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データの誤謬シリーズ(全15回)

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” 誤謬(ごびゅう)とは、つまり、間違っていることである。” データにまつわる誤謬を紐解き、やさしく知るシリーズ
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データの誤謬#1『チェリーピッキング』

いけませんよ! おいしいところだけ、つまみ食い。 #1 チェリーピッキング自分の主張に合う結果だけを選択し、そうでない結果を除外すること。 データに不誠実であるという最悪で最も有害な例。 何かを主張するときには裏付けとなるデータが重要になります。 しかし、人々は、全体を説明する代わりに、自分の主張を裏付ける一部の都合の良いデータだけを強調することがよくあります。 これは、公の場での議論や、政治の場でよく見られる現象で、 どちらの側も自分の立場を裏付けるデータを強調するこ

データの誤謬#2『データドレッジング』

サラダにかけるアレではありませんよ。 まあでも似ているので、 水底をサラう、ドレッ「ジ」ングと覚えちゃいましょう! #2 データドレッジング相関関係が実際には”偶然の結果”であったことを認めないこと 何かしらのパターンを見つけようとして繰り返し検証していくうちに、たまたま偶然、統計的に有意な結果が出てきたことに対して、それを信じて疑わないことです。 歴史的に見ても、研究者が結果を「データドレッジング」して、都合の良い結果に結びつけるため、”データの対象”をすり替えてしま

データの誤謬#3『生存者バイアス』

持っていないデータを探すってどういうこと? #3 生存者バイアス 不完全なデータから結論を導き出すこと。 何らかの選択基準を「クリア」したデータだけを見てしまうこと。 例)失敗が無視されるケース。 次の問いについて、考えてみましょう。 Q: 戦闘から戻ってきた飛行機があり、弾痕が確認できます。無事に帰還する飛行機を増やすために、装甲を施したいです。どこに装着したら良いでしょうか? A:弾痕が多いところに装甲を施す。 … は、悪くないようだが、ここに「生存者バイアス

データの誤謬#9 『ホーソン効果』

リモートワークでは、「見られている」が減少。 やる気を失ってしまったら、「見られている」状況を自分で作り出すのが効果的かもしれませんよ。 #9 ホーソン効果誰かを監視するという行為が、その人の行動に影響を与え、 偽りの調査結果につながること。 ホーソン??? 1920年代、イリノイ州にあるホーソン工場では、 「労働時間」や「照明」、「休憩時間」などの物理的環境を変えて、 労働者の生産性を調べる社会実験が行われました。 条件を悪くしてみたにも関わらず、結果はなんと、 ど

データの誤謬#12 『 マクナマラの誤謬 』

フォード社長、国防長官、世界銀行総裁を務めたスゴ腕エリート 「 歩くIBMコンピューター 」の異名をもつ超秀才とは? #12 マクナマラの誤謬 複雑な状況下で、指標だけに頼り、大局を見失ってしまうこと。 ”真実は、「数値的データ」と「統計的厳密さ」のみから見い出される ”と、信じて疑わなかったアメリカの国防長官ロバート・マクナマラ(1961年~1968年)さんにちなんで名付けられてしまった、なんとも不名誉な誤謬用語です。 マクナマラさんは、ベトナム戦争において、 敵の戦

データの誤謬#15 『 サマリー指標の危険 』

データ視覚化の重要性を、”恐竜”で表す? 新しいものを古いもので表現するセンスと発想が、 なんともすばらしいと思いませんか? #15 サマリー指標の危険 平均や分散などのサマリー指標(統計量)だけを見てしまい、 生データにある大きな違いを見逃してしまうこと 平均や分散( 標準偏差 )、 相関係数 などのサマリー指標が同じだとしても、デー タセット の “形状” は、まったく異なることがある。 これを実証するために、統計学者のFrancis Anscombe(アンスコム