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座右の銘、褒められすぎると恥ずかしい @saayoo345

その日、私は突然いただいたメッセージに応える形で、外苑前にあるビルの一室、ガラス張りの会議室の中にいた。

「僕ね、作詞とかもしてたことあるんで、この言葉の良さがわかるんですよ! この一文の中でリフレインしているのがいいんですよ。リフレインしているのが!」

オッケーGoogle。 リフレイン 意味。

私が生涯好きであろう業界から、ありがたくもお仕事のご依頼でした。 「まずはざっくばらんにお話しましょう」とお声がけいただき、打ち合わせに来たのがいいものの。

先に言っておくと、初めましてとは思えないくらいとても楽しかった。

褒めていただけたのは、この座右の銘。

「プライドを捨てるプライドを持つ」

一文の中でプライドが2回入っているのがいいらしい。

リフレインか、なるほど。

「このね、この文を読んでお会いしたいと思ったんです!だってね、すごく良くないですか?!とくにここの...」

わかった。ありがとう。もういいぞ。

恥ずかしい。

大学時代に出逢ってからすごくすごく大事にしているのですが、この言葉をくれたのは、当時バイトしていた居酒屋の店長でした。

花さか天使テンテンくんにすごく似ていたので、『テンテン』と呼んでいた彼。ちびっこくてちょっと舌っ足らずで、究極のいじられキャラだったけど、言うことはすごく真っ当でした。(店長からのテンテンでもある)

私が働いていた居酒屋は、全国に展開する大手チェーンの中の一店舗。新入社員はまずはそのお店で長期研修をするくらい、入客数・売上・お客様の評価が社内でも高いお店でした。

店長・副店長以外は全員大学生のアルバイト。なのに、全員ものすごく自分ごとにしてお店を大事にする。

お店をよくするための話し合いをもうけ、終礼での振り返りは必ず次の日から反映させるような、スピード感のあるバイト先でした。

ちなみにバイト終わりはよく全員でグリモン退治に行っていた。グリーンモンスター=鏡月。ただの飲み会である。

居酒屋で働きはじめて最初に憧れたのはドリ場。

お酒などのドリンクを提供する場所です。来店客数が多い=注文数が多い、ましてやドリンクの注文量は異常。お客様をお待たせるすることなく回していく、そこは選ばれしものだけが入れるポジションでした。

あのトニックとかジンジャーエールとかボタンで押すと出てくるやつ、めっちゃ使いたかってん。

しかしまぁあれ。ボタンいくつもあると押し間違えてねぇ。

キッチンとかもやりたいなと思ったものの、配属されたのはホール。後にお客様を入り口でお迎えして席にご案内し、お会計を担うレセプション的な役割が、私の主なポジションとなります。(なんて呼んでたっけー)

先述したとおり、入客数が半端じゃないお店だったため、満席でお客様をお断りすることは日常茶飯事でした。いかに効率よく席を回していくかは頭を使うところ。面白いところでもあります。

お客様があかない席を待ち続けないように、でも席を開けないためにどの程度ウェイティングを作るのか。

次のお客様が入れるように、時間が迫ったお客様にいかに気分良く席を開けていただくか。

お店に来ていただく最初と最後、そのお店の印象を決めかねないポジションです。

今思っても、まじで接客スキルの高いスタッフばかりだったのでまさか最後に印象を落とすわけにはいきません。

なぜ、接客スキルが高かったのか。
そもそも接客スキル高いって何よ。

それを伝えるために彼はよく言っていました。

「プライドを捨てるプライドを持て」と。

この場合求められていた「接客スキルの高さ」は、お客様に対してフレキシブルな対応ができる、ということで、すべてのサービスは「誰のものの何か」を考え続けろ、ということだったと、理解しました。

大手チェーンだからマニュアルはありますし、もちろん最初に叩き込まれます。それは、仕事です。そこから先、お客様のために君は何をするの? という話でした。

静かに過ごしたい人、フランクに接したい人。
それぞれへの接し方はあるでしょう、と。居酒屋だから全員どんちゃん飲みたいわけじゃないぞ、と。

近くに大学があったのでたしかに学生は多かったし、自分たちも学生。楽しくなっちゃうのはわかるけど、落ち着けな、と。

静かに過ごしたい方だと判断したなら、
「今すぐご案内できる席はカウンターですけど、あと20分お待ち頂ければ奥の静かな席をご用意できます」と提案すれば、待ってくれるかもしれない。

ちょっとしたサプライズで盛り上がりたそうな方だと判断したなら、席で1杯目のドリンクの注文伺ったあと、先にドリンクのオーダーを飛ばしながらおすすめのおつまみの話でもして、私が去ると同時に他のスタッフに飲み物を持ってきてもらえば、1秒も待った気はしない。

自分で考えて、それを受け入れて貰えた時の喜びって、けっこう何にも変えられません。

でも、調子に乗るなよ、と。

昨日上手くいったからって、同じ手段が必ず他の人に喜ばれるとは限らない。

変な自信を持って、やってやった感出すのは違うからな。誰でもかんでも通用すると思うなよ!

昨日のプライドは捨てろ!

なんてことをよく言われていました。

時にこの座右の銘を話すと
「いやプライド持てよ!!!」と半笑いされることもあるのですが、

プライドは持っているんです。

じぶんはこうだと決めつけない、そういう凝り固まったプライドは捨てているというだけ。

もう卒業して12年くらい経ちますが、やっぱりまだずーっと覚えている言葉。

ちゃんと、目の前の相手を想いなさい

そんな言葉に変換されて、これからも残り続けるような気がしています。

居酒屋誕生日サプライズ派手問題はずっと考えていて、学生とかわちゃわちゃしてるところはいわゆるあのままに、カップルで2人とかの場合は恥ずかしいかもしれないのでやたらムーディーに自然に持っていく、という演出とそれに見合うプレートを模索していました。(ムーディーも知らんくせに変な大学生)

だいたい彼女が彼氏にサプライズするときは盛大に、逆の場合は彼女が恥ずかしくならないようにさりげなく、が多かった気がする🤔

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柴 田 佐 世 子
Twitter :: https://twitter.com/saayoo345

過去記事 :: 「いつか」と伝えておいたものが、戻ってきた気がします。

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