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データマネジメント2022 その5 データドリブン経営を加速させるデータマネジメント組織構築から得た学びと知見

データマネジメント2022 ~データを制するものがDXを制す!~

2022年3月10日(木)に年に一度の「JDMCカンファレンス データマネジメント2022 ~データを制するものがDXを制す!~」があり、視聴したのでレポートを書きます。

JDMCさんがアーカイブを公開してくれているので、見た順番にコツコツ書いていこうと思います。

開催概要は以下JDMCのデータマネージメント2022の公式サイトにて確認ください。
https://seminar-reg.jp/jdmc/dm2022/

データマネジメント セミナーレポート

データマネジメント関連のセミナーに興味ある人はこちらからどうぞ。

データドリブン経営を加速させるデータマネジメント組織構築から得た学びと知見

ヤマトグループは2020年1月に経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定し、基本戦略の1つとしてデータドリブン経営を掲げました。以来、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを通じた物流オペレーションの効率化や標準化に加え、データ分析に基づく業務量の予測や経営資源の適正配置、迅速な意思決定の実現などを目指して改革を進めています。
しかしグループ全体に及ぶ改革だけに、単にデータ分析人材を育成・採用したり、AIを活用したりといった取り組みではうまくいきません。戦略、組織、人材育成などをうまく調和させながら推進する必要があります。これらについて本講演では、実践から得られた学びや知見などをお話します。さらになくてはならない機能であるデータの整備やガバナンスを担うデータマネジメント機能について、詳しく解説します。

データマネジメント2022より

発表者

ヤマト運輸株式会社 執行役員 デジタル機能本部 デジタルデータ戦略担当 中林 紀彦 氏

概要

ヤマトが取り組んでいること

1976年から宅急便を始めており、現在まで右肩上がりに取扱個数は増えていっている。最近はECに関する荷物が増えてきた。

それらの物流には物理的な接点と物理的なリソースがある。
会員数は個人のクロネコメンバーズが5000万人、法人のヤマトビジネスメンバーズが130万人。
運ぶための拠点は取扱店舗は184000店、社員は224000人、車両は57000台、営業所は3600拠点。
昔からのリソースを改善しながら増える取扱個数に耐えてきた。

このままでは今後の物流に耐えきれないという危機感から、次の100年に向けた戦略を策定した。

3つの基本戦略

次の100年に向けた構造改革。

CX:お客様の社会ニーズに正面から向き合う組織へと再編
DX:経験や労働力に依存した経営からデータに基づいたデジタル起点の経営に転換
Innovation:共創と競業により物流のエコシステムを創出する企業へと進化

3つの事業構造改革

  • 宅急便のDX

ドライバーの裏のシステムにAIを活用して効率化を図っていく。物理的なリソースについても統合・再編を行い効率化を行っている。
UXという観点でもLINE公式アカウントを使って受け取り体験を良くしていく。

  • ECエコシステムの確立

事業者、運び手、生活者の3者がWin-Win-Winの関係を築く。
EAZYというサービスでは生活導線上で受け取れるようなサービスを行っている。

  • 法人向け物流事業の強化

機能ごとに事業会社を作っていたところを、大きく体制を見直して主要事業会社を1社に統合して機動的に対応できるようにした。

3つの基盤構造改革

  • グループ経営体制の刷新

グループ経営体制を主要な事業会社を統合して、ヤマト運輸の下に紐づけた「One YAMATO」という中は全く違う形にした

  • データ・ドリブン経営への転換

デジタル分野に1000億投資&人員を300人規模のデジタル組織。5つのデータ戦略を実施している。デジタルツインの環境を構築しシミュレーションできるようにしている。
・データドリブン経営の基盤となる需要予測の精緻化と、意思決定の迅速化
・アカウントマネジメント強化に向けた顧客データの完全な統合
・流動のリアルタイム把握によるサービスレベルの向上
・稼働の見える化、原価の見える化によるリソース配置の最適化・高度化
・最先端のテクノロジーを取り入れたデジタルプラットフォームYDP(YAMATO DIGITAL PLATFORM)の構築と基幹システムの刷新に着手

