日本の放送百年百局　番外編３　「民間放送申請者一覧（1950.9）」

●民間放送申請者一覧（1950.9）

「朝日放送」
朝日新聞社／西村道太郎　一億五千万
東京１ＫＷ、大阪１ＫＷ

「ラジオ日本」
毎日放送／高橋竜太郎
東京１０ＫＷ（ラジオ東京に申請一本化して実現）

「新日本放送」
毎日新聞／大田垣士郎 七千万
大阪１０ＫＷ

「ラジオ九州」
毎日新聞／山脇正次 五千万　
福岡５ＫＷ
上記三局によるネットワーク「ＲＡＰＰＯＮ（ラッポン）」構想があった。

「讀賣放送」
読売新聞社／武藤三徳 一億　
東京１０ＫＷ

「国民教育放送協会」
日本教育新聞／仁科芳雄・大山恵佐 二億　
全国各地で申請。
仁科芳雄氏は日本ユネスコ協会理事長、大山恵佐氏は日本教育新聞社社長。
日本教育会（在・神田。のちの教育会館）を中心に全国の教育会を地盤とした推進を計画
学術講演、通信教育、ニュースなどを計画

「日本経済放送」
東証／土屋陽三郎 六千万　
東京５ＫＷ 短波（日本短波放送で実現）
当時証券界は不況であったため「株の大衆化」を唱える証券処理協議会の線でＧＨＱに働きかけた。
朝日、毎日、讀賣の民放計画に対抗すべく、日本経済新聞社がこれをバックアップした。

「新潟日報施設放送」
新潟日報／西村二郎 新潟１００Ｗ（短波放送）
中部日本放送 ''中部日本新聞''／伊藤二郎左右衛門 八千万
名古屋１０ＫＷ（実現）

「北陸文化放送」 

北国新聞／嵯峨保二　一千万
金沢５００Ｗ（実現）、富山５００Ｗ、福井５００Ｗ

「神戸放送」
神戸商工会議所・神戸新聞・神港新聞／宮崎彦一郎 三千万
神戸１ＫＷ（実現）

「大阪新聞施設無線放送」
大阪新聞／全徳信治 一千万
大阪１００Ｗ

「京都放送」
京都新聞／白石古京 三千万
京都５００Ｗ（実現）

「広島平和放送」
中国新聞／藤田定市 二千万
中国放送に申請一本化して実現

「西日本文化放送」
西日本新聞／松尾協 七百万　
福岡５００Ｗ

「河北放送(北日本商業放送)」
河北新報／菅野千代夫 三千万　
仙台１ＫＷ（ラジオ仙台として実現）

「北海道放送」
北海道新聞／阿部謙夫 千五百万
札幌１ＫＷ（実現）

「セントポール放送」 
聖パウロ会／澤田節蔵 一億八千万　のちの文化放送
東京（実現）、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、新潟、鹿児島、高知、長崎から１ＫＷ放送を計画
「聖パウロ会」はローマンカトリックの一派
当時の日本支部長パウロ・マルチェリーノ（後に申請上の必要から帰化し丸瀬利能）神父が協力に推進
国内外の信者の寄附で設立され、米国信者からの浄財でＲＣＡ新鋭機を無為替輸入という目論み。
実際には米国の古着市で集めた衣料を海外信者の寄附名目で輸入し、国内で販売して資金を調達した

「日本仏教放送局」
立花俊道 東京１０ＫＷ、京都１０ＫＷ
全国の諸宗派七万寺を通じて一億円の資金を調達し、花祭りの日に出願。
総代に大谷瑩潤氏（本願寺）、申請責任者立花氏は曹洞宗大学の教授。
世界仏教徒連盟総会（五月・於セイロン）の席上で応援決議もあった。

「日本キリスト教放送協会」
プロテスタント諸派合同／諫山修身 各地から１０ＫＷ　文化放送の項参照
宗教放送の免許は困難との見方から一般商業放送計画に資金・機材を提供する方針に。
米国ニューヨーク市のラジオ視聴覚教育大衆伝道委員会（ＲＡＶＡＣＯ）が援助を約束と伝えられた

