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地域通貨の可能性とは? -北海道で新しい決済システム展開の挑戦- vol.001

皆さんこんにちは!DataGatewayの大角です。

今後、noteでは我々DataGatewayが取り組んでいる様々な事業の裏側を発信していきますが、今回は北海道を舞台とした「ブロックチェーンを用いた決済システム導入」について皆さんとシェアしたいと思います。

近年、暗号通貨の誕生や電子決済システムの普及により、新たなお金の流れや信用価値の創造など、決済に関する新たなトレンドが騒がれていますが、我々DataGatewayも現在、ブロックチェーンとデジタルアイデンティを用いた新たな決済システムの導入に挑戦しています。

サツドラHD、ブロックチェーン技術を使った決済システムを実証実験

この事業が公式に世に発表になったのは2020年9月でした。我々DataGatewayと北海道の最大手ドラッグチェーン サツドラホールディングス(HD)が連携し、北海道でブロックチェーン技術を使った決済システムの実証実験をスタートしたという内容です。

今回は1回目なので、この決済システム内で使われる通貨=地域通貨に関して「そもそも地域通貨とは何?」という話を皆さんにお伝えしたいと思います。

地域通貨とは?

地域通貨の概念として一般的には「地域の活性を目的とし、ある地域限定で発行された、決済手段に利用される通貨のこと」と解説されます。皆さんが一番イメージしやすいものは、1999年に発行された地域振興券かと思います。当時、子育て支援や高齢者の経済的負担軽減を通じて消費を促すため、15歳以下の子供がいる世帯主と、65歳以上の高齢者の一部に配布されました。この地域振興券は登録されている地元の店舗を中心に使用されました。今回のプロジェクトでは、新しい技術を活用することでより本質的に「北海道地域の通貨の流通」を目指しています。

なぜ地域通貨が注目されているの?

地域通貨の一つのメリットとして「地域にお金が使われやすい仕組みを作れる」ことが大きなメリットとして挙げられます。元々多くの地域通貨は「地域活性化」を目的とし作られていますが、その理由の一つは、この地域通貨の流通により「地域にお金が落ち、外部への流出を防ぐことができる」という点が挙げられます。
それに加え、我々はブロックチェーン技術を活用した地域通貨(コミュニティコイン)とすることで、通貨自体にルールや機能を持たせることで、「地域の内需を促進し、かつ地域外からの資金流入を後押しする」ことを目的としています。

従前から地域通貨には、独自の還元制度やルールを設ける試みがありました。地方サービスと連携し、地域通貨を利用してくれた方には一定数のポイントが還元されたり、商品がプレゼントされることで、消費者側の通貨を利用するメリットが明確になります。

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北海道地域共通ポイントカード「EZOCA」と地域のスポーツチームのコラボ事例

通貨の概念は本来「貯蓄することができる」ものですが、経済学者のシルビオ・ゲゼルが考案した自由貨幣のように「時間が経つと価値が減る」ルールを追加すれば、消費者は一定期間内に地域通貨を使い切る動機が強くなり、それによる地域通貨の流通を促すことでデフレを防ぐとともに消費を活性化するなどの効果を付与することが可能となります。

近年では暗号資産の特性を使って海外からの投資を促進できるような仕組みであるS T O(セキュリティトークンオファリング)等も徐々に法整備が進んでいます。

北海道を例に見てみると、例えばこれまで、北海道の食品が他県に輸出され、他の県の名産物として高値で取引されてしまうことは、北海道の経済圏にとっての一つの課題でした。たらこや蕎麦は北海道が生産量一位ですが、他の地域の方がメジャーに取り扱っていたりしますよね。本来北海道により支払われるはずのお金が、外へ流出されてしまってるからです。

S T Oなどの仕組みを使って産業に投資をする仕組みを構築できれば、こういった産業についても道内に工場を建設するなどし、雇用を生み出すことも可能になります。

北海道には地域通貨が流行る可能性があるの?

