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蜘蛛女 ロミオは、血まみれ

あらすじ

ジャック・グリマルディ(ゲイリー・オールドマン)は万年巡査部長の生活から抜け出すためにマフィアと内通し、情報を提供して大金をもらっていた。
美しい妻のナタリー(アナベラ・シオラ)と若く魅力的な愛人シェリー(ジュリエット・ルイス)に囲まれた彼の生活は、申し分ないように思えた。
ある日、ジャックはマフィアの女殺し屋モナ・デマルコフ(レナ・オリン)を護送する任務についた。
モナは目的のためなら手段を選ばぬ残忍な女で、ドン・ファルコーネ(ロイ・シャイダー)さえ彼女を恐れていた。
移送したホテルでモナは、ジャックを誘惑しファルコーネを裏切らせようとする。
彼の情報でマフィアの刺客がホテルに向かったが、モナはFBIの捜査官を殺して逃げていた。
失敗を償わせるため、ファルコーネは彼にモナを殺すよう命じる。 
だが、その彼女が彼の目の前に現われ、自分の死亡証明書を作ってくれればマフィアの報酬の5倍は払うと言う。
彼はセクシーなモナの魅力と金の力に屈し、取引に応じる。
ジャックの背信を知ったマフィアは、彼の足の指を切り落とす。
追い詰められた彼は、シェリーと別れ、妻を逃がした。
証明書を受け取ったモナは、ジャックを殺そうとする。 
殺し屋モナとジャックの対決と運命は、予想外の方向に転がっていく。

感想

ヒラリー・ヘンキンが執筆した巧妙で破天荒な脚本が、ハリウッドで評判を集めていた。
だがユニークな過激な内容に制作が難航したものの、奥さんとの将来のために汚職刑事となったジャックを演じたゲイリー・オールドマン、マフィアを乗っ取ろうと企む殺し屋モナ・デマルコフを演じるレナ・オリン、ゲイリー演じる汚職刑事ジャックを一途に愛する妻ナタリーを演じたアナベラ・シオラ、コケティッシュなゲイリーの愛人シェリーを演じるジュリエット・ルイスをはじめとする演技派俳優のリアルな鬼気迫る演技と型破りなバイオレンスとユニークな語り口と乾いた映像美とヒリヒリするような予想外の展開のサスペンスと劇中のムーディーなジャズによって、タランティーノ映画や「LAコンフィデンシャル」と並ぶ90年代のフィルム・ノワールの代表作となりました。
特に、ラスト近くのモナがジャックを脅してマフィアのボスを生き埋めにする穴を掘らせるシーンやゲイリー演じる汚職刑事が大切な物を全て失って生き地獄に堕ちる切ないラストが、印象的です。
「幽霊に会ったことが、あるか?」

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