「ラジオ東都」
友枝俊二 東京２ＫＷ
国鉄外郭団体による観光宣伝放送

「ラジオ大阪」
工藤寿男 三千万　大阪１ＫＷ
国鉄外郭団体による観光宣伝放送。日通、交通公社、交通協力会、全観光連、車輌メーカー等をバックに観光宣伝と娯楽放送を計画。発起人は元運輸次官平山孝氏

「姫路市営放送」
姫路市
石見元秀 三百万
姫路３００Ｗ

「須賀川放送」
須賀川町営／遠藤祥寺
須賀川町５０Ｗ

「市営西宮放送」
西宮市
辰馬卯一郎）五百万
西宮３００Ｗ

「東京放送」
旧称『民衆放送』案
電通／吉田秀雄 一億　
東京１０ＫＷ

「国民放送協会」
伊藤豊 資本金五千万　
全国で小電力放送網を計画

「常民生活科学協会」
（亀井貫一郎）二百万　
川越１０ＫＷ

「国際民間放送協会」
（高瀬芳郷）五百万円　
東京５００Ｗ
在日朝鮮人高成権氏が関わるが、朴烈氏がよびかけた放送計画とは無関係。

「セントラル放送」
日本広研／長谷川一男 二千三百万別
千葉県市川市１ＫＷ
日本広研は東京の広告塔放送（街頭有線放送）を手がけていた
住友系の支持者を持ち、日本橋三井本館地下に事務所、録音スタジオを完備。パイロットまで制作。
毎日新聞が「ラジオ日本」計画に着手した際に吸収された。

「全日本放送」
河端作兵衛・松前重義　
筑波山５ＫＷ（短波放送）
讀賣系との噂があった。
のちに松前氏による富士山を送信所とする教育専門超短波局構想、およびＦＭ東海実験局へと継承。
河端氏は電気パーツ製造会社河端製作所代表。

「東京ラジオステーション」

（村田為五郎・石山舎人）東京２５０Ｗ
村田氏はのちのＮＨＫ解説委員か
石山氏（Ｊ２ＭＶ）の近影　http://tatsujin.kitaku.net/tatsu-jin/024jyoden/
石山制作所　http://homepage2.nifty.com/1480ss/

「神奈川放送新聞社」
曾我英一 五千万
横浜５００Ｗ

「日本科学放送局」
誠文堂新光社／国米藤吉 三千万
東京５００Ｗ
国米氏は戦前、東京逓信局に勤務、電信係長などを歴任。
無免許局の厳しい取締りで知られ、「鬼監督」「空中警察署長」のあだ名もあった。
誠文堂新光社小川誠一氏らが支援。
科学技術講座、見学などの放送を計画

