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せやろがいおじさんの「伊藤詩織さんを支持します」動画が好評多数

 YouTuberの「せやろがいおじさん」が今月13日、<せやろがいは伊藤詩織さんを支持する。その理由を話す>と題した動画を公開し、注目されている。 
フリージャーナリストの伊藤詩織さんは、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏による性暴力を告発し、尋常でないほどの誹謗中傷とセカンドレイプを受けた。それを受け今月8日、伊藤さんは自身の名誉を棄損するイラストを描いた漫画家・はすみとしこ氏と、はすみ氏のTwitterを積極的にリツイートした2名に対して、損害賠償金を請求する訴訟を起こしたことを発表。Twitter上では「#伊藤詩織さんを支持します」と連帯を示すハッシュタグが盛り上がっている。 
動画の冒頭でせやろがいおじさんはいつもの動画と同様、疾走感のあるカット割りで「伊藤詩織さんを誹謗中傷する人」そして「伊藤さんを誹謗中傷する人を誹謗中傷する人」に注意を促した。 しかし、途中で<違う気がしてきた>とつぶやいて海から陸にあがると、カメラマンに<一旦このまま撮ってもらってもいいですか?>とお願い。 <この問題って誹謗中傷だけでなく、もっと様々なことが絡んでいる>として、せやろがいおじさんは伊藤詩織さんへのセカンドレイプについて話し始める。<誹謗中傷の中でもセカンドレイプ的なものがすごくヒドかったと思うんですよね。枕営業大成功とか、あんな胸元開いた服で記者会見をうけるかねとか、性被害をうけた人が笑わないでしょ普通とか、あと、酔っぱらって酩酊しちゃってゲロ吐いて女としてどうやねんみたいな、あんたにも責任あるでしょみたいな><これ全部セカンドレイプで、この感覚ってどっか、ここまでにしないにしても、僕らにもあると思うんですよ。そんな露出度の服着て電車乗ったらそりゃ痴漢されるだろとか、男性と二人きりで飲んで男性の部屋まで行ったらそれはもうOKのサインやろみたいな。セカンドレイプに類する発想や発言とか僕らどっかしてるとこあると思うんですよね><でもそれって、加害者を援護したり擁護したりする言葉だし、被疑者を孤立させてしまう言葉だと思うんですよね。こういう現状があるから性被害をうけても怖いから声に出せずに闇に葬られてしまうっていう現状を作ってしまうと思うんで><誹謗中傷の感覚をアップデートすると共に、セカンドレイプという我々の中にどっかある、性被害をうけた側にも責任あるんちゃうかみたいな発想もアップデートしていかないといけない><伊藤詩織さんや伊藤詩織さんをフォローする女性の方々にも凄いバッシングが集まっている。声をあげる女性に対して凄い攻撃的、男性が女性を上から目線で説教をするマンスプレイニングというみたいなんですけど、更新していくべき価値観じゃないかな> 
せやろがいおじさんが、性被害を受けた人の落ち度をあげつらうことがセカンドレイプだと自覚し自分の中にあるミソジニーと向き合ったきっかけは、視聴者から「ミソジニスト」との指摘を受けたからだという。<僕もこんな偉そうに言ってますけど、ちょと前にですね、ミソジニストだという批判を受けたんです。僕の中でもそれは非常に受けいれがたかったんですけど、その批判を追ったり色々とやり取りしている中に、やっぱり自分の中にミソジニーの考えあるやんってなって、更新していかなあかんなと思ったんですね><一緒に更新していこうっていう> 
