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5年分の求人ビッグデータから読み解く プログラミング言語トレンド【2021年版】

株式会社フロッグでは、2014年以降、日本中の求人情報(総計20億件以上)を収集蓄積しており、毎年「プログラミング言語」にフォーカスした給与ランキングを発表しています。(昨年2020年のランキングはこちら

今回は、株式会社フロッグが蓄積する求人データと、株式会社ゴーリストのビッグデータ活用サービス「datist」のデータ集約分析プログラムを使って、2016年~2020年のプログラミング言語に関わる求人データを集計して、ここ5年間でのプログラミング言語のトレンドの移り変わりを分析していきたいと思います!

◆集計対象のデータと分析方法

今回分析対象としたデータと分析方法は、以下となります。

【対象データ】
対象媒体:
doda、Find Job、Green、type、エン転職、マイナビ転職、リクナビNEXT
(50音順)
調査対象日:
毎年(2016年~2020年)11月の第一月曜日時点での媒体掲載求人
給与金額の算定方式:
年俸表記を優先して採用、月給表記のみの場合は14倍して理論年俸に換算、範囲表記されている場合は上限と下限の平均を算出
【集計方法】
プログラミング言語15言語(C#,C++,COBOL,C言語,Java,JavaScript,Objective-C,Perl,PHP,Python,Ruby,Scala,Swift,TypeScript,VisualBasic)を対象に、原稿の仕事内容、応募条件の項目内に各プログラミング言語の表記が含まれる求人データを集計、分析。
1つの求人に複数言語が含まれる場合は、それぞれ1件としてカウント。

それでは、早速分析してみたいと思います。

今回の分析では、

・求人件数の推移
・1求人あたりの言語数の推移
・言語別求人数の推移
・言語別給与金額の推移

という流れで進めてみたいと思います。

◆プログラミング言語を含む求人件数の推移 
~プログラマー求人数はコロナ禍でも順調に増加!

今回対象となる全ての職種の求人件数と、各プログラミング言語を含むプログラマーの求人件数を表したグラフが下記になります。

全体求人数

(こちらの分析のみ、求人内容に複数言語が記載されていても1求人1件として集計)

グラフから分かる通り、全求人数は、2016年から2019年にかけて順調に増加していましたが、コロナ禍の発生した2020年は、前年比10%ほどの落ち込みとなりました。
一方、プログラマーの求人数は、コロナ禍にもかかわらず10%近い上昇となり、前年と比較すると緩やかではあるものの、2020年も増加しました。
プログラマー職のリモートワークとの相性の良さや、コロナ禍においてもシステム投資は順調であったこと(参考:https://enterprisezine.jp/news/detail/13601)、他にコロナ禍においても増加傾向にある職種は営業職などがあり、企業の業績見通しの悪化を背景として、即戦力となる職種の求人が増えた状況が想定されます。

◆1求人あたりに記載される言語数 
~”言語数”の増加から読み取れる、開発言語の多様化

今回、言語ごとの求人がどのように増えているのかを分析する中で、1求人の募集要項内に記載されている「言語数」の集計を行ってみました。

例えば、仕事内容や応募条件内に「Java」のみが記載されている場合は「1言語」、「Java/Python/Scala」などと記載されている場合は「3言語」として集計

言語数

この結果を見てみたところ、2016年から2020年の5年間で、1求人あたりに記載される言語数が4倍近くになるなど、大きく増えていることが分かりました。

この背景として、システム開発に利用される言語が、この5年間で大きく増えたきたことが伺えます。

2016年時点ではまだ利用が限定的だったPythonやTypeScript、Swiftといった新しい言語は、人気が高まり、この5年で定着して一般化してきました。

一方、既存システムの改修や保守という点から、それらシステムで利用される旧来の言語も引き続き需要を維持しています。

また、マイクロサービスアーキテクチャと呼ばれるような、小さなシステムを複数組み合わせて大きなシステムを実現するような開発手法が広がってきたことで、1つのシステムで複数の言語が同時に利用されるケースが多くなりました。

