宵闇の一幕
パソコンを打つ手を止め、ふと時間を見てみると既にテッペンを超え朝が来る頃になっていた。
誰もが寝静まるこんな夜更けに自分は何をしているのだろうと考える。
人の欲望を刺激する文章を書き、可読性をあげ、購入させる。
購入させるまでが仕事だ。
買った相手に責任を取るということもない。
ただただ、クライアントの欲望を満たすだけに動くこの手は、なんのために動いているのだろうとふと考える。
お金に汚いはないと人は言う。それには同意だ。
ただ、人の暗い部分に目を向けて調べれば調べるほどどす黒く濁っていく感情もある。
調べれば調べるほど、この世の中は欲望に満ちている。
誰かと比べて、自分を満たして悦に入るのだろう。
その悦はさらなる欲望を呼び込むというのに。
原稿を書き上げ最後の仕上げに入る。
今回の記事の出来上がりは上出来だ。これを元手に更に文字単価を上げてやろう。
どちら側がヒトとして正しいのか―
自分にはまだ良く分からない。
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ライターとして黒い記事を書いたときの感情です。
より醜いのはどちら側なのだろうかと良く考えてしまいます。
そして、今回はリサーチで非常に気持ち悪くなりながらも、最終的に書き上げ納品した悪魔に対する戒めです。
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