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OTV(大阪テレビ放送)社員、出演者、関係者の遺した名言

『まぼろしの大阪テレビ』を執筆したときに集めた膨大な資料から、当時の人々の生き生きとした言葉を拾い集めて一つの章とした。以下はその『一部』である。

【OTV名言集】
「スタジオの中はライトでいっぱいです。やわらかな光、強い光、そしてシルエット。」
(岩崎宏・ジャズピアニスト/Album OTV)

「とにかく弾けば弾くだけそのまま反響が返ってきました」
(岩崎宏・ジャズピアニスト/Album OTV)
 
「カメラの都合で前後左右の動きを決められ、フライパンの動かし方、塩の入れ方にも気を遣い、その上に時間に追いかけられていたのではたまったものではない。マァいっぺん出てみなさいと、逆ネジを食らわしたいくれいの気持ちで一杯だったのがほんとうのところでした。」
(井上幸作・料理家/Album OTV)

「芸術家に芸術家らしい仕事をやらせてやろうという態度が、テレビ局やスポンサーに時として望まれてもよいのではないでしょうか。」
(武智鉄二・演出家/Album OTV)
 
「お蔭さんで、わしらみたいな貧乏人にも大相撲がみられます」
(火鉢と腰かけを持ち出して街頭テレビを視聴する老人)
 
「だいたい、私は、電気再生の音というのが嫌いだ。」
(黛敏郎・作曲家/Album OTV)
 
「テレビの音の扱いの無神経さは言語道断であって、殊にひどいのはコマーシャルの伴奏音楽、すり切れて針音の方が高いようなアセテイト盤を、臆面もなく毎日毎晩聞かせる始末だ。」
(黛敏郎・作曲家/Album OTV)
 
「ともかくテレビは一番神経がつかれます。映画や舞台の比ではないのです。」
(森光子・俳優/Album OTV)


 
「"徹夜の顔" これは『大阪の顔』のスタッフにつけられた異名ですが、ナイターに移る五月一日を最終回として、全二十一話にいたるシリーズドラマを完了するまでこの顔は洗われることなくつづけられました。」
(栗原茂一郎・演出部/Album OTV「"徹夜の顔"のころ」)
 
「大阪を知っているだけでは、大阪ものは書けない。洋は、いかに大阪を観察しているかという、作者・演出者自身の眼である。」
(長谷川幸延・劇作家/Album OTV)
 
「大阪テレビ全社員で琵琶湖畔へ清遊に出かけた。全社員と言っても十数名。湖水で泳いだ。今は全社員400余名。合併後は1,000名近くなる。これでは一緒に水泳は出来かねる。」(原清・編成局長/Album OTV)
 
「今年70になる母の便りに「いつもお前の音楽を聴いてから、テレビのスイッチを切ります」と書いてあった。」
(服部良一・作曲家。OTVの開始終了音楽は服部良一作曲だった/Album OTV)
 
「外人のセールスエンジニアがよく来たのもこの頃だ。通訳が技術者でない時は、技術的なことを紙と鉛筆を利用して話すことも多かった。」
(浜部孝三・技術部/Album OTV)
 
「『そんなモン置かれたらただでさえ狭いとこえおがよけいにせまなりまんが、無茶いいなはんな』という単純型から『道路交通取締法違反』というウルサ型まで、先輩局NTVやKRTから聞いていたスムースな話とはおよそかけはなれたことばかりで面喰ってしまった。」
(伊藤治・事業部 街頭テレビの設置について/Album OTV)
 
「『アイディアがかんじんだ』『何かいい企画はないかネ』と人の顔をみれば挨拶がわりにおっしゃるが、テレビという機能の本体を見きわめることが先決だ。」
(小谷正一・電通ラジオテレビ局)

「ラケット:失敗も多いけど、たいていうまいことごまかしてんなァ。しやけど、どないもならんのがある。 ダイマル:そんな時、どっちかさきにフキだしてもて、二人で笑うてもて、ごまかしてまうけど ラケット:いやいや、そんなんがかえって、一ばん、おもろいさかいなあ……。」
(中田ダイマル・ラケット/Album OTV)

「世界のあちらこちらで、わたくしたちが黄と呼ばれ、あなたたちが黒と呼ばれ、そしてどのように扱われてきたか………、それは、あなたたちのほうがもっとよく知っておられることと思います。会社が黄と黒を愛しているように、こんどの公演はあなたちとわたくしたちを強く強く結びつけました。こんなうれしいことは今までありませんでした。黄と黒とはこのようになる運命を持っていたのだと思います。もっともっと深いものをこの国に残してゆかれるのだ、と信じています。」
(小谷・総合企画室長/デスティネ舞踊集団へのあいさつ)


 
「いわば功成り終わった外人芸術家のために、物見遊山の記念碑を建てて差し上げるだけのような企てには疑問が感じられてならない。何かもっと生のものが欲しいのだが。」
(内村信義・事業部長/Album OTV)
 
