悪童会議「いとしの儚」感想(今更)

ちょうど一年前の下書きがあったので、今更ながら供養してみます。
うわ、もう一年経ったのか、、、

観る前から思っていたんです。

これは、めちゃくちゃ好きかめちゃくちゃ嫌いかの2択だな、と。

結論、めちゃくちゃ好きでした。
好きすぎてチケット1枚しかとってない自分を恨んだね。リピーターチケットでもう1回行けたけど、全然足らんて。

1回目は、そもそものお話を知らなかったのでどういう結末になるんだろう?と思いつつ観ておりました。
途中何回かこれはもう2人で幸せになるエンドは無いんだろうなとは感じていて、それなら鈴次郎の手で(手?)儚を水にしてしまうのがベターなんじゃなかろうかと思いつつ、いやでもそんな事になるかね?と。

私は、2人で生きることが出来ないのなら2人で死んでしまえばいいじゃないのメリバ厨のマリーアントワネット、メリーバントワネットなんですが、
それすら出来ないならどちらかがもう一方を殺してしまえばいいじゃないのブッソウントワネットでもあるので、この結末はとても刺さりましたね。
鈴次郎には悪いが、儚は幸せに死ねたので。心のどこかで儚はやっぱり生きたかっただろうとは思うんだけど、そりゃそうだよな、でも、ずーっと儚は、泣いてぐずる程鈴次郎に抱かれたかったんだから、幸せな終わり方だったと信じたい。それが原点なんだから。

観劇前の印象、儚は男の願望詰め込み系女なのかなと思っていたんです。美しくて従順で、無条件で愛してくれる存在、みたいな。何だかそれは好きじゃないなぁと思っていたわけですが、実際の儚ちゃんは美しく、信念があって、愛を知っていて、そしてめちゃくちゃ強ぇ女で最高でした。逞しい。そして、その愛を知ってるのはちゃんと幼少期(?)に鈴次郎がそばに居てくれたからなんだよなぁと思うと……
愛着って別に母親じゃなくてもええやんってメッセージも勝手に感じてよかったです。
なにより、儚が偶像じゃないところが良い。ちゃんと気持ちがわかるんだよね。もちろん儚にとって鈴次郎は育ての親みたいな所もあるからそれ以上なんだけど、傍から見てても鈴次郎にはまっちゃう気持ちが分かる。なんか、女はああいう男好きじゃん?(クソデカ主語)

私は綺麗な顔して口汚い女が好きなので、和尚に預けられる前のはかちゃんも可愛くて大好きなんですよね。もちろん儚が生きていく上では絶対ダメなんだけど。いいよね、微笑ましくて。
きんたま鳥ってなんなんだよ、本当は。


話変わるけど、何箇所か好きなシーンがあって。いや、全部好きなんだけど特段好きなシーンがあって。

まず最初が冒頭の賭場で鬼シゲが鬼になってワーッってなるところ。全然本編と関係ないところなんだけど、あの、ぐわーっていう勢いがすごく好き。あそこだけ500回くらい見たい。ぶち上がる。
あとは、超ベタだけど最後のシーンね。儚が花びらになって空へ散っていくっていう。あーーーーもう!!!!!!!みたいな。ぶわっと飛び出してくる花びらが色とりどりでめちゃくちゃ綺麗で、儚そのもの、儚の人生を表しているなぁって思えてとても好きです。
2回目の観劇の時はちゃんとそれぞれの人物のことを考えられたからちょっと泣いちゃったんだけど、その涙のうちの1割はシンプルに儚が死んじゃったのが悲しかったっていうのあったし。一生叶わない夢を抱き続けるより、夢を叶えて死ぬ選択をした儚……最高だよ……あーしもそうやって生きたい。儚に学ぶことが沢山あるね。身につけた知識や技術は裏切らないってことも教えてくれたね。

で、私が結構どわーっと思ったのが、儚を賭けたゾロ政との賭場のシーン。
そこでずっと語り部だった鬼が、鈴次郎に叫ぶんですよ。バカヤローって。それで、全く脚本を知らなかった私は、この鬼は鈴次郎なんだってわかったんですけど。
そこで、この後鈴次郎は鬼になるのか!っていう気付きと、鈴次郎の後悔ポイントってここなんだってことが分かって色々考えちゃいました。儚をこの世に生み出したことでも、和尚達を殺したことでもない。儚を賭けて負けたことが、今でも声を荒らげるくらい後悔してることなんだって。

あとね、あれもすごい好きなんだよね。歌のシーンが。儚っていうか、七木さんの歌声がめちゃくちゃ好きで、声も好きなんだけど、(容姿も好き、可愛くて綺麗でめちゃくちゃスタイルいい) ああいう世界観ちょっと好きだから。
あとねー、女郎2人とあのー和尚の彼氏の歌うシーンも好きだよ。言ってること最悪だけど、耳に残るよねー。ウキウキしちゃうし。

1度目の観劇は結構あらすじとかに引っ張られちゃって、これは愛の話なんだって意識が強かったんですが、2回目はきちんと自分の目で観ることが出来て、これは夢の話でもあるんだなってことに気がつけました。

叶わねぇ夢なのに、それを想うと温まるんだよね、心が。わかるよ。めちゃくちゃわかる。叶わないのに。絶対無理なのに。諦めきれない、叶えたかったっていう未練もあるのに、なぜか心に浮かぶのは負の感情ばかりじゃなくて。それが夢なんだろうね。

ところで鈴次郎ってどうしようも無いクズですよね。
大概のクズは周りを不幸にする。でも、鈴次郎は周りも自分も不幸にする。だからどうしようも無い。
和尚を殺した後も、儚にこれきりだ、見捨てないでくれ、ひとりにしないでくれって言うのも、儚を丸め込むために口先だけで言っているならまだいいんですよ。でもあれ、たぶん心の底から言ってるんだと思うんですよね、私は。その場しのぎの言葉じゃなくて、本気で本心から言っているんですよ。なのに賽子見ちゃうとダメだし、脳汁ドバドバ出て負けてんのに儚賭けちゃうし。

まだ勿体なくてパンフ読めてないから、覚悟を決めて大事に読みます。

はぁ。もう観られないのが悲しい。

演劇ってすごく熱量のあるものだと思っていて、他の、例えば映像のお芝居に比べて圧倒的に情熱感じるというか、泥臭くて暑苦しい印象が私にはあって。でも同時にとんでもなく儚いものであることも改めて感じて。なんて二律背反。それが美しいとおもう。

追記:夜曲もすごく好きだったから、これはいよいよ茅野さんの演出が好きなのか横内さんの御本が好きなのか分からなくなってくるよね


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