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軽井沢まで鉄道でできるだけ安く移動してみた

所用で軽井沢まで出かける必要があり、先日訪れました。
普通に考えたら東京から赴く場合は北陸新幹線一択です。11時半までにたどり着きたい場合、10時に東京駅を発てば普通に間に合います。

東京〜軽井沢 普通の行き方

ただ、普通に行っても面白くないので、鉄道を使ってできるだけ安く行くとしたらどういう風になるか、試してみました。

今回の道のり

上野駅 朝6時ころ

休日の朝6時、上野駅。5時台の始発電車に揺られてまずはここまで来ました。
この時間だというのに、周りはスキー客・スノボー客らしき人が多く闊歩し、賑わっています。

鉄道で安い代替ルートを探すとしたら、すぐ思いつくのは、在来線で軽井沢まで時間をかけて訪れる、ということだと思います。
しかし多くの人がご存知の通り、北陸新幹線(当時は長野新幹線)開業時に並行在来線であった信越本線は軽井沢までの営業を取りやめ、途中の横川駅までしかたどり着けなくなりました。

純粋に新幹線を使わず、かつ「鉄道だけ」で訪れようとすると、「上越線〜北越急行〜飯山線〜しなの鉄道」でめぐる北回りのルートか、

北回りルート

もしくは「中央線〜小梅線〜しなの鉄道」という南回りのルートになります。

南回りルート

ただ、これらのルートだと予定に間に合わないし、そもそも安くもないし、ということで、過酷系YouTuberのようなルートは取らず、現実的なルートを選択しました。
端的にいうと、横川までは在来線、横川駅でバスに乗り換えて、軽井沢に向かいます。

東京〜高崎〜横川〜軽井沢: 2830円

このルートで2830円、新幹線指定席のルート(6020円:休日料金)の半額以下で、所要時間は3時間ちょっとです。今回はこのルートで訪れます。
いくつか途中下車して行きたいので6時台に上野から出発しました。

セイコーマートさいたま今羽店

大宮についたのがまだ6時台、充実した駅ナカで有名な大宮ですらお店も空いてない時間なので、朝食を求めて宮原駅で途中下車。北海道が誇る観光資源、セイコーマート、の店舗がなぜか埼玉にもあるので伺いました。宮原駅から徒歩圏。ニューシャトル今羽駅からだとすごそこ。

宮原駅〜セイコーマートさいたま今羽店

宮原駅にとんぼ返りして後続の高崎線に乗車。この日は土曜日だったのですが、7時台と早い時間でも電車が通勤通学の人で賑わっていました。僕は食事をしたかったのでグリーン車に避難しました。

牛乳、海苔巻、焼き鳥(豚肉)
カステーラ。カステラとは全くの別物の菓子パン

高崎で少し時間があったので、ここでまた下車して改札外に出ました。
高崎には「高チャリ」という市が整備している無料のレンタサイクルがあるので、こちらに乗って高崎市役所のあたりを徘徊しました。

高崎市役所、高崎城址公園

その後、信越本線に乗り換えて、終点の横川駅まで向かいます。ローカル線とは思えないくらいの快速っぷりで、線形のよい鉄路を走っていきます。もともとは「本線」ですからね。
道中、磯部駅のあたりにものすごい大きな工場が立ち並んでいましたが、日本を代表するケミカルメーカー、信越化学工業の大規模工場群だったようです。

横川駅

そして終着駅に到達。横川駅といえば「峠の釜飯」ですが、駅近くでは売っていそうな店も見当たらず、廃線跡を活用した「鉄道文化むら」に立ち寄る時間もないため、そそくさとバスにのって軽井沢を目指しました。

私は横川駅は初訪問で、この場所は鉄道好きの人には聖地中の聖地のような場所なようですが、その辺の良さを理解できるほど私は鉄道に詳しくないこともあり「昭和っぽい場所だな」という印象だけが残りました(廃線になったのは正確には平成になってから)

鉄道文化むら
廃線跡と思わしき轍

軽井沢まではJRバスで向かいます。バスは現金しか使えないのであらかじめ準備が必要。
多くのバスは、信越本線廃線跡のいわゆる「めがね橋」近辺ではなく、南側の国道18号沿いを走っていきます。運行時期限定でめがね橋の方を走るダイヤもあることはあるようです。

横川〜軽井沢(バス)

国道18号のルートはいわゆる碓氷峠超えの過酷な山道ほどではないですが、このルートも結局は急カーブの連続で、私が乗車時にも遠心力に耐えかねてお客さんの荷物が吹っ飛んでいくのを目撃しました。荷物の扱いは気をつけましょう。

バスの車窓
入山峠の頂上あたり

という感じで、軽井沢駅に到着です。街には大学生っぽい若い人だらけで、寒いのにみんなソフトクリームを食べていました。

軽井沢駅
アウトレットモール側を望む
観光地といえばソフトクリーム。私も結局食べた

ということで、所用も無事すませることができました。
帰りは、面倒くさくなったので普通に新幹線で帰りました。

今回の費用

今回のような行き方をすると、どの程度費用が節約できるか見てみます。この表の中ではセコマで購入した品々や、グリーン車の料金(休日料金: 800円)、途中下車したことによる費用の差異は除外しておきます。

費用一覧。新幹線は休日料金です。

私の今回のルートは真ん中の「片道在来、片道新幹線」ですが、こちらでも新幹線を往復するより3190円安上がりになります。
もし在来線+バスの組み合わせで往復をすると新幹線の片道の料金よりも安くすみます
ということで、ここまで見る限りでも、比較的今回の方法はお得な方法、と言えるかもしれません。

