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小説-DAWN OF AKARI-奏撃の い・ろ・は

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以前クラウドファンディングでアニメ化を試みて未達に終わった「ABC of Akari」の企画をベースに、新たにストーリーを作り直した独自ビルド版の小説です。よろしければ読んでくだ…
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2020年7月の記事一覧

小説 -DAWN OF AKARI- 奏撃(そうげき)の い・ろ・は(09)

9 アリィ・パリィの愛称で知られるアレクサンドラ・パレスは、ロンドンの北東部にあるビクトリア朝様式の宮殿だ。『市民の宮殿(The People’s Palace)』として1837年に開業したその施設は、2度の火災の憂き目に会いながらもその都度再建され、現在もロンドン市民の憩いの場として利用されている。  アレクサンドラ・パレスまでは、地下鉄ピカデリーラインのウッド・グリーン駅で降り、そこからアレクサンドラ・パレスまでのバスが6分置きに出ている。  駅から徒歩でだと20分ぐらい

小説 -DAWN OF AKARI- 奏撃(そうげき)の い・ろ・は(10)

10  突然、二人組の黒服の男達がアレイスターに襲い掛かってきた。  ソーホーの裏通りにある日本料理店『バンザイダイニング』の通りに面している入り口付近だった。アレイスターがちょうど店に入ろうとしたところを襲われたのだ。 「何者だ!?」  アレイスターの問いに黒服の男達は全く答えない。  最初は酔っ払いが搦んできたのかと思った。しかし男達の機敏な動きから、ただ者ではないのが直ぐに判った。MPSで格闘術のトレーニングをしているアレイスターでさえも防戦一方だったのだ。  一足