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基礎知識Vol.1 反社会的勢力とは?

【はじめに】

反社チェックの基本として知っておかなければいけないのが反社チェックの対象である反社会的勢力とは何か?ということを知っておかなければなりません。

どんな組織・個人が反社会的勢力であるかということを知らなければ、反社チェックに漏れが生じるだけでなく、チェックの必要のない対象までチェックの対象としてしまい無駄が生じてしまいます。

【反社会的勢力とは?】

本文中において「政府指針」と略称させていただく、平成19年6月19日付 犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」の別紙「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」に明記された反社会的勢力の定義は以下のとおりです。

「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」とされており、その集団・個人の属性と行為により反社会的勢力の要件を定義しています。


【属性要件】による要件

政府指針や暴対法に定義づけられる以下に分類する属性を持つ集団・個人

〇暴力団

・暴対法に定める指定暴力団・指定暴力団の下部組織

 ・上記の構成員

〇暴力団関係企業

 ・暴力団が設立し、その経営に関与している企業

 ・暴力団の準構成員など暴力団と親交のある者が経営する企業

  暴力団への資金提供等、暴力団組織の維持運営に積極的に協力する企業

〇総会屋

 ・株式会社の株主としての権利行使を濫用し不当要求を行う個人・集団

〇社会運動標ぼうゴロ(エセ同和など)

 ・各種差別撤廃などの社会運動を装って不当要求を行う個人・集団

〇政治活動標ぼうゴロ(エセ右翼など)

 ・民族運動や政治活動を装って不当要求を行う個人・集団

〇特殊知能暴力集団等

 ・暴力団との関係を背景に、その威力を用い、又は暴力団と資金的なつな がりを有し、構造的な不正の中核となっている集団

【行為要件】による要件

行為要件の詳細について公的な見解は積極的に示されていない現状にありますが、前述した「属性」を有しないものの、その行為が反社会的勢力が行う行為と同等又は類似する集団・個人について行為要件に該当すると考えられます。

〇暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求をする集団・個人

 ・非指定暴力団

  暴対法に基づく公安委員会の指定要件を満たしていない団体・個人

 ・準暴力団(半グレ)

  暴走族の元構成員等を中心に、暴力的な不法行為を繰り返す集団・個人

  ・暴力団に類似した行為を行う集団・個人

【参考事項】

なお、属性に関係なく都道府県の暴排条例や業界団体の暴排条項に該当する者として以下の例が挙げられます。

  例1)東京都暴排条例

    ・暴対法第11条に基づく中止命令等を受けた日から3年以内

    ・暴力団員の共犯等として刑に処せられ刑の執行終了から5年以内

  例2)金融機関等の暴排条項

    暴力団離脱から5年以内(いわゆる5年ルール)


以上、反社会的勢力の定義について簡単にまとめてみましたが、反社会的勢力であるか否かを判断するには、過去の事件報道等で暴力団の構成員であることや、暴力団の共犯者等、暴力団との関係が明記されているデータベースがあれば容易に判断できますが、「行為要件」による判断は、反社会的勢力に関する知識や対応経験が無ければ容易に判断することは出来ません。

反社チェックには、政府指針等のガイドラインがあっても、その具体的な手法を示した公的な資料は無く、反社会的勢力であるか否かの判断は反社チェックを行い企業が自ら判断しなければいけないのが現状です。

反社チェックにおける反社会的勢力であるか否かの判断は、企業ごとに経営実態に応じたポリシーやメソッド、ロジックが必要となりますが…話が長くなるので詳細は機会を改めてお話ししたいと思います。

最後までお読みいただいて、ありがとうございます。

続く…

行為要件に関する解説を見る(一部有料コンテンツです。)




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