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暗黒女子 名門女子校カリスマ生徒の謎の真相が、文芸部闇鍋発表会で明かされる

あらすじ

舞台はお嬢様ばかりが通う女子高「聖母マリア女子高等学院」の文学サークル。
校内でも選ばれた者しか在籍できないこのサークルで、定例の「闇鍋会」が開かれている。
豪奢な家具や装飾が施されたサロンの中は真っ暗であり、各自が持ち寄った具材が煮えている鍋の中身もわからない。
今宵、サークルのメンバーたちは各自が執筆した小説を朗読しながら、この闇鍋を食べる決まりだ。
鍋の中身を唯一知っているのは、現会長である澄川小百合だけ。
そして、小説のテーマは「前会長・白石いつみの死」について。
テラスから落下し、手にすずらんを持ったまま帰らぬ人となった白石いつみの身に何が起こったのか?
犯人がいるなら、それは誰なのか?
美人で、聡明で、明るく、誰にでも優しい、そして経営者の娘でもある「いつみ」
それが、なぜこんなことになってしまったのか?

小説という名の「証言」が始まろうとしていた。

★登場人物


二谷美礼(1年)(平裕奈)…家が貧しく、奨学生として入学してきた。

小南あかね(2年)(小島梨理杏)…実家は老舗の割烹。自身はスイーツづくりが大好き。

ディアナ・デチェヴァ(留学生)(玉城ティナ)…ブルガリアの小さな村出身。

高岡志夜(2年)(清野菜名)…現役のライトノベル作家。

澄川小百合(3年)(清水富美加)…現会長。白石いつみの親友。細かい計画を立てる参謀役。

白石いつみ(3年)(飯豊まりえ)…前会長。校内一の有名人。文学サークルを復活させ、メンバーを集めた発起人。天真爛漫で行動力がある。

二谷美礼の証言


二谷美礼は、白石いつみに救われた。
アルバイト禁止ながら金を稼ぐ必要のあった美礼のため、いつみの弟の家庭教師を任せてくれた。
いつみは美礼に心を開き、黒いバレッタをプレゼントしてくれたと言う。
ある日、美礼はいつみから相談を受けた。
『高岡志夜がいつみの父親を誘惑している』
事態は悪化していくばかりで、いつみは日に日に弱っていった。
おそらく、いつみは高岡志夜に口封じされたのだろう。
手に握っていた「すずらん」の意味は、高岡志夜が身にまとう香水の匂いを暗示している。
小説の結末:犯人は高岡志夜

小南あかねの証言


小南あかねの実家が焼失した。
何者かによる放火の可能性が高いという。
その夜、あかねはいつみとサロンで遅くまで議論していたため火事には巻き込まれなかった。
お菓子作りが生きがいであるあかねにとって、サロンの完璧なキッチン設備は唯一の心のよりどころとなった。
あかねが希望を持ち続けられたのは、キッチン設備を整えてくれたいつみのおかげだ。
ある日、あかねはいつみから相談を受ける。
『二谷美礼が家の物を盗んでいる』
無理やり弟の家庭教師になった美礼は、家に来るたびに金品を盗んでいくのだという。
大事なバレッタまで盗まれたこともあり、いつみは日に日に弱っていった。
おそらく、いつみは話し合いに行ったテラスで美礼に突き落とされたのだろう。
手に握っていた「すずらん」の意味は、バレッタにラインストーンで装飾されていた模様を暗示している。
小説の結末:犯人は二谷美礼

ディアナ・デチェヴァの証言


いつみが短期留学したブルガリアの村のホームステイ先がディアナの家だった。
引率の北条先生(文学サークル顧問)が忙しかったため、留学中の相手はディアナと双子の姉であるエマが担当。
3人はすっかり打ち解け、翌年もいつみはディアナの家にホームステイすることになった。
その後、ディアナはいつみの計らいで聖母女子学院に招待留学することになった。
学院の生活の中で、白石いつみが文芸サークルを開いている校舎を自分が卒業後寄付したいと言っていることに、小南あかねがいつみに抗議している場面を目撃する。
おそらく、いつみを亡き者にした犯人は小南あかねだろう。
動機は、文芸サークルが無くなったら、小南あかねがお菓子を作り自分の夢に近付くための居場所が無くなるのを恐れたために違いない。
いつみが体調が悪くなるのは決まって、小南あかねが作ったお菓子を食べた後。
小説の結末:犯人は小南あかね
 

高岡志夜の証言


高岡志夜は白石いつみを心から慕っている。
一緒に行ったブルガリアでも、いつみと志夜とディアナは終始仲良く過ごしていた。
そのうち、いつみが日に日に弱っていった。
そんな時、高岡志夜はディアナが夜中に人形の胸にナイフを突き立てるのを目撃する。
おそらく、犯人はディアナ・デチェヴァだ。
動機は、ディアナがラミァーだから。そして白石いつみは、ディアナが日本から帰国した後は交換留学生を止めると言っていたから、ディアナはいつみから離れたくないためにいつみを殺した。
その証拠に、白石いつみの首筋に吸血鬼の噛み跡のようなアザがあった。

 小説の結論:犯人はディアナ・デチェヴァ

白石いつみの小説


全てのメンバーの小説朗読が終わった。

証言内容には多くの矛盾点があり、誰が犯人なのか、何が真実なのかはわからない。

最後に小説を朗読するのは、現会長の澄川小百合だ。

小百合「今から私が読む小説は、白石いつみ本人が書いたものなのです」

今朝届いたといういつみの小説。
その内容とは…?
秋吉理香子の傑作イヤミス小説を映画化。

感想

優等生タイプの平佑奈や明るくムードメーカーな清野菜名やキュートでロリータな小島梨里杏や冷静でしっかり者な清水富美加や完璧なアイドルタイプの飯豊まりえとタイプの違う女性キャラクターの魅力、文芸サークルのメンバーそれぞれが朗読する創作小説の中から浮かぶ「白石いつみの死」に関する真実と嘘とメンバーそれぞれが抱えた黒い秘密がさらに観る側を混乱させる巧みな展開、女子同士の友情や憧れとその裏側にある独占欲や嫉妬や憎悪、クライマックスに明らかになるグロテスクな真相の底にある女子高生という期間限定の美しさと「自らが主役でなければ意味がない」という思春期特有な思い込みに対する醜悪な執着と傲慢さが見えるおぞましさ、真のクライマックスでは闇鍋の中身の正体と共にキャラクター全員の美しさと裏腹な醜悪な本性が明らかになり、映画版オリジナルのラストでは彼女達が自ら作ったストーリーと美しい牢獄から抜け出せないことが仄めかされた恐ろしいエンディングで、映画でよりしっかり描かれた白石いつみと他のメンバーの屋上での対決などオリジナルのシーンや設定も効果的な、傑作イヤミスサスペンス映画に仕上がっています。
それぞれ印象的な演技を見せる女優陣の中でも、やはり清水富美加の冷静な中にある邪悪さや冷酷さを醸し出す熱演が、飛び抜けています。
カリスマドットコムの主題歌が、ポップに女子の本音を表現していて、かっこいいです。

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