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スマホアプリランキングから分析するモバイルゲームの将来性

技術の発展により最近ではほとんどの人は携帯電話ではなくスマートフォンを利用しています。ただ電話やメールなどの電話としての機能だけではなく、スマートフォンにインストールされているアプリケーションとして、カレンダー、YouTube、Gmail、など様々な機能を活用しています。このようなスマートフォンの活用方法の中で最も利用されているものの一つが「モバイルゲーム」です。

ポコポコ1

「パズルゲームポコパン
写真ソース:https://app.famitsu.com/20140903_433821/」

昔の携帯電話に多くあった「ポコパン」や「チェス」のような、単純なゲームやパズル形式のゲームではなく、最近は量産型ゲーム、アクション、RPGなど様々なジャンルのゲームがあり、BlizzardやRiotのような大規模なゲーム企業もモバイルゲームに多く投資して開発を行っています。また昔のモバイルゲームに比べ遥かに機能やグラフィックスが発展してきています。

このような状況の中、果たしてモバイルゲームはPCやコンソールゲームのようにゲームフラットフォームとしての機能を果たせるのか、分析していきたいと思います。

目次
◆データ取得と分析方法
◆全体の流れ
◆無料アプリ対有料アプリ
◆国別モバイルゲームの分析
◆まとめ


◆データ取得と分析方法

今回データ分析に使った方法は、PythonのScrapyを使ってWebクローリングを行いました。Scrapyは特定のウェブサイトにHtmlの経路を利用して自分が必要な情報を取得する方法として、今回の分析に適していると判断しました。

分析の対象は「https://applion.jp/」のウェブサイトからデータを取得し、集計しました。クロール方法はPythonのScrapyを使って4つの国(韓国、日本、中国、アメリカ)に対するアプリケーションの情報を取得しました。データは各国別iPhone、iPad、Androidに分けて携帯機種別無料アプリ、有料アプリ、それと売上のランキングからTop100のデータを取得しました。

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このようなランキングから、アプリのタイトルとそのアプリのジャンル、例えば「YouTube」だったらジャンルが「写真/ビデオ」になります。

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それ以外にもスマートフォンの機種、国、ジャンルやランキングの内容をGoogle SpreadSheetに入れてフィルターでの絞り込みを利用して分析しました。

◆全体の流れ

今回はApplion(アプリランキングウェブサイト)から取得した国家別のスマートフォンのアプリに対してTop100の調査と分析を行いました。調査の対象は日本、中国、韓国、アメリカの4か国で、携帯電話の機種(Android、iPhone、iPad)とアプリのタイプ(無料、有料、売上)に分けました。

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上記のグラフは、ゲームアプリ全体(計3500件)のジャンル別の集計値になります。そのうちのTop3はすべてゲームが占有していることがわかります。ロールプレイングゲームが合計360件で1位、次がアクションゲームで244個で2位、次いでストラテジーゲームが218件で3位となりました。このように最近のスマートフォンは電話としての役割もこなしていますが、それと同時にゲームコンソールとしての役割も無視できないほど多い部分を占有していることがわかります。

では、より細かい分析に移ります。

ゲームアプリ:ゲーム以外アプリ (1)

ほぼ半分以上がゲームであることがわかります。

◆無料アプリ対有料アプリ

この分析の前に、いくつのかの予測や仮説を立てました。やはり有料アプリの方がゲーム数が多いこと、そして売上の上位は有料アプリが占有しているという仮説です。

有料アプリ (1)

無料アプリ (1)

上記の二つのグラフは、それぞれ有料アプリと無料アプリのゲーム割合を示しています。最初の仮説通り、無料アプリはゲームよりゲーム以外のアプリ圧倒的に数が多くなりました。大半はYouTube、MXplayerなどのビデオプレーヤやInstagram、FacebookなどのSNSアプリでした。有料アプリは僅差ですが、最初の仮説通り、ゲームのアプリが多くなりました。次に2つ目の仮説である売上ランキングでは、有料アプリが上位ランキングにあるという仮説でしたが、意外な結果が出ました。

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このスクリーンショット、日本のアンドロイド売上ランキングです。ご覧の通り、売上ランキングのトップは大半が無料アプリでした。他の国の売上ランキングやスマートフォンの機種の売上を見ても、無料アプリがトップに多くありました。アプリが売上を立てる方法としては、広告(CPM、CPA)、インゲーム決済、部分有料化などがありました。

◆国別モバイルゲームの分析

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写真ソース:https://www.redbull.com/kr-ko/genshin-impact

次の分析では、国別のアプリケーションダウンロード数の調査を行いました。この国別の調査では、前述前の無料アプリと有料アプリの調査と同様、一つの仮説を立てました。個人的な見解としては、日本のゲームマーケットは、特にNintendoSwitchのようにモバイルやポータブルゲームが本当に強く、同じく中国も最近「Genshin」のような量産型ゲームを多くリリースしており、この2つの国ダウンロード回数も多くなると予想しました。

国別ゲームアプリ (1)

国別ゲーム以外アプリ (1)

この二つのグラフはそれぞれ日本、中国、韓国、アメリカのアプリダウンロードランキングを分析したグラフです。ご覧の通り、ゲームとゲーム以外のアプリのダウンロードに大きな差はありませんでした。ですが、仮説と大きな違いがあった点としては、中国はゲームダウンロード回数よりゲーム以外のダウンロードが多かったこと、アメリカがゲームダウンロード数が一番多かったということです。

中国の場合はゲームよりはInstagram、TiktokなどのSNSアプリや他のエンターテイメントの方ががむしろより人気があることがわかりました。それ以外に、韓国や日本はゲームとゲーム以外のアプリケーションのダウンロード数がバランスをとっていることが分かりました。

◆まとめ

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LeagueOfLegendのモバイル版ワイルドリフト
写真ソース:https://www.4gamer.net/games/482/G048230/20200530008/

分析した結果を見ると、4つの国に共通して見られた点がありました。それは、スマホの機種別、アプリのタイプ別のTop100のアプリの半分近くはゲームだった点です。最近のモバイルゲームはただの暇つぶしではなく、強大なゲーム産業として発展しており、これからさらなる発展を遂げるだろうと推測します。現在主流のPCやコンソールゲームも接続先のサーバーは異なりますが、モバイルゲームに登場してきていますし(例えばLeagueOfLegendのモバイル版であるワイルドリフトやモバイルPUBGなど)、いくつかのゲームでは同じ接続先のサーバを共有するゲームもあります(Blizzardのハースストンなど)。

現代の多忙な毎日で、時間を取ってゆっくりゲームを楽しむことは簡単ではありません。NintendoSwitchなどポータブルゲームコンソールではなく、PlayStationやPCなどのゲームでは、設置やセッテイングに手間や時間がかかり、そこからさらに1~2時間プレイするのは難しいと思います。さらに、最近出るゲームは本当に良いグラフィックや機能がある分、値段も比例して高くなり、今回発売したCyberPunk2077やMonsterHunterなどは7000円前後で販売されています。

もちろん今の状態ではまだモバイルゲームはうまく最適化できていないところもあり、スマホの機種によっては様々なエラーや限界もあります。とはいえ、まだPCやコンソールゲームには劣りますが、技術はさらに発展し、より性能の高いスマホも出てくるでしょう。技術進化を重ねた結果、PCやコンソールゲームにも近いクオリティー、安いゲーム、PCやコンソールのユーザーとも遊べる共有サーバなどが実現することで、モバイルゲームの業界もさらに成長し、他のゲーム業界と同様、多くの需要を背景として発展していくものと予想します。

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