  • サステナビリティの取り組み「環境と社会を組み込んだ経営」

社会インフラの一員として「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」という取り組みを行っている。

「One ヤマト2023」9つの重点施策

次の100年に向けた2023年に行うべき重点施策を9つ定めて進めている。

  1. データ分析に基づく経営資源の最適配置

  2. グループインフラの強靭化

  3. サプライチェーンをトータルに支援するビジネスパートナーへの進化

  4. ECエコシステムの最適解の送出

  5. 資本効率の向上

  6. 運創業をささえる人事戦略の推進

  7. 経営体制の刷新とガバナンスの強化

  8. データ戦略、イノベーション戦略の推進

  9. サステナブル経営の強化

実現するために何が必要か

成功するための5つの視点。

  • 経営戦略の中で「DX」が議論されているか

データドリブンやデータサイエンスというのは手段であり目的ではない。
手段を目的化しがちなので、戦略策定時には気を付ける必要がある。戦略から方法に落とし込んでいく。
データは4つ目の経営資源だが、どのようにP/LやB/Sにどう貢献するのかという点を踏まえる必要がある

  • 必要な組織や人材配置ができているか

戦略を作って実行するときに、組織と人材配置はテーマとなってくる。
権限と予算をもった組織であるべき。

その様な組織を社内に持つのか、社外に持つのかというのはよくある疑問だが、非連続な変革を行うときは距離を置いた場所、連続的な変革を行うときは経営の直下に置くべき。

データドリブンを推進するためには4階建ての組織が必要。
・データサイエンス推進機能
・データ活用CoE機能
・データマネジメント機能
・デジタルプラットフォーム機能

集中機能と分散機能をとらえる。飲食店の場合はセントラルキッチンは集中機能であり、店舗は分散機能。

  • アーキテクチャを描いているか

以下の観点でアーキテクチャを描いていく必要がある。

スパゲッティ → 設計図を作って実装する
オンプレファースト → クラウドファースト
レガシーシステム → 再構築
ベンダー依存 → 内製化
KKDの判断 → AIの組み込むとMLOpsの運用

  • 必要な基礎教育を理解できているか

基礎教育を持つ新卒の学生だったり、中途であったりで人員を確保する。

必要な基礎教育とは
・数学とプログラミング
・論文でMLを使っている
・学び続けることができる

学生のスキルがどんどん向上しており、何もしないと新卒のほうがスキルが高い逆転現象が起きている。卒論でDeep Learningを使っているレベル。給与のバランスとスキルのバランスが重要になってくる。

  • 事業会社で戦略になる人材を育てるためには

ビジネスを理解してデータサイエンスを理解する人材と、できたアルゴリズムをシステムの中に組み込める人材が必要。

・基礎的なスキルを持つ人材を採用する
・ドメイン知識を持ってもらう
・分析で終わるのではなく、サービスに実装できるようになってもらう

そういったことを進めて、経営陣含めて全社員がデジタルに強くなる、事業に効果を出せる人材育成を進めている。

ヤマトのデータマネジメント

データドリブンで一番重要なデータマネジメント。

データマネジメントチームは「ガバナンスのきいたセルフサービスデータ活用の実現」をミッションとしている。
目指す姿は「グループ全体が経営から現場までシームレスにつながった状態で各アクションに対してデータで意思決定が行われている」状態になる。

データは活用するまでの準備に8割の時間が割かれている状態だった、データコンシェルジュという役割を作り、その人が社内ビジネスユーザーとデータサイエンティストの橋渡しをしている。

1年目にやったこと
・データコンシェルジュ体制整備
・ルール・マニュアル整備
・データカタログ整備

2年目にやったこと
・使いやすいデータやナレッジ・全体像の整備
・セキュリティ・ガバナンス態勢の整備
・一歩先のデータ活用を提案できる人材育成

DMBOKを参考に注力する10の活動を軸に進めている。
・データコンシェルジュ
・データナレッジ
・データガバナンス
・データセキュリティ
・リーガル
・データモデル
・データ品質
・データ基礎
・データパイプライン
・人材