また、山口敬之氏が現政権に非常に近い存在だということから、一部の保守論客が山口さんを擁護し伊藤詩織さんを批判するという構造が出来上がっていることについても言及している。せやろがいおじさんは山口氏を擁護する人々に対して、自分のポジションにかかわらず、性被害に遭った人がバッシングされる国でいいのかと問いかけた。<保守とか愛国の方は伊藤詩織さんがこんなこと訴えたら日本が貶められるやんけとか、日本が下がってまうやんけみたいな事を言うんですけど、いったんこの対立を置いといて考えてみたら、もし自分とか自分の大切な人が性被害に遭った時に、警察が逮捕状取り消して、いろんな証拠が残っているにも関わらず不起訴相当になってしまって、しかもセカンドレイプで誹謗中傷あびて、みたいな国でいいんすか?> 
そして、自分も日本が好きだからこそもっと良くするために声を出していると訴えた。<僕も日本の政権などを批判するようなことを言うと、日本を貶めるなとか、日本を貶めるお前は反日だとか、そんなに日本が嫌なら出ていけみたいなことよく言われるんですよ><今日本の中にある問題とかエラーが起きていることには目をふせて、日本すごいよね、日本マジ美しいよね乾杯って言うよりも、ちゃんと問題に向き合って、ここ変えたほうがええよねって一個一個改善していってより住みやすくなった日本で乾杯した方が、その酒ぜったいうまいと思うんですよ> 
その他にも動画内では、警察と検察の対応への疑問や、毎週せやろがいおじさんの動画を流しているTBSの『グッとラック!』に、伊藤さんがはすみとしこ氏を提訴した件について取り上げたと言ったらNGを出されたということなどに触れている。 最後は、伊藤詩織さんにすべてを背負わせてはいけないという思いから、伊藤さんへの支持を表明したと説明。<伊藤詩織さんが提訴した件で、自分がアップデートする余地とかその部分ってないやろうかって見直す機会にしないといけないと思うんです><この要素全部を今、伊藤詩織さんに背負わせてるんちゃうかと、一人の女性に。それやっぱあかんよね><だから僕は伊藤詩織さんの提訴を支持します。伊藤詩織さんに連帯します> 
動画を公開する前、せやろがいおじさんはTwitterで「登録外しました」「あっちの人だったのか」といった否定的なコメントがすでに来ているとして、マイナスのハレーションが起きることを危惧していた。しかし今現在(6月19日現在)、高評価2.7万に対して、低評価は773にとどまっており、せやろがいおじさんの動画によるメッセージは多くのユーザーに響いているようだ。
せやろがいおじさんは、「桜を見る会」「新型コロナ対策」などの時事ネタから「少子化問題」「ゴキブリとの共存」など身近な問題までこれまで様々な「これってどうなの?」ということを突きつめてニュートラルな立場から発信しているYOUTUBER。
今回問題にしたのは、ネット上の性被害者に対する誹謗中傷やセカンドレイプとその中にあるミソジニーつまり性差別的価値観やネットを現実から離れた外野と思い込み匿名性に隠れて軽い気持ちで誹謗中傷するネット民のリテラシーの無さをテーマにしている。
せやろがいおじさんは、数年前に自分の動画に「ミソジニストだ」と批判される経験を絡めて、「露出の多い格好していたら痴漢されても仕方ない」「本当の性被害者は笑顔を交えて自分の被害体験を話せない」「酒を男性とふたりで飲む席に行った女性にも落ち度がある」など性被害者に対する誹謗中傷には「女性はこうあるべき」と決めつけ性被害者に沈黙を強いるミソジニーつまり性差別的価値観が根底にあることに触れて、古き悪しき価値観は更新していかないといけない、それが古い価値観にしがみつき変えられない老害にならないために日本をより良い国にしなければならないと、キャラを捨てて真摯に語りかける今回の動画は、伊藤詩織さんに批判的な人にも響き、男性にも好評だった。
ただこれは、ネット上の「女性より男性のアカウントの方が声が強く真剣に受け止められる」という男尊女卑的な傾向の現れでもあるので、これもアップデートしなきゃならないことでもある。
自分の中のミソジニーつまり性差別的価値観を捨ててアップデートしなきゃならないという自戒を込めて改めて、「わたしは伊藤詩織氏を支持します」。

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