見出し画像

創星のアクエリオン(OVA) 裏切りの翼/太陽の翼 感想

先日「創聖のアクエリオン」を観返したので今回はそのついでに観返したOVA版の感想です。
タイトルがごっちゃになるので創聖は「TV版」と創星は「OVA」と呼称します。結論から言うと全然面白くなかったです。


一応前日談…らしい

どうやら並行世界の出来事らしいのだがこの戦いの余波によってTV本編の第1話に繋がるという作りになっている。まあゼーガペインアダプテーションよりは無理のない話だったかな…という感想。要るか要らないかで言えば、絶対に要らない。


シリアスすぎる

本作を「つまらない」と思った一番の理由はここ。TV版もシリアスではあるのだが、それ以上に荒唐無稽な演出や話運びで明るく楽しい作品だった。デウス・エクス・マキナである不動のぶっ飛んだ発言だったり、ノリで放たれる自由度の高い必殺技も楽しみの一つだった。しかし本作にTV版のそういう要素はほとんどない。


シリウス不在

シリウスが開幕から故人である。そのせいでシルヴィアが復讐鬼みたいになってる。これ「劇場版 少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録」でも思ったんだが冬芽のような作中屈指のオモシロ男が不在なだけで一気に作品から「楽しさ」が消える。TV版最終回のシリウスに託された太陽剣が好きだったので太陽剣の安売りも気分のいいものではなかった。



没設定の供養

12000年前にアクエリオンに乗っていた三人目のエレメントの正体が明かされ、次回作「EVOL」で賛否両論を呼んだ翅犬ポロンの名前が初登場した(姿だけはTV版から登場)。しかし本作ではTV版以上に完全にアポロニアス=アポロの過去生として扱われていたため少なくともこの段階では翅犬=アポロではないと再確認できたことから今回観返して正解だったと思った。

やっぱEVOLってクソっすね…



主人公はまさかの麗花

麗花の過去生はTV版では不明だったがOVAで「スコルピオス」であると判明した。どうやら12000年前にベクターマーズに乗って戦っていたがアポロニアスを裏切って殺害したらしい。アポロニアスと愛し合っていたセリアンを過去生に持つシルヴィアとの三角関係のドラマがOVAのメインとなる。
それが、ま〜〜〜面白くない。そもそも麗花はTV本編でも主人公級のドラマをもらっていた。TV版麗花の不幸体質の理由はOVAの一連の出来事に由来するらしいが、TV版の「自分を不幸にしているのは自分自身」「だから自分を変えて不幸を断ち切れ」という考え方が好きだったので感動を台無しにされた感は否めなかった。



独特な生命観を持ったアポロ

TV版のアポロは路上生活をする孤児という感じだったが、OVAでは完全に野生児だった。自然と心を通わせる少年で「食べる」事でその動物の分まで生きる…みたいなのは魔獣戦線のラストシーンみたいでちょっと良いなって思った。「地球を守る」と言いながら堕天翅との戦いで自然を破壊する矛盾に切り込んでいたのも面白かった…が結局愛愛愛愛でぶん投げてしまった。扱いきれないなら最初から扱うな。


閉じた人間関係の否定

アポロニアスがなぜ三機のベクターマシンに分けたのか。
アポロニアスとセリアンの結びつきはあまりにも強かったが、閉じられたものであり地球さえも滅ぼしかねない。だから閉じられた関係を広げるもう一人が必要だった…という理由付けがなされた。
頭翅の一方的な愛を否定する事にもなるし面白い切り口だと思う。だけどTV版の「自立と協調の三つのベクトル」には遠く及ばないなと思った。一人一人違っているから愛し合える(合体できる)というのは本編でも既にやってるし…


まとめ

ところどころ光る部分はありましたが基本的に設定をキャラに喋らせているだけで全然面白くありませんでした。TV版のアクエリオンがいかに完成度が高い傑作ロボットアニメであるか再確認できました。

たぶんアクエリオンEVOL感想に続く。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?