「テレビのコマーシャルを見るのも、勉強ではなくて、二度とふれるなというタブーを見ているのである。」
(横山隆一・漫画家/Album OTV)
 
「今度の作品も、きっと僕を苦しめるだろう。もう現に苦しみつつある。」
(横山隆一・漫画家/Album OTV)
 
「5,6才ぐらいの子供のリクエストに答えてその豆ファンからの感謝の手紙を受け取った時は一切の悩みが解消したようなすがすがしさを覚えたものです。」
(斎藤超・ハモンド奏者/Album OTV)
 
「『雨でもやります。アドリブでいきます』テレシネに連絡して『レコードのH君。雨の中之島のBGMを大至急出してください』もう30秒前だ。橋の上のカメラマンが雨に打たれている川面のアップをカメラでとらえた。『よっしゃそれや、本番5秒前』」
(庄野至・毎日放送テレビ制作部/Album OTV)
 
「安くて、簡単にできて、おいしくて栄養のあるもの」
(「料理手帳」のモットー)」
 
「『結婚したら料理手帳を参考に毎日おいしいお料理を食べさせたい』というロマンチックな感想を送っていた御嬢さんから半年ぐらいたって『昨日のビールのおつまみもの、辛党の主人に大好評でした』と寄せられ、次には『妊産婦向きお栄養ある献立も放送してほしい』という手紙が来ることもあって、こんな時には、私たちの喜びもひとしお、またためいきもその倍くらいです。」
(土方暁子・事業部/Album OTV)
 
「とかく一方的になりがちなマスコミの世界で、視聴者とこんなに心かよわすことのできる番組をますます大切にしなければと感じます。」
(土方暁子・事業部/Album OTV)
 
「私たちは子供の頃、大人ぶって背伸びしていたことを考えると、私は子供におもねったものを子供に与えたくないのです。」
(小西武雄・プロデューサー/Album OTV)
 
「放送時間は3分だがクッションをとると中身は2分そこそこ、おれでゲーテを語り、ダヌンチョを説明しなければならない。これは大変なことである。」
(斎藤諭一・毎日放送事業部長/Album OTV)
  
「大阪へ行った時に、時々出演させて頂きました。このことにも問題があると思います。ついでにテレビ出演するということが大いに問題だと思うのです。そのテレビ一本のために、大阪へ行くというふうになるのが普通にならねばいけないと思います。」
(ダークダックス/Album OTV)
 
「予算は3,6万円で、貰った力士が喜び、郷土色豊かで、しかも宣伝効果のある賞品。無い知恵を絞った結果が、ご覧のような大瓢箪である。木製で、高さが1米60糎、最大胴回りは2米50糎、重量がなんと30貫。もっとも、これは瓢箪を請け合った業者の話で、私たちがちょっと担いでみたところでは50貫近くあったらしいが。」
(黒川龍二・事業部/Album OTV)
 
「数多い視聴者に未熟ながら音楽へのひたむきな私の努力と精進を聴いて貰うのだという気持ちによくも耐えてきたと思う。」
(岡田博・ジャズピアニスト/Album OTV)
 
「そこで作者やプロデューサー、ディレクターたちと数度にわたって相談し、孫悟空の誕生、つまり名もない石猿からはじめることにしたので悟空のスーパーマンぶりを期待した人にはいささか拍子抜けしたようだったが、誰もが知っている孫悟空になるまでの生い立ちに、悟空という化け物の持っている人間性(?)があるのだ。天上界では猿、猿といあれて、いじめられ、からかわれ仲間外れにされて、一人さびしく、やるせない生活から、怒りっぽくなるお人好しの悟空……そういう悟空を僕は愛しているのだ」
(榎本健一・喜劇俳優/Album OTV)
 
「なににしてもOTV開局の時の公園は、バンドの集まりといい、多彩な出演といい、すべて豪華の一言につきるもので、あのような豪華な買い物ブギをふたたび歌えることは永久にないと思います。
(笠置シヅ子・歌手/Album OTV)
 
「最後にちょとお尋ねしますが、グラマー風の女性が数字を持ち出して幾何の問題などを教えたら、これは娯楽番組になるのか、教養番組になるんか、どちらでしょうか?」
(渋谷天外・喜劇役者/Album OTV)
 
「テレビ放送にとっては、技術、演出、美術などのトラフィック(導線)計画の良否が、放送全体に大きな影響を及ぼすものだと強く印象づけられました。」
(越山鉄平・清水建設設計部)
 
「今でも印象に残っているのは、メーキャップ室が地下にある事です。これはたしか日本ではじめてだったと思います。設計上のスペースの問題からやむを得ずそうなったとしたら、これは大した僥倖というものです」
(三和完児・ボードビリアン/Album OTV)
 
「この広い海の水を手ですくい、みなこぼれ落ちてしまったあと、手にくっついているほんのわずかな水をなめてみた僕にとって、この世界は未開の土地ではあるが、これを開拓する意欲は十分にあり、またやるつもりです。」
(吉田豊明・赤胴鈴之助主役/album OTV)


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