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振り返りながらも進んでいく / 1214針金鳥



 もう今年の残りが半月ほどとなった。からからに乾いて彩度の低い冬の事は好きだけれど、寒さだけが年々苦手になっていく。そういう、寒い冬から始まって冬から終わるのが一年ではあるが、さてどんな年だったかなぁと思い返したところで、今年ばかりは「迷」の一文字が似合う。

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 枚数ばかり重ねて描けども描けども、ちっともこれだという絵が描けない。全くの駄作、というわけではない。描けた瞬間は完成した感覚はあるし、人に見せられないものは基本的に表にすら出さない。60〜80点ぐらいのラインから抜け出せない。
 つまるところ、スランプというものである。何を一丁前に言っているんだと思われそうではあるけれど、まぁ数年前に煮詰まってグダグダしていた時とほぼ同じなのでスランプという事にする。こうすれば良いものが作れるのでは無いかと見えているのに、一向にそこに辿り着けないどころか掴んだと思った瞬間に消えるのだ。シンプルに気が滅入る。冬の寒さとあいまってぐだぐだと辛い。そういえば前回もイベントの参加頻度などを落とした結果に陥ったので、今年のこれはコロナで閉じこもっているせいではと少しだけ思う。とはいえこればかりはどうしようもないので、大人しくしておくしか他無いのだが。

 さてペン先は迷子だ。どうしたものかなぁ、と唸ったところでどうしようもなく。ただひたすら描いて、気晴らしをして、息抜きをして、また描いて。迷うままに出口を探す。抜け方は人それぞれだろうとは思うが、私にとっての解決策は見えてる一歩先の状態を引っ掴みに行くことである。そもそもこの手の描けている気がしない、なんて感覚は詰めた知識で頭でっかちになって、同じことの繰り返しに飽きてきた証拠だ。だからといって今までと同じなんてものに甘んじたら、それこそペン先が死ぬ。

 道に迷うのならば、それは選択肢が多いということだろう。選択肢が多いのは知識や経験を増やしたということでもある。今年はいろんな人に会って、話を聞いて、沢山知った。だからこれは決して悪いことではない、そう思っている。最終的に抜け出せるのか抜け出せないのかは分からないが、どうにかこうにかやっていく他ない。
 だったら、その道行ごと楽しむ方が良い。どうせ人生なんて、どこでだって、何度でも迷ったりするものなのだから。


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