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眼瞼下垂とTCH

最近、初めて知ったこと。
眼瞼下垂を治すと肩こりや頭痛が治るという説だ。

正確には腱膜性眼瞼下垂症というらしい。実は最近私の患者さんでこれを治す手術を受けてている人が多いのです。
そんな中、顎関節症は改善したが顔面の痙攣というかチックのような症状が抜けず気になっていた方がいた。

そんな彼が久々に来院すると、あれ?

顔が治っている。顎関節の調子も良い。
彼に聞くと、眼瞼下垂と診断され手術をしたら治ったそうだ。

調べてみると、たまたまうちの近くで開業された方が眼瞼下垂の権威的な形成外科医の方だったそうで、どうやら患者さんたちはそこで手術をしていたようだ。

なぜ頭痛や肩こりが治るのかという理屈を知りたくて、早速本を入手し呼んでみた。

めちゃくちゃ噛み砕くと、眼瞼は2種の筋で支えられている、しかし目を閉じたい開きたいという能動的な動きをする眼瞼挙筋は腱膜が剥がれやすい。
すると、それを補うために片割れのミュラー筋が筋緊張し、まぶたにあるセンサーを発動し続ける。結果、周囲の筋を動員し筋緊張させるため、あらゆる症状を出現するということらしい。

ミュラー筋に関して、ある解剖書には上・下眼板筋、交感神経支配の平滑筋とあった。

なるほど、と思った。
しかし、顎関節症サイドの見方(私的な)だとその先生の解釈は脳神経学的すぎて実感が沸かないし(参考文献もなかった。)、癖などの行動要因の比率が少なかったように感じた。

あくまで私の解釈だけれど、改善した彼は覚醒している限りミュラー筋を酷使するため交感神経が優位な状態が続いていた。また目を開けるために周囲の筋を緊張させ続けるため筋疲労が続いていたといことではないだろうか。
(そういった場合、夕方ごろになると筋疲労が蓄積するため痙攣に近い症状などが出てきたりしやすいはずだ。)

やはり、不定愁訴と言われがちな病態は多因子論で考えなければならない。
おそらく、彼がTCHコントロールと開口訓練による顎関節症治療を行っていなければ完治に近い状態にはならなかっただろうし、逆に眼瞼下垂を治療しなければ現在には至らなかったことは間違いない。

これだけは言えるのは、その症例は歯の欠損から始まったのだが、歯の咬合治療で治そうとしていたら大変なことになっていただろう、ということだ。

R2/11/25

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