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投機実行型人間

神奈川に住んでいる弟と実家で久しぶりに再会した。

いつもLINEで両親のことについてたくさんの会話をしているが、会うのは久しぶりだ。

弟はコンピュータのハード作りの仕事をしている。ハード面でウイルス対策を強化する開発をしているらしい。

「お姉ちゃんの行動を見てたら、コンピュータでいうと、投機実行型の性格してるってつくづく思ったわ、効率のいい生き方をしてる。」と言われた。

「俺はin order式(in orderというのは弟の作った造語らしい)で、順序正しくやらないと前に進まない性格してるから、時々効率悪いと思うことがある。」と。

褒め言葉か?けなされてるのか?笑と思ったが、弟の性格からして、非常にニュートラル(バイアスを挟まずに事実を話す性格)な人間なので、どっちでもなく、ただ私にそれが当てはまると思ったのだろう。

コンピュータでいう投機的実行とは、
「コンピュータの処理を高速化する手法の一つで、将来必要になるかもしれない処理を、(必要になると確定する前に)あらかじめ行って準備しておくこと」らしい。

「過去の履歴から、成立、不成立を予測して、その予測に基づいてその先の文の命令を実行していく。予測が正しければ、条件の成立、不成立が判明するまで待つよりも処理性能を高めることができる。」

これをパソコン用語でなくて、一般人の生活に当てはまると、
「過去の経験から、相手が何をするのか、これをしたら何が起こるのか予測して動く。予測が外れたら、その時点で考える。」のが私。

「人や物事の動きは自分で予測できないことが多く、何が起こるかわからないので、一つずつ結果を待って順序正しく動いて行く。」のが弟…という感じなのかな?  

家族というものは家族のカラーがある。それは自分たちでは気づかない。

弟に指摘されて、うちの家族は皆、投機実行型の性格をしているなと思った。

その最たるものが夫で、あまりにも先々動きすぎて、私から見るとかなりの時間と労力を無駄にしているように見える。

例えば、約束の時間より1時間早くそこに着いてないと落ち着かない性格で、家族一緒にどこかに行く時などは、朝早くから準備してみんなを待つ体制に入り、気が急くので嫌がられている。

セミナーも1時間前にはその場所にいる。

娘の県外の大学受験の時に、合格してもいないのに、早々と周辺マンションを調べ上げ、一人暮らしのマンションの契約をして、娘は浪人することになり、徒労に終わった。

今の生活より、自分の死後に家族が困らないように…ということばかり考えていて、その準備をしている笑

私と娘2人は夫の行動をずっとそばで見てきているので「何事にも加減がある」ということを学ばせてもらい、いい頃合いの投機型に収まっていると思う。
そういう意味で夫の存在は貴重だ。

今回、何日か弟と一緒に過ごして、in order型はin order型で、丁寧な生き方をしていて感心することがたくさんあった。

「一つずつ結果を待って順序正しく」

中でも、地元を離れたがらない、自宅を離れたがらない両親の気持ちをいつも最優先して先のことを考えている。

2人とも介助がないと生活できないので施設を探しているのだが、まずショートステイを何度か体験してもらって、慣れたら施設へ入ってもらうという順序を踏んで、粘り強くやってくれている。

認知症が進行して、新しい環境を受け入れにくくなっている母にも何度もきちんと説明して忍耐強く接してくれている。お陰で少しずつだが前に進んでいる。

投機実行型だと自分の考えで先々話を進めてしまいがちなところ(汗)

同じ両親から生まれても、40年も離れて別々の家庭で暮らしていると、昔私が思っていた弟の姿はそこにはなく、たくましくりっぱに成長したものだと感心することしきりである。(4才離れているから、私が小5の時、弟は小1だった。やんちゃなガキンチョのイメージ)

多分、カラーの違うお互いが久しぶりに一つ屋根の下で生活して、たくさんの気づきをもらい、それがまた自分の中にブレンドされていくのだろう。

人間を処理性能だけで区分することはできないが、コンピュータに例えられたのは初めてだったので、びっくりした笑

弟も私も子育てが終わり、親の介護をするステージに入っている。

40年ぶりにまた元の家族との交流が緊密になり、あの頃とは性格や生き方、価値観の違う各々と関わり、悩み苦しむ日々であるが、両親がある程度納得し、我々も安心できる日が来るように、一つずつ丁寧にやってくるものに対処していくしかない。

一緒に頑張ろうね、晃くん!













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