つる」。
初号機のATフィールドによる浸食。ATフィールドに打ち克つATフィールド。これ、地味に人類補完計画での重要ポイントです。
そして、コアを破壊され自爆を決断するサキエル。勝てないと分かった以上、エヴァを巻き込んで最大の火力を与えつつ、自分の情報を相手に渡さない英断です。少し前のマヤの台詞から、99.9%の焼却に成功した模様。
また、仮にサキエルが自爆しなかった場合、後のゼルエル同様、エヴァ初号機に食われていた可能性が高いです。そういう意味でも英断。
なお、サキエルくんの命懸けの献身は次のアホ……もとい第四使徒によって台無しになるんですけどね!!
脱落するエヴァの頭部装甲、否、拘束具。拘束が外れて再生する眼球。エヴァはやる気が出ると結構勝手に再生します。
ミサト「貴方は人に褒められる立派なことをしたのよ。胸を張っていいわ」
直接褒めてあげようよ! ……まぁ、シンジくんを道具にした自分には褒める資格はない、とか面倒なこと考えてそうですが。
ミサトさんは悪い人じゃないけど、悪い人じゃないだけなんですよ……
ミサト「おやすみ、シンジくん。がんばってね」
そして、無慈悲に告げられる「がんばってね」の一言。さて、ここでシンジくんの視点に再び立ってみよう。シンジくん的には街を護った感慨もなく、ただ怖い目に遭って、知らないうちに敵を倒していただけである。その状況で「(これからも)頑張ってね」と言われても、そもそも何を頑張ればいいんだ、という話だ。それすら分からないまま、期待をかけられている。その辺もあってか、シンジくんも、ちょっと冷や汗を垂らしている。
結局、彼はエヴァに乗り続ける、という形で「頑張ってね」という言葉に応えることとなる。
後々の話を見るに、どうもトラウマになっている気配もあるこのシーン……。ミサトさんは本当に……。
そして次回予告、シンジくんに無慈悲なボッチ宣告。まぁ、エヴァは学園ものじゃないので……
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