「日本放送」
日本野球連盟／中島久万吉 七千万
東京１０ＫＷ
日本野球連盟内に事務所を構え、野球およびスポーツ放送に重点を置くという計画。讀賣系との噂があった。

「科学放送局」
本山昇
東京５００Ｗ

「ラジオ時計」
藤井定夫 二千万
東京１０ＫＷ
周波数選択時間調整装置特許を使った時刻規正放送を計画

「京浜放送」

（工藤芳雄）六百万　
横浜５００Ｗ

「湘南放送」
（日下世喜子）
鎌倉１５Ｗ

「国際放送」
（若松勇三）三千万　
浦和１ＫＷ

「アソシエーテッド放送」

中谷英三 八百万　
東京１０ＫＷ

「日本テレビジョン協会」
坂本弘道 一億五千万　
東京５ＫＷ（テレビジョン）

「ヴォイス・オブ・トーキョー」
二木秀雄
東京１ＫＷ

「東京ラジオセンター」
遠藤次郎 三千万　
東京５００Ｗ

「中部新ヘルプ放送」
大島一義 五百万　
長野県松本市５００Ｗ

「名古屋広告放送」
電機商協同組合／渡辺利三郎
名古屋１００Ｗ

「福井放送」
大久保清
福井５００ｗ（実現）　福井放送の項参照

「京都無線放送」
観光日本社／和辻春樹 一千万　
京都５００Ｗ
和辻氏は大阪商船技師。
貨客船「あるぜんちな丸」(空母「海鷹」)、高速貨物船「九州丸」(ガ島に強行座礁)、他、多数船舶設計
1946(昭和21)年3月市会推薦で京都市長。大文字焼き復活。のちに公職追放される
参考資料　経歴　http://www007.upp.so-net.ne.jp/togo/human/wa/harukiwa.html
参考資料「和辻春樹／進水式」　http://www.aa.cyberhome.ne.jp/~museum/19440510tyouan/12tyan-sinsui.htm

「大阪放送」
大阪化工／佐竹毅
大阪５００Ｗ

「和歌山放送」
徳川頼貞 一千万　
和歌山１ＫＷ（実現）
徳川頼貞氏は紀州徳川家第16代当主。戦前まで侯爵。
参考資料「頼貞随想」　http://www.chohoji.or.jp/tokugawa/raitei.htm

「大和放送」
越智岩太郎 五百万　奈良１ＫＷ
越智氏は昭和三十年代奈良国立文化財研究所副会長

「新近江放送」
大津商工会議所・太湖汽船／岩崎定次郎 五百万　
大津１ＫＷ
岩崎氏は1951年大津ロータリークラブ会長

「新興公知放送」
浜田浅一 三百万　
山口県宇部市　１００Ｗ
浜田は宇部電鉄取締役。

「下関放送」
岡本勲治 五百万　
下関１５０Ｗ

「山陽放送」
三宅起夫 三百五十万　
岡山２５０Ｗ

「広島放送」
滝口淳平　中国放送に申請一本化して実現）七百万　広島１００Ｗ

「ラジオ広島」
堀川新登　中国放送に申請一本化して実現

「四国放送」
三宅為三郎 三百万　
高松１５０Ｗ

「四国放送」
三枝亀三郎 四百万　
徳島５００Ｗ
三枝氏は1953年11月5日いわゆる「徳島ラジオ商殺人事件」で殺された被害者。

「愛媛ラジオステーション」
津野田福太郎 二百万　
松山１００Ｗ

「高知放送」
栗毛結城 五百万　
高知１ＫＷ（実現）

「大牟田放送」
菰原寅太 百万　
福岡県大牟田市１００Ｗ
久留米放送
中原隆三郎 三百万　
福岡県久留米市５００Ｗ（のちに九州朝日放送として実現）

「筑豊宣伝放送」
坂口宣光 五百万　
福岡県飯塚市２００Ｗ
筑豊炭田に向けた気象通報と坑内向け慰安放送を計画

「長崎平和放送」
東都通信機工業／鶴川武 三千万　
長崎３ＫＷ（長崎放送として実現）

「米沢放送」
古瀬良栄

「東北放送」
相川省吾 千五百万　
仙台１００Ｗ（のちに東北放送に申請一本化して実現）
相川氏はのちに東北放送および系列会社の社長。
1947年日本アマチュア無線連盟東北支部初代支部長。J6DJ局、のちにＪＲ７ＪＭＩ局。
参考資料　http://www.icom.co.jp/beacon/ham_life/yama/009.html

「北日本実業」
唐牛敏世 一千万　
弘前５０Ｗ（のちに青森放送として実現）
リンゴ市況放送を看板とした
唐牛氏は弘前市の名士。弘前相互銀行社長。同行を「みちのく銀行」へ。
参考資料　http://mytown.asahi.com/aomori/news01.asp?c=13&kiji=8

「一関放送」
佐々木一郎 七百万　
一関５００Ｗ

「北海広告事業」
北畠良治 二百万　
札幌１００Ｗ

「旭川放送」
奥村公平
旭川５０Ｗ