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大仏ふたたび /1117 テンデンカ

私はこれまで、何度も奈良の大仏を訪ねている。
関西で育った人は多かれ少なかれ、遠足やお出かけで訪問したことがあるのではないだろうか。
私はふたたび、奈良の大仏に会いに行くことになった。
奈良を初めて訪れた友人を案内するためである。



道を通る人が餌を持っているかどうか、瞬時に判断する能力をもった鹿々の間を通り抜け、我々は東大寺南大門にたどり着いた。

暗いところに佇んでいるため、陰影が強すぎて、いつ見ても絵画のような仁王像を両横目で見ながら門をくぐった。
またしばし歩くと、そこは東大寺大仏殿の正面である。
大仏殿とは、いわば大仏さまのお家である。

残念ながら、ここからは大仏は見えない。
大仏殿そのものが塀で囲まれているからである。

左へ大きく迂回し、チケット売り場へ向かった。
ほくほくとチケットを手にした我々は、塀の内からUターンして大仏殿の正面まで歩いていった。

平日のため、人影はまばらである。
顔を上げ、大仏殿を見上げた私はひどく驚いた。



「でっか!!」



私は何度も来ていたのだけれども、大仏殿前は人が多いから、いつも素早く通り過ぎてしまって、大仏殿そのものをあまり見ていなかったのだ。
大仏殿は、やはり古い建物だけれど、あまりにも大きくて、あまりにも美しかった。



これが私の、今秋の最もアートな体験である。

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テンデンカ
Twitter, Instagram: @tendenca00

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