本節の序文には、文明が進めば道徳が重要視され悲惨な戦争も起こらなくなるはず、との発言がある。しかし、このころ第一次世界大戦前のヨーロッパでどんぱちはなくならず、日本も日清戦争や日露戦争をおこなっていたころで、渋澤先生は平和主義を貫きながらも、少なからずこれらの戦争にまきこまれ、勝利に貢献したことも歴史の事実のようです。
かたや現代社会を見てみると、核戦争で人類滅亡することが子供でも理解している中で大国同士の戦争はさすがにおこなわれないでしょうが、科学文明が相当進んでいるように見えるけれど道徳が欠落した今日では先にも書いた全体主義が蔓延し、某国ではナチスによるユダヤ人虐殺を超える虐殺がいまだに実施されていて、世界はそれを見てみぬふりをしているように見えます。
渋澤先生が指摘する道徳の重要性はそのとおりだとしても、時代が変わって発生している問題が大きく変わってきている今日、道徳の重要性やなにがその欠落をうんでいるのかを、別の視点や新しいテクニックを使って考え直し、世に広めなければいけないなと思います。