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今回地域通貨を流行らせる舞台として注目されているのが、試される大地 北海道ですが、北海道には地域通貨が流行りそうな土壌はあるのでしょうか。

その点で言うと、実は北海道には、地域マーケティング事業を展開する株式会社リージョナルマーケティングが持つ北海道地域共通ポイントカード「EZOCAが存在しており、会員数約190万人、北海道の世帯カバー率68.2%(2020年5月1日時点)と、既に大きなネットワークを持っています。

北海道はご存知の通り、農畜産物をはじめとした一次産業の他にも、食品や観光、アウトドアなど世界中から注目される観光資源大国であり、それぞれの地域が豊かな地域の特色を持つことからも、新たな経済圏を作り上げていくには大変ポテンシャルが高い地域として注目されています。こうした側面は、ニセコなどのリゾート事業の大成功や、インバウンド需要の増加による外貨の獲得にもつながり、今後も大幅な伸びが期待できる分野です。

一方で、ポジティブな面だけではなく、日本全体の課題である地域の少子高齢化に関しては、北海道の地方都市も同様に深刻な課題として抱えています。今後数年以内に、北海道の多くの市町村が人口5,000人を下回っていきます。

だからこそ、この地域通貨の新たな経済圏の仕組みが、次世代の地方創生の形として非常に注目されているのです。北海道での導入が成功し、一つのロールモデルとなれば、同様のやり方で日本全国の市町村でも地域通貨の概念をベースに、地域活性化が可能となります。その大きな社会実験として、今回のプロジェクトが動いていると言うわけです。

DataGatewayが提供する価値

この地域通貨のプロジェクトに、我々DataGatewayが関わって、具体的には何をしているのでしょうか。

私たちは既存の北海道地域共通ポイントカード「EZOCA」にさらに、ブロックチェーンの技術の融合した決済システムの開発・導入を実行しています。ブロックチェーンの技術を取り入れることにより、コミュニティコイン自体に様々な機能を持たせるとともに、分散保管することでデータを安全に蓄積することができます。さらにDataGatewayが得意とする「データ解析」を通じ、利用者の方に更に新たなメリットを提供することも可能になります。

「決済」という行為は全ての業種業界で行われることであり、人間の生活全てに関わるものだと認識しています。そのデータを蓄積することで、多角的なスマートシティ的な施策が実際に可能になると我々は考えています。

例えば季節ごと、天気ごとによって生み出される消費動向の傾向が分かれば、より活発に人の動きが生み出される時期は、需要に即した物流のサポートを行ったり、将来的には農作物等の生産調整などの経済活動の全般に対して効率化を行うことができます。また、その際に生み出される経済効果を一部還元し、その分利用者へのポイント還元率を上昇させて経済を活性化するなども可能になります。逆に閑散期には、人の流入を増やすためにどのような施策が有効かということも、根拠を持って実行することが可能になります。

さらに、コミュニティコインを利用する際のウォレット(携帯電話やI Cカードなど)にデジタルアイデンティティ(ある個体に関する属性(電子)情報の集合)を紐づければ、銀行や自治体の公共サービスとの連携も可能となり、利便性を格段にあげることも可能です。

一部の重要なデータについてはIPFSを基礎としてDataGatewayが独自開発した分散型ファイルシステム「3Cloud」の技術を応用し、物理サーバーやクラウドサーバ上に複数のノードを構築して分散保管することで、1つのサーバが攻撃されたとしても情報が危険にさらされることはなく、データの改ざんも防ぎますし、特定の地域に停電などの災害が起こった際も無停止のシステムを構築します。

こういった点で、DataGatewayが持つ技術を提供していきます。

今回は「地域通貨」について深掘りしながら、我々が取り組んでいる事業のお話をシェアしました。まだまだ難しい言葉や概念がたくさんあると思いますので、こちらの公式noteで発信していきます。もしご質問がある方は、気軽にコメントいただけると嬉しいです!

Clubhouseでも北海道のEZOCAプロジェクトに関する公開質問を受け付けています!次回は3月6日(土曜日) 22時です。

ぜひこちらもご参加ください!


【執筆者】

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大角佳代

北海道大学医学部卒業後、保健師として2年勤務しスタートアップへ転職。2016年からはインドの現地採用として就業をスタートし、当時からインドビジネスに関する情報発信を継続している。2018年には株式会社メルカリの海外新卒採用のオンボーディングを担当。技術広報や社内研修を担当する。2021年より株式会社DataGatewayのPRに就任。

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