ただ、実際のところを言うと、鉄道を使うよりも高速バスで移動した方が安い、という事実もあります。平日で片道2200円、休日でも2500円で移動が可能。往復でも最大5000円。所要時間も3時間程度です

じゃあ鉄道で移動するのが無駄なのか、高速バス最強なのか、というとそうとも言えず、鉄道はきっぷ次第では途中下車が可能など自由度が高いですし、定時運行に最大の利点があります。高速バスは安いがゆえに車内混みますし、渋滞もそれなりにひどいです。

とは言え、安さはメリットなので、鉄道を使ってもう少し安く移動する方法を考えてみます。

「休日おでかけパス」「のんびりホリデーSuicaパス」を組み合わせたお得な移動

休日おでかけパス(きっぷ版): 2720円

実は私は今回は「休日おでかけパス」という切符で移動しています。関東近郊のエリアであれば1日の間になんどでも乗り放題の、お得な切符です。
範囲もかなり広く、西は小田原や大月、北は神保原(埼玉の最北部)や足利のあたりまで一枚のきっぷで乗り放題が可能です。

「休日おでかけパス」乗り放題エリア

エリア内を移動することだけ考えても、たとえば東京から神保原の間を普通に乗ると1520円かかります。普通に往復するよりこの「休日おでかけパス」を買って往復するだけですでに320円お得になります。
そしで、今回のように乗り放題の範囲をはみ出す場合でも、はみ出した先の差分だけを払えば乗車可能です。東京〜高崎の移動なら、神保原〜高崎の分の差分242円(往復なら484円)を追加で払うだけすみます。
東京〜高崎が1980円なので、エリアをはみ出してもなおお得になります。

エリアをはみ出す距離が長くなればなるほどお得感は薄れていきますが、横川駅くらいまでならお得のままでいられます。「休日おでかけパス」の範囲内であれば乗り降り自由のため、金額に表れないお得さもあります。

休日おでかけパスを使用した費用一覧(在来線+バス)

そして、このきっぷ版の「休日おでかけパス」は、特急券を追加で購入すれば新幹線にも乗車することが可能です。
察しが良い方はお気づきと思いますが、新幹線での移動に関しても、はみ出したエリアの分の費用のみ追加で払えば移動できる、ということです。
新幹線は本庄早稲田までがフリーエリアです。なので軽井沢に行く際は、本庄早稲田〜軽井沢の間の差分1170円(往復なら2340円)と、特急券を買えば移動可能、ということです。

休日おでかけパスを使用した費用一覧(新幹線)

新幹線の往復の際も、休日お出かけパスを使用すると多少の割引効果があります。
実際のところ200円程度なので、安くなることは安くなりますがこの程度の割引であれば新幹線を使う場合はえきねっとトクだ値の方が割引幅は大きいかもしれません。

私は行きは在来、帰りは新幹線という方法で移動しましたが、少なくとも新幹線で往復するよりは3480円安くなり、単純に普通の切符を買う方法よりも290円安くなっています。

そして、往復で在来線を使う時には他の割引施策があまりないためこの方法は有効です。駆使することで往復が5300円になり、高速バスの料金に肉薄することができます。
ただ安くなるだけでなく、今回の私のように「突然セコマに行きたくなって宮原駅で下車」みたいな自由な行動を取ることができるのもメリットです。

もちろん「青春18きっぷ」を使えば1日あたり2410円で普通車乗り放題なのでこれが圧倒的に安いのですが、青春18きっぷは時期が限定されていて、かつシーズンになるといつも在来線が激混みになるというデメリットもあります。
「休日おでかけパス」であれば通年の土日で有効なので、いつでも使えるというのがメリットでしょうか。

そして最後に、話がさらにややこしくなるのですが、Suica版の「休日おでかけパス」があります。名前は「のんびりホリデーSuicaパス」

紙の「休日おでかけパス」は2720円。Suicaの「のんびりホリデーSuicaパス」は2670円、と50円ほど安くなっています
その代わり、「のんびりホリデーSuicaパス」では、新幹線に乗車することはできません。それが差異になります。

「のんびりホリデーSuicaパス」の乗り放題エリア

「新幹線には絶対に乗らない」という風にあらかじめスケジュールが決まっているのであれば、「のんびりホリデーSuicaパス」を購入した方が若干ですが安くなります。
先の軽井沢の往復も、50円安くなり、5250円で実現できる、ということです。
モバイルSuicaでも購入できるので、直前に思いついた時に駅に向かう移動中に買ったりすることもできるのでそういう意味でも便利な切符になっています。

更に重ねるかのように分割乗車券のテクニックを導入したりなんかすると、まだまだ切符代を安くおさえる事ができます。
神保原〜横川の区間だと、高崎で下車した方が、乗り通すより安くすみます。今回私が高崎で下車した理由も、この辺にあります。
ICか切符かにより微妙に価格に差異が出ますが、往復分あわせてざっくり5210円程度まで安くすることができます。

神保原〜横川の分割乗車券。20円ほどお得  via. 分割.net

なかなかにしみったれた話にはなっていますが、いずれにせよ「休日おでかけパス」もしくは「のんびりホリデーSuicaパス」はとても便利な切符なので、鉄道旅行の際に頭の片隅においておくとお得に旅ができるかもしれません。

今回の私の真の諸経費

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