説明が難しい味/1015 すず

普段、水とコーヒーくらいしか飲まない私が、好きな飲み物。

「カルコ」

何それ??と言われたことしかない。そして説明する。
「カルピスとコーラを混ぜたものだよ。」
すると、聞いてきた人の顔が歪むのだ。

小さいころ、近所のお店にあったカルピスコーラ。カルピスの原液をコーラで割り、レモンをアクセントに絞る。美味しい。でも、説明できない味。
顔が歪んだ人々に味を説明したくても、表現できないので困る。飲んで。とりあえず飲んでみて。どんどん遠ざかる距離。

大人になって再会を果たす。でも、なんだか様子がおかしい。

「おい、カルコ。カルコじゃないか。」
『どちらさま?』

田舎から都会へ出て、再会を果たしたカルコは、私の知っているカルコじゃなかった。
『 私、キューピットよ 』

キューーーーーーピット???なんだその可愛い名前は!!おしゃれな名前は!!
そして、キューピットは注文されていく。おしゃれな街で生きている。
なんだこの、幼馴染が上京して都会に染まって距離を感じる感じ!!デビュー前は仲良く話してくれていたのにデビューしたとたん遠い存在になるアイドルみたいな感じ!!なんだこの感じ!!

ちょっとした寂しさと、メニューに載っている喜び、愛しさと切なさと心強さと、、、

そして、頼む。カルコじゃない。俺の知っているカルコはもういないんだ。キューピット、、、冷たいキューピットをください。できたら愛してください。

、、、、、、あの味だぁ!!

ふっふっふ。名前は違っても味は変わらない。謎の優越感。そして安堵。&安堵。ただ、名付けた人に拍手を贈りたいと思った。確かに、確かになんだか、わかったようでわかってないけれども、どんな味かと聞かれたら、答えてやるのが世の情け

キューピット、みたいな味

かわいいじゃん。そのまま、みんなに愛されてね。キューピット。


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