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豪徳寺周辺に訪れました。

「強そうなお寺ベスト10」みたいなランキングがあったら常にランキング上位の常連になりそうな豪徳寺。名前は強そうなのに、近年は「招き猫」で大変に有名になり、ヴァエを求めるインスタ女子が大挙して訪れる観光スポットとしても有名です。

個人的な話ですが私は比較的この近くに以前住んでおり、ふと懐かしくなったため久しぶりに訪れてみました。

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大谿山(だいけいざん)という山号を冠する豪徳寺。歴史のあるお寺で、参道には立派な松並木が並んでいます。
豪徳寺という駅は小田急線にもあるのですが、電車+徒歩で訪れる場合は東急世田谷線の「宮の坂駅」の方が近くて便利です。

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豪徳寺といえば招き猫。昔はそこまで「招き猫推し」ではなかったと思うのですが、どこかのタイミングで人気に火が付き、今のような状態になっています。
といっても豪徳寺と招き猫の由縁はとても古く、いくつかある「招き猫の発祥の地」の一つとされています。

江戸時代、当時の井伊家の当主井伊直孝がこの近くに訪れた際に突然の雷雨に見舞われるも、近くにいた猫に手招きでお寺に招き入れられた事で難を逃れることができ、その事に大変感謝したことから豪徳寺は井伊家の菩提寺となり、招き猫についてもその象徴として大事にされてきたようです。

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寺の境内は曹洞宗のお寺らしく、全体的に華美な作りではない落ち着いた佇まいです。ただ、今の豪徳寺を象徴するのは、招き猫の姿。

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多くの参拝者から奉納された「招福猫児」(まねぎねこ)が境内そこかしこを彩る姿は圧巻です。

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スマフォで写真を撮ろうとすると顔認識アルゴリズムが働いて大量に顔を検知してしまい、画面が四角い枠だらけになってしまいます。たまに「まばたきを検知しました」という通知が出たりもして、おそらく何匹かは生きています。

豪徳寺は井伊家の菩提寺であるため井伊家の代々の当主のお墓が境内に鎮座しています。「桜田門外の変」で有名となった井伊直弼のお墓もあります。

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井伊家はもともと彦根藩の領主ですが、彦根藩といえば国宝彦根城、彦根城といえばひこにゃん、ひこにゃんといえば猫。
そしてひこにゃんのモデルは、この豪徳寺の招き猫、のようです。

彦根藩井伊家二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招きして雷雨から救ったと伝えられる"招き猫”と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編成のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクター。

ふとした縁から奉られるようになった招き猫が、時代を超え、様々に形を変えて、今でも多くの人に支持されている、というのはとても面白いなと思いました。

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豪徳寺はかつて世田谷城があった敷地内に建立されたとされています。この辺いったいは高台になっており、それを形作ったのは、かつてこの辺りを流れていた烏山川。世田谷城は、日本の多くの城でそうであるように、川が切り取った崖線の上に居城していました。

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今昔マップでみてみると、この周辺の道路や区画は100年以上前の名残を多分に残しています。一点大きく違うのは、豪徳寺・世田谷城の南〜東を取り囲むように流れていた川が、今はその姿を無くしていること。

今は、烏山川は多くの部分で暗渠化されており、「烏山川緑道」として整備され、遊歩道として散策などを楽しめる場所となっています。

烏山川緑道を豪徳寺周辺から下流の方に向かってそぞろ歩くと、今は国士舘大学や世田谷区役所がある辺りを通り、松陰神社の脇を通り、三軒茶屋をかすめて三宿辺りで最終的には代沢川と合流し、目黒川と名前を変えます。

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世田谷城址の南にある城山通りから東を眺めると、道路にこんもりと盛り上がっている場所が見つかります。多くの場所でそうであるように、これは「暗渠」の目印。かつては川が流れ、橋がかかっていた箇所であることが多いです。

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はい。

豪徳寺のあたりから三軒茶屋駅までは2kmほど。歩ける距離なので、緑道にある程度沿いながらそぞろ歩いてみます。

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周辺の道案内は、ぜんぶ招き猫におまかせすればOK。目的の場所まで招き入れてくれます。

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94万区民の生活を支える世田谷区役所。下手な政令指定都市よりも人口が多い区民のリクエストに応えるために、職員は世界最強レベルの事務処理能力を持ちます(私の主観)。奥にそびえるのは国士舘大学。

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松陰神社。吉田松陰の墓碑があります。昔は松陰神社内にお墓もあったようですが、長州征伐の頃に幕府の人間に破壊されたらしく、現在は萩に移されたようです。
境内に「松下村塾」も展示されていますが、こちらは元々は国士舘大学内に作られたレプリカで、後年松陰神社に移築されたもののそうです。

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松陰神社の北側に向かい烏山川緑道に再度合流。東に歩いていくと環状7号線にぶつかります。

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環状7号線の若林付近では、東京では珍しく幹線道路と電車(世田谷線)が垂直に平面交差しています。有名な若林踏切です。踏切とは呼ばれてますが踏切が降りることはなく、車線の信号が赤になると電車が通行します。

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ちょうどタイミングよく招き猫のラッピング電車が走り抜けていきました。

完全に私事ですが、10年ほど昔に私はこの辺、若林2丁目の緑道近くに住んでいました。とても住みやすく、アーバンライフを満喫していた記憶があります。

若林周辺は三軒茶屋駅から少し離れており(徒歩約15分)、渋谷などに出ようとすると世田谷線経由で乗り換える必要があり面倒に見えます。
ただ、地元の人は承知の事として、裏ルート?として、淡島通り経由でバスで渋谷に抜けるルートがあります。
この付近には若林折返所というバス(渋51)の始発停留所があり、ここから約20分で渋谷まで乗換なしで移動できます。朝ラッシュ時は1時間に15〜17本という超高頻度でバスが運行されているため、ラッシュ時でも座って移動できるため快適です。

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三軒茶屋駅周辺は物件が狭くて高いのですが、ちょっと離れて若林くらいまで移動すると少し価格が落ち着きます。そして交通も至便。なんだかんだいって三茶にも歩いていける距離。
ということで憧れの三茶ライフを志す人にはこの辺に住むことを個人的には強く薦めていて、過去には友人が何人か住んでました。

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江戸五色不動の一つ、「目青不動尊」の別名がある最勝寺教学院を通り過ぎると、三軒茶屋駅も近くです。緑道沿いは落ち着いた街並みが続きますが、三茶の駅周辺は尋常じゃないくらいの人だかり。都会の喧騒を嫌でも思い出させる風景がかえって懐かしくも思えます。

世田谷の各施設は必ずしも電車の交通の便が良いようには思えない場所にあることもあるのですが、今回の記事で取り上げたその多く(区役所や国士舘大学、様々な寺社仏閣)は烏山川の流域沿いにきれいに立ち並んでいます。電車が開通する遥か前の時代、地形的な理由や水源を求めての理由があるかもしれません。

ということで、豪徳寺に招き猫目当てで訪れた人も、時間が余裕があるようであればぜひ烏山川緑道沿いに散策をしてみることをお薦めします。様々な歴史的な面影や、もしくは隠れキャラ的にパンフレット等には載っていない招き猫の数々を見つけることができるかもしれません。


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