ブルガリアの古都ヴェリコ・タルノヴォへ(2)

2日目の朝は早めに起き出してヤントラ川沿いの渓谷を散歩した。緑が濃くて、遥か下の谷川の水の流れが冷涼な雰囲気を出しているような気がして、(本当はそうでもない。)何となくジョギングしたりしてみる。この先にも自治体や大学などがあるようで、散歩客や大学生などがちらほらと歩いている。西ヨーロッパからは距離が離れているけれども、何となくヨーロッパの市民という雰囲気というか概念を感じさせた。トルコ人だって同じだけれども、イスタンブールは人も多い上に

アルバナシの聖キリスト降誕教会(2024年4月、筆者)
プレオプラジェニエ主の変容教会(2024年4月、筆者)

ごちゃごちゃしすぎて何かこうヨーロッパ的な洗練された感じを感じにくいのだ。(トルコごめん。)

地図を眺めていたらアルバナシという集落の名前が目に入った。確か大学生の時に東欧複数か国のガイドブックを眺めていた時に見た覚えがある。タルノヴォからわずか10kmしか離れていないことが分かったので、早速向かってみることにした。アルバナシは旧市街のツァレヴェッツ要塞横の道を抜けて谷川を降りて、また上った先にある。市庁舎からツァレヴェッツ要塞までは東欧・ドイツ風のかわいらしい街並みが続いており、要塞の脇を過ぎると城塞脇の急坂を下ってヤントラ川の河原へと至る。この辺りには40聖人の教会など小さな教会や昔の橋が残っていて、古い時代の雰囲気を残している。

アルバナシの聖キリスト降誕教会(Church of the Nativity)の雰囲気はなかなか素晴らしかった。修道院の外観は私から言わせるとボスニア・ヘルツェゴヴィナのサラエヴォなどで見たイスラム教のテッケ(修道院)とも共通する様式なのだが、軒下にはキリスト教のシンボルである十字架があしらわれている。内部のフレスコ画も良い状態で保存されている上に、至近距離から見学することができる。残念ながら内部は写真撮影禁止だったので、東欧のキリスト教美術などに興味がある方は是非足を伸ばしてほしい。

アルバナシを後にすると、タルノヴォの北郊にある「プレオプラジェニエ主の変容教会」というとても哲学的な名前の教会に行ってみた。市内からE85線に入り、北側の幹線道路脇の森の中を入っていったところにあり、アクセスも悪くない。この教会も保存状態は比較的よく、宗教美術が好きな人には十分に楽しめるだろう。この教会からはタルノヴォの渓谷沿いの雄壮な景色を一望することができ、また管理人たちの生活感もあって山国の風情を楽しむことができる場所となっている。


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