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マイ・ブロークン・マリコ たったひとりのダチを弔う旅

あらすじ

ブラック企業に勤めながら鬱屈した日々を送るOLのシイノトモヨ(永野芽郁)は、ある日、親友のイカガワマリコ(奈緒)がマンションから転落死したというニュースをテレビで見る。
彼女の死を受け入れられず茫然自失するシイノだったが、大切なダチの遺骨が毒親の手に渡ったと知り、居ても立っても居られず行動を開始。
包丁を片手に単身“敵地”へと乗り込み、マリコの遺骨を奪取するのだった。
幼い頃から父親(尾美としろう)や恋人に暴力を振るわれ、人生を奪われ続けたマリコ。そんな親友に自分ができることはないのか。
シイノがたどり着いた答えは、学生時代にマリコが行きたがっていた海へ彼女の遺骨を連れていくことだった。
道中で出会った男・マキオ(窪田正孝)も巻き込み、シイノとマリコの“二人旅”が始まった……。 
平庫ワカによる同名漫画を「浜の朝日の嘘つきどもと」のタナダユキ監督、「そして、バトンは渡された」の永野芽郁主演で実写化。

感想など

ストーリーは、原作に忠実に描かれているが、シイノトモヨとマリコの友情以上の「アンタはどうかしらないけど、アタシにはアンタしかいなかった」ロマンシスが、回想シーンを随所に効果的に交錯しながら描かれていることで、暴力父やDV彼氏から離れられないけど親友のトモヨにも依存していて振り回してしまう感覚が壊れてしまっているマリコとガサツだけど情に厚く義理硬いトモヨの複雑な友情が丹念に描かれていて、特にトモヨがマリコの遺骨をマリコの暴力父から強奪する時にトモヨがマリコの父にマリコの代弁するように啖呵を切るシーンやマリコの遺骨を弔う時にマリコにトモヨが自分の気持ちをマリコに吐き出すシーンで永野芽郁と奈緒の声がオーバーラップする演出などが上手く描かれていて、絶妙で巧みな演出が、永野芽郁と奈緒の魂の演技を際立たせていて最高だった。
キャストでは、ミスキャストと話題になっていた永野芽郁だがイメージだと若い頃の真木よう子だったけど、柔らかい感じの永野芽郁が体を張って演じることで男社会の中で気を張って生きるシイノトモヨがリアル感あって、マリコの家に入る為にマリコの義理の母(吉田羊)を泣き落とすくだりは永野芽郁のコメディエンヌの上手いところが緩急を与えていた。
マリコ役の奈緒は、マリコの暴力父やDV彼氏に苦しめられながら離れられない壊れてしまっているマリコがイメージ通りで、シイノトモヨの喪の旅に寄り添うマキオの世捨て人のような優しさにふんわりした温かみを与えていた窪田正孝も、尾美としろうや吉田羊も出番が少なかったけど、良いキャスティングでした。
爽やかなオチも、THEピースの主題歌もステキだったロマンシス・ストーリー映画。
「もういない人に会うには、自分が生き続けているしかないんじゃないでしょうか」

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