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生産者がヒーローになる世界へ

道の駅などで売っている野菜には「私が作りました」という文字とともに生産者の写真が貼ってあることを目にしたことがあると思いますが。あれは確かに生産者の顔は分かるのですが、その人がどんなことを考えて、どんなところにこだわって、どんな野菜を作っているかはさっぱり伝わってきません。また、その生産者によって作られたその野菜はどんなところに魅力があるのかもわかりません。どう料理していいかもオススメもわかりません。唯一、田舎のおじちゃんおばちゃん像から来る、なんとなくの安心感だけが伝わってきます。

しかし本当にそれでいいのでしょうか。

第一次産業はどんどんと衰退して後継者も不足しているというのは今に始まったことではありませんが、儲からないとか、キツイとか、田舎だとかそういった部分はもちろんあるかもしれませんが、最大の理由はそこに「憧れ」が持てないからではないかと思うのです。そこにはやはりストーリーや共感、愛情、そしてそれに見合った味わい。というものが全て伝わる必要があるのではないかと考えるのです。もちろん、生産者が全員こだわりの何かがあるとは限りませんが、まだまだ知られていない小さなヒーローたちは実はたくさんいるのではないかと思っているのです。

たとえば、鰹節の世界でいえば、一本一本丁寧に手作りしている生産者であれば、それぞれの職人により燻し方やカビの付け具合などさまざまな段階で個性が光ります。そしてその味わいも同じ鰹節といえどもそれぞれ異なってきます。そういったこだわりは、昨年、鹿児島県枕崎市の生産者のところに見学に行って初めて分かったことでした。そして、知った後に味わう鰹節というのは、また一味も二味も違って感じられました。

私が思うに、そういった情報こそ、美しく整理し、誰もが分かる形にチューニングして伝えていくことで、どこのネット情報にもない唯一無人の価値が出てきます。

そして、生産者をヒーローにすることで、知られていなかった人が全国で知られるようになり、お金も循環し、地方が潤い、人が動き始めます。地方自治体が補助金を出すことよりもずっとずっとプラスの効果が生まれるのではないか。むしろそういうことこそ私のような人間が発信していくことで、各地域へのリスペクトができるのではないかと考えます。今はネットでどこでも仕事が出来る時代になりました。だからこそ、都会であくせく働く必要もないといえばない。地方の生産者に話を聞くと、どの方も地元への愛着は凄まじいものを感じます。ならば、そこで生まれ育った若者たちが、「あ、都会に出て行かなくても、ここで格好良く幸せに行きていけるんだ」と思えた方が、世の中もっと豊かな多様性が生まれるのではないかと思うのです。全国どこで食べても同じ味のチェーン店にはもう飽きました。地方出張にいくと地のものを食べたくなる人のほうが多いはずです。そういう情報(コンテンツ)とともに私はだしと発酵食品を媒介するビジネスを考えているということなのです。だから、私は実はどうでもいい存在。というか表に出る必要はあまりない。道先案内人だと思っています。あくまでヒーローは生産者側にあるのです。

ちょっと世の中楽しくなるように。

頑張っていこうと思います。まだまだ会わなくてはいけない生産者が全国各地にいます。これからはそんな人たちも紹介していければと思っています。

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