こうしたことを背景に、1つの求人で複数の言語が指定されるケースが大幅に増えてきたと想定されます。

また、プログラマー側としても、「フルスタックエンジニア」に代表される、広い範囲で開発対応ができるエンジニアの人気が高まっており、1人のプログラマが複数言語を扱えることが珍しくない状況になってきています。

◆言語別求人数の推移 
~新しい言語の求人増加が如実に

5年間のプログラミング言語別の求人件数推移を以下の表とグラフにまとめてみました。

言語求人数

言語求人数グラフ

まず求人数という点では、5年間変わらずJavaの件数が1位です。

Javaは企業向けや官公庁向けのいわゆるエンタープライズシステムでの利用が非常に多く、それらシステムでの利用が一般的なC#、VisialBasic、COBOLなどの堅調ぶりから、マーケットの大きさを物語っています。

一方求人数の増加率という点では、PythonやTypeScript、Swiftといった言語の成長度合いが極めて高くなっています。
2016年あたりはこれら新しい言語の黎明期でもあったためその段階での求人数が少なかったことが背景ですが、ここ1年の成長率でも高い数値となっており、これら新しい言語の定着と拡大に伴い、引き続きの成長が予想されます。

また、Perl、Objective-C、PHP などの言語は他の言語に比べると増加率が低くなっていますが、これら言語はシステムのライフサイクルが比較的早いWeb系システムやスマホアプリで主に利用される言語であり、システムの新規開発に伴って新言語への置き換えが発生し、言語の移り変わりが発していることが伺えます。

◆言語別給与金額の推移 
~新言語のエンジニア需給ギャップは解消傾向

5年間のプログラミング言語別の求人給与金額の推移を以下の表とグラフにまとめてみました。

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給与金額グラフ

給与金額の高い言語は、「新しい言語」「Web系の言語」が上位を占めているのが分かります。2016年の時ほどの金額差は縮まりつつありますが、エンジニアに人気の言語ほど高給である傾向は、この数値からも裏付けられそうです。

給与金額の増加率に着目すると、言語全体傾向としては、求人件数の増加に比べて、給与金額の大きな増加は見られず、安定傾向にあります。

ただ、そもそも全職種の傾向としては給与金額はこの5年間で微減傾向にあり、その中でプログラマー職では増加傾向にあるのは、プログラマー不足の需給ギャップを現わしているといえそうです。

意外なことに、5年間で給与金額が比較的大きく増加した言語は、COBOL、VB、C言語など、既存システムで利用度が高い比較的古い言語です。

企業や官公庁向けの既存システム保守の需要が高止まる中、それらの開発/保守で使われるCOBOLやVBなどの古い世代の言語は若手のエンジニアの人気が低く、安定している需要に対してエンジニア数や志望数の減少している状況が伺えます。

一方で、TypeScript、Python、Scala、Swiftなどの新しい言語は若手エンジニアに高い人気があり、それら言語が広がり始めた2016年頃は開発者が少なく給与金額が非常に高い状況であったものが、この5年間でエンジニア数が大きく増加し、5年前に比べると需給状況が安定してきた状況が伺えます。

これらの新言語は技術的にも成熟して新規システム開発での利用もより拡大しており、今後も引き続き順調な求人状況を維持していきそうです。

◆まとめ


ここまで見てきたように、5年間のプログラミング言語求人データの移り変わりを分析してみると、その背景の技術トレンドの変化を数値的な裏付けを持って読み取ることができました。

今回は、言語別に求人件数と給与を分析する比較的簡易な集計分析ではありましたが、プログラミング言語以外にも、Git や Docker、Slackといった開発関連のサービス、リモートワークや福利厚生などの働き方のスタイルを読み取っていっても面白い結果が得られそうです。

時系列での求人データを集計分析し、それら求人データ含まれる文章を自然言語解析やキーワード分析することで、得られることはまだまだ沢山ありそうです。

ゴーリストは、クローリング技術を用いたデータの収集や、AI技術によるデータの正規化、データの可視化、までビッグデータの活用における一連のシステム構築と運用を得意としています。

大規模データの調査や分析のご要望、データ収集システムを開発したい際は、ビッグデータ活用サービス「datist」にお気軽にご相談頂ければ幸いです!


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