もじゃおじ先生/1118 カンミトコ

20代。美術作品に全く興味がなかった。絵を描くことは好きだったけど、フェスに行ったり、漫画や雑貨のほうが好きだし、好きなイラストレーターはあるけど、好きな芸術家とか言われても全く関心がなかった。

そういうことに興味を持ってみたら?と声をかけてくれたのは、同じ職場のひげもじゃもじゃのおじさん先生だった。自分が見て感動した芸術品の話をよくしてくれたが、『へー』って思うぐらいで見に行こうとまでは思っていなかった。スポーツも楽しむし、芸術も映画だって音楽だって、なんでも楽しむぞって感じのおじさん先生。『わしは、なにも得意なことないけど、どれもこれもやってみたら楽しいからするんや。とりあえず一緒にやってみよらあ』というのが、そのおじさん先生の誘い文句だった。そんなとき、私に貸してくれたのが『ギャラリーフェイク』という漫画だった。

『ギャラリーフェイク』という漫画は、贋作画廊のオーナー(主人公)が、その天才的審美眼と修復技術を武器に、美術界の裏に潜り込む虚飾に切り込んでいくというストーリー。モナリザやフェルメールの絵画など、昔、学校で習ったなあっていう作品が実際に出てきて、サスペンス仕立ての内容になっているので学んでいるというよりは、どんどん先を読みたくなり、とてもおもしろかった。漫画を読んでいるうちに、実際の美術品を全く知らないなあ。見てみたいと思うようになった。

『実際見てみたいかも』とポツリと言った私に、しめしめじゃないけど、もじゃおじ先生は、『今、ゴッホがきてる。ちょうどいい。見ておいで。』と教えてくれた。

そこで初めて見たのが、ゴッホの『夜のカフェテラス』

全部見た後にもう一度、見にもどった。それが有名な絵だとか全くわかっていなかった。かっこいい。ほんまにすごいと思ったのを覚えている。

そこから、美術品を見に行くことも人生の楽しみの1つに追加した。

もじゃおじ先生はひょうひょうとしている。ひょうひょうとカラオケでは『プカプカ』を歌う。下手すぎて、最初音程もよくわかんないから、何を歌ってるんだ?と思ってた。なんのうた?って聞いたらCDを貸してくれた。いい歌に思えてきた。今ではたくさんの有名な人がカバーしてる。高田渡さんなどのフォークソングの話も良くしてくれた。

偶然の出会いの中で、好きが増やせて人生さらに楽しめるようになったな。もじゃおじ先生。元気かな。歯抜けのもじゃおじ先生。話し出すと大量の唾がとぶ。それも大粒。でも、話を聞いてるの楽しかったから、唾は我慢した(笑)口癖は『ええやん。ええやん。』今セカアカ通ってるんだって言ったらきっと『ええやん。ええやん。』って言ってくれるだろうな。

テーマの『おすすめアート』になってない(笑)今日のお話は、私の心に彩るアートを教えてくれたおじさんとのお話でした。ギャラリーフェイクはおススメです。高田渡もプカプカもハッピーエンドもおススメです。



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