データドリブンを行おうにもデータマネジメントができていないと達成は不可能なのでかなりのリソースを割いてデータマネジメントに取り組んでいる。

感想

話がすごい面白かったのだけど、説明の順番が経営戦略、DX戦略、データマネジメント戦略という順番でちゃんとカスケードダウンされる形で戦略が定められており、理想の形だと思う。

このスピーカーの人がかなりのやり手のような気がしていて、事業会社というでかい単位の戦略と実行ができる手放してはいけないような重要人物なのではないかと講演の内容を聞いて感じた。

経営戦略の話では、ヤマトという老舗の企業が正しく危機感を持ち、次の100年に向けた戦略を考えているというのは経営陣が現状を由としていないという事なので、経営陣が危機感をいだいてしかも実行しているというのが企業としてかなりの強みになっている。

話の中心に人材育成がテーマとして掲げられていて、ここも非常に評価できる。今までの定型業務ではこの先生きていけないのだという明確なメッセージが社員に示されており、例えば現状のままであれば給料が下がっていくという事、または新卒のほうが給料が高いこともあり得るという事で勉強に対する危機感を持つことができる。

データマネジメントもデータマネジメントの必要性に気が付いている人がスポンサーにいる事がかなりの強みで、普通の経営陣はデータはさっさと出せるものでありデータマネジメントに魅力を感じないものだが、ここにリソースが割けるようなコミットが得られているというのはかなりの強み。

最後はデータサイエンスという分野は成熟してきており、新卒のほうが優れているというのは間違いない事実なので、データ戦略やデータマネジメントといったまだまだ成熟していない分野で頑張ろうと思った。

おわりに

自分の知識をまとめるためと今後誰かがデータマネジメントをやってみたいと思った時のきっかけとなるためにnoteを書くことにしました。

モチベーションのために役にたったという人はぜひ、フォロー&スキをお願いします。

ツイッターでもデータマネジメントに係る情報をつぶやいてますので、よろしくお願いします。

データマネジメントを学ぶ人が抑えておきたい本

DXを成功に導くデータマネジメント

DXを成し遂げるために必要なデータをどうマネジメントしていけばよいかが書かれている。
データ環境より、セキュリティの観点であったり、プライバシーの観点であったりといった非技術者向けの内容が多く書かれている。
データマネージメントに興味を持った人はまずは読んでみるとデータマネジメントでなすべき概要が理解できる。

実践的データ基盤への処方箋

データ利活用を行うために必要なデータ基盤の考え方と、利活用するためにはデータをどのようにマネジメントしていけば良いかを具体的な例を用いて説明されている。
技術が中心になるので現在データ技術に係る人がデータマネージメントに興味を持った時には、まず手に取ることをおすすめする。

個人データ戦略活用 ステップでわかる改正個人情報保護法実務ガイドブック

個人情報保護法を順守するための基本的な考え方が実務ベースで書かれている。2022年4月に施工される改正個人情報保護法で新たに追加される概念も同様に記載されている。
政府の出しているガイドラインよりも俯瞰的に読めるためデータプライバシーにかかわる人、データを使ったビジネスを推進する人は読んでおくとスムーズに業務が進められる。

データマネジメント知識体系ガイド(DMBOK)

自分も要約・解説記事を書いているDMBOK。データマネジメントに興味を持った人がまず手に取ると挫折することは間違いないほどのボリュームがある。
読めば読むほど味が出てくるので、データマネジメントを進めようとしている人は各家庭に1冊は是非買っておきたい。

データマネジメントが30分でわかる本

本の著者もDMBOKを読むためには非常にボリュームが多く読み解くには苦労するので、かみ砕いた解説書をまとめたと書いてある通り、DMBOKを独自解釈してわかりやすく書かれている。
DMBOKを技術者目線で読み解いた内容になっているので、実践的データ基盤への処方箋と同様データ技術に係る人におすすめする。

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