紅茶と、温かい心のぬくもりを|Episode1 君がいてくれないと・・
あなたが日々お仕事をしていく上で、大切にしていることはなんですか?
私は、その人がいてくれてどれだけ助かっているか、どれだけ必要としているのか、感謝の思いとともに自分の言葉できちんと、それを伝えることです。
きっかけとなったのは、当時、転職先で思うような結果が出せず、周囲に迷惑をかけてばかりで、ふさぎこみ、やりきれない気持ちで打ちひしがれていた時に手に取った書籍に書かれていた言葉でした。
「日本でいちばん大切にしたい会社」(坂本光司著/あさ出版)で一躍有名になり、渋沢栄一賞を受賞した日本理化学工業の経営者の大山泰弘会長(当時)。
「障碍者と共に歩む企業」として社員の約7割を占める知的障碍者の方と協働し、業界トップシェアを誇る会社です。
大山泰弘氏をはじめ、社員全員が大切にしている言葉は、大山氏が住職の方から教えていただいた以下の言葉だそうです。
さらに著者の小倉氏は、何度言い聞かせても突然会社を休む社員がいて、他の社員に大変迷惑をかけてしまっていたとしたら、あなたならどう対処するか?と問いかけます。
そして、実際に日本理化学工業であった、ある1つのエピソードを綴ります。
製造ラインの最後尾でできた製品を段ボールに梱包する仕事を任せられていた新入社員の斉藤さん(仮名)ですが、しょっちゅう欠勤するのでみんな困り果てていたそうです。
教育担当を務めていた先輩社員の真山さん(仮名)が「突然休まれるととても困るんだ」と、何度声がけをするも、斉藤さんの心には届かない様子。
悩んだ末、真山さんは、休んだ翌日に出勤した斉藤さんを、あえて持ち場の製造ラインから外します。
最後尾不在のまま次々コンベアに乗って押し寄せる製品。みるみる製品は積み上がり、しまいには床に崩れ落ちてしまいます。
慌てて持ち場に戻ろうとする斉藤さんを引き留めて、真山さんはこう語りかけます。
「君が来てくれないと、こんなに困るんだよ」
著者の小倉氏は、大山氏の言葉で続けます。
この一件から、斉藤さんは毎日休むことなく出社し、それこそ大変熱心に仕事に取り組むようになったそうです。
あなたの思う「やりがいのある仕事」とはどのようなお仕事でしょうか?
それは、「人の役に立てている、愛されている、必要とされている」と感じられ、自分の個性や得意なことを活かして、いきいき働けるような仕事ではないでしょうか?
斉藤さんも、「自分の仕事の意義が分からない」「いてもいなくても変わらない」そんな風に思い悩み、ただやり過ごすだけだったいつものモノトーンの作業風景が、真山さんの言葉で、どれほど彩り鮮やかに煌めいて見えたことでしょう。自分の存在意義を、確かに感じられたことでしょう。
繰り返す日常のはざまに埋もれがちですが、私も折にふれてこのエピソードを思い返して、
共に働く仲間や、仕事をいろんな形で支えてくれているステークホルダーの方々に、心からの感謝の言葉を、きちんと伝えられるようにしようと思います。
店主の私も、紅茶のECショップの他、ITコンサルタントの仕事に携わらせて頂いております。
IT運用現場での仕事からコンサルタントにジョブチェンジしてから1年半余り。
日々勉強で、失敗してはまた試行錯誤の繰り返しです。
頭脳明晰でスマートに仕事をこなし、温かい心遣いを忘れず、お客様から厚い信頼を寄せられている先輩コンサルタントの皆様と比較して、何度も落ち込みました。
そんな時は、先輩がくれたメッセージをいつもお守りにして、自分を元気づけています。
私もいつか、うまくいかないで落ち込んでいる同僚や後輩がいたら、
自分がかけてもらえて嬉しかった言葉と、「あなたにいてほしい」、というその思いを、余すことなく伝えよう。そう、思います。
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